人造生命の命
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第四章
「ここは」
「そうだな」
「だからですね」
「ああ、本当にな」
この場所はというのだ。
「並の冒険者じゃな」
「噂を聞くだけで尻込みしますね」
「これだとな」
シーホースの中でもかなり強力な種族を倒しつつ言った、神具であるトランプのカードを手裏剣の様に使って投げつけて倒している。投げたカードは自然と主の手に戻っている。
「そうなるな」
「そうですね、ですが」
「おいら達だとな」
即ち星の者達ならというのだ。
「いけるな」
「そうですね、では」
「このままな」
「先に進んでいきましょう」
カイも応えてだった、二人は洞窟の中を隅から隅までモンスター達を倒しつつ調べていきそこにある財宝も片っ端から集めていった。
そして洞窟の一番奥深くでだった。
遂に銀の壺を手に入れた、するとだった。
ジャガーマンの姿をしてフィリピンの服を着た女神、半透明の身体をしたそれが出て来て二人に言ってきた。
「この女神の息吹をあらゆるものにかければです」
「それでだよな」
「あらゆるものに命が宿りますが」
それでもとだ、女神は言うのだった。
「深い愛情はです」
「ああ、そういうことか」
「おわかりですね」
「そうだな、それに感情はな」
錬金術師、カルロ=マルコスという名の彼の言ったことも思いだして述べた。
「もうな」
「はい、では」
「じゃあな」
「それでは」
「帰るな」
笑ってだ、リサールは女神に応えてだった。
カイに帰ろうと言った、するとカイもわかっている顔で彼に応えた。
「手に入れるべきものはもうです」
「おいら達の手にあるからな」
「はい、では」
「帰ろうな」
こう話してだった、二人はすぐに洞窟を出て潜水艇からマニラに戻った。そうしてすぐに錬金術師のところに行ってだった。
リサールが彼に言った、人造生命体の少女は今は動力源を切られて彼によって休められている。そうして休めさせてメンテナンスもしているのだ。
「女神の息吹は持って来なかったぜ」
「えっ、それは何故」
「必要なかったからだよ」
彼は冷静な声で答えた。
「だからだよ」
「それはどういうことでしょうか」
「あの娘には感情があるよな」
「はい」
そのことはとだ、錬金術師はリサールに答えた。
「そうした機能も備えさせました」
「それであんたいつも大事にしてるよな」
「愛おしいです」
彼はリサールそして彼と共にいるカイに自分の感情を話した。
「これ以上はないまでに」
「だったらな」
それならとだ、リサールは錬金術師に話した。
「もうな」
「あの娘にはですか」
「あんたへの愛情もあるさ」
「その感情も」
「愛情が与えられると何にでもな」
例えそれが人造生命でもというのだ。
「やがて命が宿るんだよ、あの娘造ってもう結構経つよな」
「そうですね、もう七年になりますか」
「その間あんたずっとあの娘を大事にしてたな」
「恋人の様に」
「ならだよ、あの娘これまであんたを粗末にしたことあるか」
「いえ」
それこそ一度たりともとだ、彼はリサールに答えた。
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