八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百二十六話 マダム=バタフライその五
「本当にだ」
「蝶々さんが悲しかっただけに」
「その分だ、その後の日系人の歴史も鑑みてな」
そうしてというのだ。
「幸せになって欲しい」
「差別も戦争も乗り越えて」
「そうして欲しい」
「僕もそう思います、やっぱり」
このことはだ。
「不幸に遭ったらです」
「幸せになるべきだな」
「余計にそう思いますから」
「悪人には報いがありな」
「不幸に遭った人は幸福に」
「そうあって欲しいものだ、もっとも悪人に報いはな」
これはというと。
「絶対にあるが」
「因果応報ですね」
「これは世の摂理だ」
「不思議とそうですよね」
僕も心当たりがあることだ、天網恢恢疎にして漏らさずということか。
「悪人は本当にですよね」
「報いを受ける」
「そうならないといけないですし」
「必ずそうなる」
「例えば悪いことを続けると」
そうすればだ。
「それを他の人が見て」
「嫌うな」
「そうもなりますし」
「そして通報されたりもする」
告訴もある。
「そうして報いを受ける」
「それが当然の結果ですね」
「人も神仏も見ている」
「それなら」
「因果応報はな」
まさにこのことはというのだ。
「当然のことだ」
「やっぱりそうですよね」
「悪人は必ず報いを受けるのが世の摂理だ」
「本当にそうですね」
「ピンカートン中尉は軽薄の報いを受けた」
悪事となる、特に現代の見方では。
「そしてあの知事もな」
「後で物凄い批判を受けたらしいですね」
「明らかに人種偏見に基づく差別、それも非人道的な政策を行ったからな」
弁明の余地が一切ないものだからだ、もっとも後になってから弁明の余地がないことを批判し糾弾すること程簡単なことはない。
「ことが終わってからだ」
「戦後ですか」
「第二次世界大戦が終わってだ」
日系人への弾圧が行われたこの戦争がだ。
「その後で暫く経ってな」
「世論が落ち着いてですか」
「言われた」
「それまでは言われなかったんですね」
「そうだった」
その人がカルフォルニア州の知事であり日系人排斥を先頭に立って主張していたがだ、戦争中は問題にならなかったというのだ。
「間違いなく批判する人もいただろうが」
「その声は小さかったんですね」
「そうだ、落ち着いてだ」
そうしてというのだ。
「ことが済んでな」
「それからですか」
「批判されたのだ」
「それもかなりですね」
「また言うが明らかだったからな」
その人に人種的偏見があったことはだ。
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