夢幻水滸伝
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第九十話 大和の四人その十二
「酒池肉林言うたら悪い言葉やがな」
「ああした退廃的な贅沢やないけど」
それでもとだ、羅は豚バラ煮込みを食べつつ述べた。
「存分に飲んで食ってくれな」
「そうさせてもらいます」
「いや、アメリカのステーキもよかったですけど」
「中華料理はやっぱりええですわ」
「麺に炒飯に飲茶に」
「どれも最高ですわ」
「そやろ、食でうちに勝てる国はないで」
羅は銀杯で紹興酒を飲みつつ言い切った。
「そして人口でもな」
「人口ってこっちの世界でもですね」
「普通に十四憶いますし」
「それも色々な種族の人が」
「凄いことになってますね」
「国力もあるしな、そやから太平洋を統一するのはな」
それはとだ、施は四人に言った。彼も銀杯で酒を飲んでいるが彼が飲んでいる酒は桂花陳酒であり羅が飲んでいる紹興酒とは違っていた。
「我が中国や」
「それアメリカさんも言うてますし」
「もっと言えば南洋も言うてますよ」
「あと中南米も」
「どの勢力も言うてますで」
「口では何とも言えるけどな」
それでもとだ、施は今度は海鮮麺を食べつつ四人に話した。
「そこに第一の実力が備わっているのはや」
「中國やっちゅうんですね」
「この国やって」
「お二人が治めてる」
「この国なんですか」
「そや、中国の圧倒的な人口に国力」
この二つにというのだ。
「それに多くの星、特に神星が二人おるんや」
「まさにお二人ですね」
「中國も神星の人二人いますし」
「そうした力を全部使ってですか」
「まずは太平洋統一ですか」
「その時は自分等も働いてもらうで」
施は四人にあらためて告げた。
「太平洋の星の一人としてな」
「その時はよろしゅうお願いします」
「報酬弾んで下さいね」
「私等傭兵ですし」
「暮らしがありますさかい」
「わかってるわ、こっちの世界では永久就職や」
そうなるというのだ。
「我が中国にな」
「そうなりますか」
「ほなその時はお願いします」
「そのうち太平洋も統一されるでしょうけど」
「宜しゅうお願いします」
「期待しとくんや、太平洋は自分達神星だけで十人おる」
ここで施が言う『自分』は施自身を指し示している、日本の関西弁ではこうした一人称もあるのだ。
「他にも多くの星のモンがおる」
「しかも人口も国力も高い」
羅も言ってきた。
「それだけでこの世界の大半や」
「それだけの勢力を手中に収めたら」
「後敵はロシアとインドの連合、欧州だけですね」
「ほな一気に世界の統一に近付く」
「そして世界を救うことにも」
「そや、この世界の危機は何か」
このことについてもだ、羅は言及した。
「まだわからんけどな」
「まずは世界を統一して力をまとめる」
施も語った。
「それからやな」
「そうですね、時々出て来る巨人が気になりますけど」
「あれがこの世界を脅かす危機かとも思いますけど」
「実際どうでっしゃろ」
「その辺りわかりませんね」
「ほんま何もわかってへんけどな」
世界の危機についてはそうだとだ、施もこう言うしかなかった。
「残念ながら」
「それでも世界を一つにしたらかなりの力や」
羅はこのことから話した。
「その力で世界の危機も乗り越えられるかも知れん」
「それ他の勢力の人等も言うてますね」
「そやからまずは統一やって」
「それぞれの地域の」
「それから世界やって」
「そや、世界は広いけどな」
それでもと言う施だった。
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