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八条学園騒動記

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第五百七話 無抵抗その五

「だから知っているのだろうな」
「食べて死んだ人いるのね」
「河豚と同じだな」
「河豚も食べて死んだ人多いのよね」
「またの名を鉄砲と言う」
 日本の大阪での言葉だ、鉄砲は当たると死ぬが河豚も当たると死ぬからだ。
「よく食って死んだ人がいた」
「それで何処が危ないかわかって」
「そこをどけて食う様になった」
「そうよね」
「今も琉球王家の方々は召し上がられない」
「毒があるから」
「河豚自体をな。日本の皇室に倣っている」
 この時代でも日本の皇室では河豚は食べられない、やはり毒があることを警戒しているからである。
「そのことはな」
「そういえば琉球王家って日本の皇室と仲いいのよね」
「明治維新から縁組を組んでいた」
「そうだったの」
「それで皇室扱いだった」
 このことは李氏朝鮮の王家と同じである。
「非常に厚遇してもらってだ」
「琉球王国が出来てね」
「尚家の方々が王家に戻られてな」
「ご成婚とか多いのよね」
「お互いにな」
 日本の皇后陛下が琉球王家の姫君であられたこともある、そして琉球王家の王妃が日本の皇室の内親王殿下であられたことも多かったのだ。
「そうしている」
「だから今も縁が深くて」
「まさに親戚同士だ」
「そうした関係だから」
「河豚もだ」
 この魚のこともというのだ。
「倣っている、王室典範もな」
「日本の皇室のに倣ってるのね」
「流石にあそこまで厳しくないがな」
 それでもというのだ。
「幾ら何でも」
「日本の皇室の厳しさは有名だからね」
「ケベックの王様が話を聞いて仰天する位だ」 
 ブルボン家の流れのこの王がだ。
「本当に厳しい」
「日常生活もね」
「あそこまでは流石にな」
「琉球王家はしてないのね」
「そうだ、日本の皇室にいればここにいるみたいにだ」
 今の自分達の様にというのだ。
「ステラーカイギュウを観てもな」
「くつろげないのね」
「とてもな」
「そうよね、お付きの人が周りに一杯いて」
 ガードマンも大勢いることは言うまでもない。
「それで案内役の人がね」
「ひっきりなしに説明をする」
「それじゃあね」
「くつろげないな」
「とてもね」
「しかも不機嫌な顔も出来ない」
 このことは絶対に許されない。
「姿勢よく正装でだ」
「にこにことしていないといけないのね」
「アイドルよりも遥かにな」
「アイドルも大変だけれどね」
「君主の家の人、特に日本の皇室はな」
「別格よね」
「冗談抜きでだ」
 オオウミガラスが餌を貰っているのを見つつだ、ダンはナンに話した。係員から生魚を一匹一匹丁寧に貰っている。
「そんな感じだからな」
「水族館にいても」
「しかも好きで行けるか」
「行きたくなくても行かないといけないのよね」
「そうだ」
「それがお仕事ね」
「君主のな」
 そうしたものだとだ、ダンは話した。 
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