インフィニット・ロックマン~黒の弟と青の姉~
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ある二人の日記
前書き
かつてハーメルンで一時的に書いていた作品のひとつです。
???side
俺は、生まれついての出来損ないだ。
いきなり何を言ってんのかわからねえと思っているだろうが俺も正直そんなに細かく覚えていねえ。
いや、正確には思い出せねえんだ。ただ、小さい頃に両親がいなくて姉貴一人で俺のことを面倒見ていたってことは何となくだが覚えている。名前は忘れちまった。
俺は、ほんの数年前、重傷だったところをじじいの魔改造で助けてもらった。
じじいの話によると俺は研究所のすぐ脇で体中から血を流して死にかけていたらしい。
覚えている限りでは俺はなんかの組織に攫われて逃げていた・・・・っというところまでは何となく覚えている。多分その時なんかで撃たれたんだろう。
俺を発見したじじいは、最初見殺しにしようとしていたらしいんだけど俺がなんか呻いていてほっとけなくなったから仕方なくサイボーグ手術を施したんだとさ。
あぁ?
サイボーグ手術って、なんだって?
俺が知るか!
じじいが言うにはどっかのヒーロー番組にあった設定なんだとかって・・・・・・こまけぇこたぁいいんだよ!!
んで、心臓の代替えがどうしてもなかったから代わりにじじいの作ったばかりの動力炉を移植してもらった。
じじいが言うには「フォルテニウム」って言う半永久にエネルギーを生成し続けるものらしい。
まあ、ぶっちゃけ言うと俺の名前はそのまんま「フォルテ」。
人間でもロボットでもねえ出来損ないだ。
はっ?人間の時の名前?
覚えてねえよ。確か一と夏って漢字のどっちかが使われていたような気がするけど。
うん・・・・・・でも、なんか違和感がある。
俺の知っている世の中はクソムカつく女どもが変なパワードスーツ着ていたような感じがしたんだけど・・・・・まっ、いっか。
あっ、そろそろ夕飯の時間だ。
じじいの奴、飯にはうるさいから準備しねえと。
そんなわけで自己紹介終わり。
20XX/W/X/Mon SWN.001 フォルテ
???side
君たちは逆行というものを体験したことがあるだろうか?
普通の生活を送っていればありえないだろうが私は体験した。
この世界ではロボットが普通に普及しているが私に世界ではそうではなかった。
あるマルチフォーム・スーツ『インフィニット・ストラトス』というものが登場したことにより、歪んでしまった世界だ。ちなみにここだから言えることだが元凶は私と友人の束だ。
その世界において私は「白騎士事件」を起こした後、知られることなくISの日本代表に、世界大会モンド・グロッソで二回連続優勝した。
だが、二回目の時、悲劇が起こった。
私の弟である一夏が何者かに攫われたのだ。
私にそのことを知らせてくれたドイツ軍は捜索をしてくれたのだが一夏が捕らえられていたと思われる倉庫は何か特殊な爆薬により炎上。
黒焦げになった犯人の死体は確認できたものの一夏は発見されなかった。正直言ってあの時は人生の中で一番大切なものを失ったと理解し、一週間近く何も口に入らなかった。
それから一年後、ドイツ軍への借りを返すべく教官職を終えた後に帰国した直後だ。各地で謎の異常現象が起きたことにより、IS部隊の出動がかけられた。
一夏を失うきっかけになったものにはもう触れたくないという事もあったが私は仕方なく乗機である「暮桜」を装着して現場へと急行した。
しかし、移動中謎の歪みに遭遇し抵抗もむなしく私は他の隊員を逃して呑み込まれてしまった。
・・・・・そして、次に意識が戻った時。
・・・・・見知らぬベッドで寝かされていた。
顔を上げて見ると白衣を着た二人の男性が椅子に座って私が意識が戻るのを待っていた。
私は礼を言おうとしたが二人は実験に巻き込んでしまってすまなかったと謝罪。
