八条学園騒動記
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第五百九話 ラッコ達その八
「源氏、平家、藤原家、橘氏だ」
「その四つなのね」
「それで源氏もだ」
「皇室が出ているのね」
「そうだ、清和帝から出ている」
「その天皇陛下からなのね」
「平安時代のな」
この帝は今昔物語にも登場されている、藤原北家と非常に関わりが深い帝でもあられたことで知られている。
「その方から出ていてだ」
「琉球王家って皇室の血が入っているのね」
「日本人だしな」
「そんなルーツがあったのね」
「しかも為朝公は源氏の嫡流だ」
「そうだったの」
「為義公の八男だった」
源義朝の末の弟でもあった。
「その方が保元の乱で敗れてな」
「伊豆に流されて」
「遂に琉球に辿り着いてな」
「琉球の最初の王様になったのね」
「そうだったとされている」
「教科書でもそう書かれているのね」
「琉球のな」
ダンの国ではそうなっているというのだ。
「本当にな」
「ううん、結構ね」
「奇想天外だな」
「荒唐無稽ね」
その域の話だというのだ。
「私達のところみたいにね」
「モンゴルのか」
「ええ、蒼き狼と白き牝鹿ね」
「狼と鹿が結婚してな」
そしてとだ、ダンも述べた。
「人間になることはな」
「ぜったいにないわよね」
「生物学的にな」
それこそというのだ。
「有り得ない」
「そうなんだけれどね」
「モンゴルではそう言われているか」
「そうなのよ」
これがというのだ。
「それで信じられているけれど。けど」
「琉球の話もか」
「ちょっと有り得ない様な」
「確かにかなり強引だな」
「当時為朝さんが最初に流された」
「伊豆だな」
「そこって琉球の近くじゃないわよね」
ダンの話からだ、ナンはそのことを察して尋ねなおした。
「そうよね」
「当時だと逃げても辿り着けたらだ」
「奇跡だったのね」
「そんな距離だったらしいな」
「船で逃げたのよね」
「島から島だからな」
「よく遭難しなかったわね」
その逃げる途中でというのだ。
「そもそも」
「だからだ」
「奇跡なのね」
「そして琉球ではその奇跡が起こったな」
「琉球に辿り着いて」
「王となられたのだ」
「それ何時の頃のお話?」
「十一世紀だったな」
平安時代中頃の話である。
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