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八条学園騒動記

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第五百七話 無抵抗その三

「そう思うわ」
「ならこのままな」
「観ているといいわね」
「そうすればだ」
「さらに癒されて」
「心が落ち着く」
「そうよね、これがモンゴルの大草原だとね」
 その癒しを感じつつだ、ナンはさらに言った。
「羊や馬ね」
「そうした生きものに癒されるか」
「見ていてね、それとね」
 ナンはダンにさらに話した。
「犬もね」
「ああ、犬か」
「実家じゃ十匹飼ってるけれど」
「多いな」
「牧羊と番犬でね」
「だから十匹も飼っているのか」
「これでも少ない位よ」
 十匹でもというのだ。
「羊が二百匹、馬が二十匹いるから」
「確かに多いな」
「それだけの数がいるから」
「だから十匹でも少ないか」
「そうなの、それでその犬達がね」
「見ていて癒されるか」
「かなりね、それで抱き締めると暖かいから」
 このこともあってというのだ。
「いいわよ」
「抱き締めると、というとことにモンゴルを感じるな」
「草原寒いからね」
「風を遮る場所がないからな」
「風はどんどん吹いてしかも内陸だから」
 内陸性気候、この気候のこともあってというのだ。
「冬はとことん寒いから」
「それでか」
「そう、普通に暮らしていたら」
「かなり寒くてか」
「外での作業は完全装備でね」
 モンゴルの民族衣装でだ、手袋も帽子も身に着けているので服だけでもかなり暖かいことは事実である。
「それにそうしてね」
「それでも寒いと犬を抱き締めてか」
「それで何でもやっていってるのよ」
「そこまで犬が大事か」
「それで見ていて癒されるわよ、実家のあの子達元気らしいし」
 その十匹の犬達がとだ、ナンはダンに笑って話した。
「また会いたいわね」
「それで種類は何だ」
 犬の種類についてだ、ダンは尋ねた。
「それで」
「蒙古犬よ」
「モンゴルの犬か」
「そう、昔ながらのね」
 その種類だとだ、ナンは答えた。
「その犬よ」
「そうか、わかった」
「それで水族館だとなのね」
「ステラーカイギュウにオオウミガラスにな」
 ダンはステラーカイギュウが水面に顔を出してシュゴーーーーーッ、という大きな息をするのを見つつ話した。
「ラッコ、アザラシ、ペンギン、スナメリ、シロイルカとな」
「多いわね」
「海はいい、ただセイウチやトドはな」
「ちょっと怖いわね」
「シロクマは特にな、あとシロクマの肝臓は食うな」
「虫でもいるの?」
「シロクマやセイウチはほぼ確実にいる」
 寄生虫、それがというのだ。
「だから生では食うな」
「モンゴルって結構生肉食べるからね」
 ただし刺身ではない、タルタルステーキだ。同じ生ものを口にする国同士でも日本とはそこが違うのだ。
「だから言うよね」
「そう聞いているからな、琉球もよく食うしな」
「日系国家だからね」
「俺も刺身は好きだ」
「それでホッキョクグマの生肉は危険なのね」
「セイウチもな」
 寄生虫の関係でというのだ。 
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