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八条学園騒動記

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第五百九話 ラッコ達その十二

「時間を考えているから」
「のどかか」
「焦らないのよ」
「草原での生活はそうか」
「そう、本当にね」
「時間の感覚が違うということか」
「琉球は一分一秒でしょ」
 普通の連合の国の様にとだ、ナンはダンに尋ねた。
「そうでしょ」
「その感覚だな」
「その中でののどかさでね」
「仕事が終わったら遊ぶこともか」
「そう、それでモンゴルはね」
 ナンの祖国はというと。
「もう時間の感覚がね」
「違うな」
「ええ、一日よ」
 時間の感じがというのだ。
「基準がね」
「草原の仕事がそうだからか」
「そうしたのどかさなのよ」
「草原の中にいるが為にか」
「そう、あと遠いって感覚もね」
 これもというのだ。
「あまりないわね」
「馬に乗って向かうからか」
「もう馬に乗れば」
 そうして進めばというのだ。
「あっと言う間だから」
「遠い場所に行くにしてもだな」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「遠いっていう感覚もね」
「ないんだな」
「馬に乗って進めば」
 それこそというのだ。
「あっという間だからね」
「草原にいるならか」
「だからね」
 それ故にというのだ。
「モンゴルは遠いって感覚はないのよ」
「そうなんだな」
「そう、そこも違うわね」
「何かと違うな」
「ええ、しかし今日は色々面白かったわ」
「水族館に来てか」
「モンゴルのことを話せて」
 そしてというのだ。
「琉球のことも聞けてね」
「それでか」
「よかったわ、じゃあね」
「そろそろ時間だな」
 ダンはその時間を見て述べた。
「ではな」
「帰るのね」
「水族館を出るか」
「そうね、じゃあね」
「また明日だな」
「そうね、明日またね」
「クラスで会おう」
「じゃあね」
「帰ったら今日はバイトも部活もないしな」
 それでとだ、ダンは話した。
「家に帰って食って飲むか」
「お酒もなのね」
「今日はゴーヤチャンプルを焼いてな」
 そしてというのだ。
「それをおかずにしてな」
「ご飯食べて」
「そして飲むか」
 そうしようかというのだ。
「そうするか」
「私もね、羊の肉と馬乳の乳製品食べて」
 そしてというのだ。
「クミズ飲むわ」
「馬乳酒だな」
「そう、モンゴルのお酒よ」
「牛乳を酒にした様なものか」
「モンゴル古来のお酒よ」
 そうだというのだ。
「モンゴル人は昔から飲んでいるのよ」
「その酒をか」
「今日も飲むわ、お茶とこれがね」
 そのクミズがというのだ。
「モンゴル人の飲みものよ」
「それを飲んでか」
「そう、今夜は楽しく過ごすわ」
「成程な」
「あとね」
 ナンはダンにさらに話した。
「お風呂も入るわよ」
「コインシャワーや銭湯だったな」
「学園のお風呂に入る時もあるわ」 
 その時もあるというのだ。
「けれど今日は銭湯に行くわ」
「そうしてか」
「そう、すっきりしてくるわ」
「そうか、それでまた明日だな」
「ええ、クラスでね」 
 ナンはラッコ達今ものどかに浮かんでいる彼等を観つつダンに話した。そうして二人でその場を後にした。


ラッコ達   完


                   2019・1・25 
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