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八条学園騒動記

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第五百九話 ラッコ達その四

「あとさっき話したがステラーカイギュウやオオウミガラスは美味い」
「養殖もしてる位よね」
「美味いからな、だがペンギンはまずい」
「というかペンギンってね」
「美味しくなさそうだな」
「オオウミガラスもね」
 こちらの生きものもとだ、ナンは話した。
「どうもね」
「だがあの鳥は美味い」
「そうなのね」
「しかしペンギンはまずい」
「ラッコもなのね」
「というか鼬は美味いか」
「そんな話は聞かないわ」
 全くと、とだ。ナンは答えた。
「鼬を食べた人すらね」
「小さいし屁もするしな」
「そのおならが臭いのもね」
 ナンはこのことは自分から言った。
「有名だしね」
「まず食わないな」
「毒がなくても」
「中国でも食う話はない」
 俗に四本足のものは机や椅子以外は全部食うと言われている国ですらというのだ、尚海や水のものは船以外空を飛ぶものは飛行機以外二本足のものは人間以外野菜や果物は毒のあるもの以外はと言われている。
「鼬はな」
「食べてもっていうのね」
「絶対にまずかった」
 そうであるからだというのだ。
「それでだ」
「食べたって話がないのね」
「おそらくな」
「それでラッコも鼬の仲間で」
「絶対にまずい、毛皮は貴重だったが」
 それでもというのだ。
「肉はな」
「まずいのね」
「今は毛皮も一匹殺さなくても採れるからな」
 これは品種改良の結果だ、ラッコだけでなくクロテンもミンクも毛皮をバリカンの要領で取ればすぐに皮が出る様になったのだ。ただし取られるラッコ達が痛い思いをするのでその際は痛み止めと動物用の麻酔が欠かせない。
「殺さないしな」
「じゃあ余計に誰も狩らないわね」
「そうだな」
「ただ可愛いけれど大食漢の生きものね」
「今はな、しかしその食う量はな」
「壮絶なのね」
「俺も餌の量を見て驚いた」 
 ダンはプカプカと浮かんでいるラッコ達を観て述べた。
「本当にな」
「あんまりにも食べるから」
「そうだ、金もかかることを知ってな」
「しかも食べるものが日系国家の人達と被ってる」
「俺達は養殖で野生のラッコは天然だ」
「何か腹立つ感じ?」
「日本人としてはな、俺はそれ程でもないが」
 しかしとだ、ダンはここでこのクラスメイトの名前を出した。
「カムイは結構怒っているな」
「カムイってアイヌ人だからね」
「アイヌといえば海胆に烏賊、帆立に魚だが」
「ラッコどれも好きなのね」
「だからラッコには食わせるものはな」
「養殖ものにしろとか言うの」
「前にそんなことを言っていた」
 実際にというのだ。
「ふざけるなとかな」
「本気で怒ってるわね」
「あいつは魚介類も好きだしな」
 他には羊の肉や乳製品、メロンが好きである。
「だからな」
「それでよね」
「ラッコは嫌いではないみたいだが」
「海胆とかを食べることは」
「取り合いだと思っているな」
「そうなのね」
「あいつは俺以上に切実だ」
 そうなっているというのだ。 
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