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巨人の花嫁

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第一章

               巨人の花嫁
 バディカンはアルメニアの王の四十人いる王子のうちの末っ子だった、彼はある日父である王にこう言われた。
「そなたもいい歳だ、妻を迎えるのだ」
「妻をですか」
「そうだ、いい者を見付けてだ」
 そのうえでというのだ。
「娶るのだ」
「この国にはいなくても」
「そうだ、残念だが縁談の話はない」
 バディカンにはというのだ。
「「そなたにはな」
「だから自分で、ですね」
「見つけるのだ、いいな」
 王は精悍で黒い髪の毛を波立たせ黒く切れ長の目を持つ我が子を観つつ言った、長身で身体も引き締まっている。
「それではだ」
「これよりですね」
「妻を求める旅に出よ、供の者もつけよう」
「供の者といいますと」
「この者だ」
 王の言葉と共に一人の大男が現れた、黄色い肌に彫の浅い顔と黒髪に黒い目を持っている。背はバディカンの二倍以上ある。
「カーン=ボグという」
「この者がですか」
「そなたの供となる、一騎当千の強者で狩りも釣りも得意でだ」
 それにとだ、王はさらに言った。
「忠義の心に満ちた誠実な者だ」
「王子、私でよければです」
 ボグはバディカンに誠実な感じの声で言ってきた。
「お供にして下さい」
「わかった、ではな」
「供にですね」
「我が妻を得る旅に出よう」
「それでは」
 こうしてだった。バディカンはボグと共に王宮を出て旅に出た、まずは国の中を探したがおらず外に出た。
 その間多くの悪魔や獣、ならず者達と会ったがその全てをだった。
 バディカンはボグと共に倒した、それである夜ボグと共に彼が釣ってくれた魚を焼きそれを食いながら言った。
「そなたがいてだ」
「それで、ですか」
「そうだ、私もこの様にだ」
「旅が出来るとですね」
「思う、そなたは無敵だな」
「いえ、これがです」
 ボグはバディカンに真摯な顔で答えた。
「私にも弱点があります」
「そうなのか」
「腰には痣があります」
「その痣が弱点か」
「白い牡牛の形をしていますが」
「その痣を攻められるとか」
「私も殺されてしまいます」
 こう主に言うのだった。
「そう母に言われています」
「そうなのか」
「私の祖国の者は子供の頃に尻に青く丸い痣があるのです」
 ボグはバディカンにこのことも話した。
「ですが私の一族は違い」
「白い牡牛の痣か」
「それがありです」
「そこが弱点なのか」
「そうなのです、ですから」
 それでというのだ。
「ここだけはです」
「守らねばならないのだな」
「そうなのです」
「わかった、ではだ」
 バディカンはここまで聞いてボグに話した。
「そなたは絶対にだ」
「腰はですね」
「守れ、だが尻に痣があるということは」
「はい、背中の付け根です」
 そこになるというのだ。 
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