何のことかわからない中私は鏡を見ると
何故か子供になっていた。
私の年齢は23だったのだがどう見ても4、5歳ぐらいにしか見えない。ちなみに机の上には待機状態に戻った暮桜と元のサイズのISスーツがあった。
2人に色々と聞かれたが私は混乱することしかできず、あえて何も覚えていないと言ってその場を凌いだ。
しかし、問題はそこからだった。
2人の話を聞くと私がいる世界は元の世界とは違うものだった。つまり、この世界には私の知人は一人もいないのだ。
記憶喪失を偽ってはいるもののこれからどう生きてゆけばいいのか私は困り果てた。
そんな時二人の内の一人が私を引き取ってくれるという話が出た。
私は正直迷惑になると思って断ったが男性は自分たちのせいでもあるからと言って私を引き取ってくれた。
後に私はこの男性の養子となって、彼の元で暮らすことになった。
私は養子になるのを機に彼に自分のことをすべて打ち明けた。男性は最初は冗談だと思っていたが話を聞いているうちに私の話がどう見ても子供が考えられるようなものではないと理解し、信じてくれた。その時は「大変だったね」と慰めてくれた。その時は今まで人前で泣いたことがなかった私が初めて思いっきり泣いた。
それからさらに十数年。
私が元の年齢に近くなった頃、父は一体の家庭用ロボットを作った。
名前は「ロック」。
私の弟のような存在だ。
その容姿は昔の一夏に雰囲気が似ていて何事に対しても私によく聞いてきた。まるで一夏が帰って来たかのように私は嬉しく感じた。
そして、遅れて「ロール」「カットマン」「ガッツマン」「ファイヤーマン」・・・・・っと次々と新しいロボットを世界に公表して普及が進められていたとき、事件が起きた。
突然ロック、ロールを除く父の作ったロボットたちが暴れ始めたのだ。
首謀者はDr.ワイリー・・・・・父と一緒に私を発見したあの時の男性だ。
彼は世界征服をすると宣言し、カットマンたちを駒をにして活動を開始したのだ。
父は何もできない自分を憎んだ。私も動きたいという気持ちがあったがまた一夏を失うようなことを繰り返してしまうのではないかと手が震えてできなかった。
そのとき、ロックが自分を戦闘用に改造してほしいと志願した。
父は驚いた。私も。
私はロックを失いたくないとばかりに止めに入ったがロックの意志は固く、最終的には父と揃って認めることにした。
ロックはロックマンとして、自分たちの兄弟を止め、無事にワイリーの野望を阻止した。
だが、これで終わったかと思ったらそうではなかった。
ワイリーは、さらに自分のロボットを製作しロックに挑んできたのだ。
ロックは何度もワイリーの野望を阻止するが私は何もできない自分に苛立った。
今の自分には何もできないのか?
弟のようにかわいがっていたロックが戦っている中で自分は見ることしかできないのか?
次第に自分を追い詰めている自分に気づいたのか父はある日、私にあるものを見せた。
それは依然預けた暮桜をロックをベースに改造したパワードスーツだった。
話によればデータの破損が多く、刀剣型近接武器「雪片」を復元した以外はシールドエネルギーの効率よくするために色々カスタマイズしてくれたのだという。
ちなみに単一仕様能力「零落白夜」を多用しなければソーラーエネルギーによって活動はほぼ無制限なのだとか。
束が聞いたら口が閉まらなくなるかもな。
私はロックと共にワイリーの野望を阻止するようになり、六度目の戦いでようやく彼を逮捕することに成功した。
これで戦う事はなくなる。
ようやく平和が訪れるのだと私は安堵した。
・・・・・・気がつけばもう夜の2時を回っている。
そろそろ寝なくては。
以上で記録レポートを終了する。
20XX年 〇月×日 チフユ・ライト
後書き
次回からはロックマン7
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