八条学園騒動記
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第五百六話 イッカククジラの牙その十一
「やっぱりね」
「海水を飲むな」
「そうよね」
「魚は全てそうだしな」
「鯨だってそうよね」
「海の生きものは本当に大抵そうだが」
「ステラーカイギュウは違うのね」
海水生の生物だが飲む水は淡水なのだ、こうした生物は実際に珍しい。何故なら海に言えば海水がまさに周りに幾らでもあるからだ。
「何かそれだけでね」
「生活出来る場所が限られるな」
「そうだ、だから発見しやすい」
「入り江にいればいるから」
「寒帯のな」
「しかも大きいけれど大人しくて」
ナンはここでもステラーカイギュウの性質について話した。
「仲間思いで」
「逃げることも戦うこともしない」
「隠れないの」
「海の中に潜るが」
「それだけね。本当に狩りやすい生きものね」
このことをあらためて思うのだった。
「しかも美味しいなんて」
「そこも大きいな、脂も美味い」
「お肉だけじゃないのね」
「俺も食べたことがあるが」
「どんな味?」
「アーモンドに似ている」
これにというのだ。
「かなり美味い、肉は柔らかい牛肉だ」
「うわ、ステーキにしたら」
それこそとだ、ナンはその話を聞いて述べた。
「もうね」
「最高に美味いな」
「煮てもよさそうね」
「実際にどっちも美味い」
「やっぱりそうね」
「だから食うとだ」
実際にそうすればというのだ。
「大きいしな、養殖もしている」
「海の牧場みたいな感じね」
「そうだ、尚シャチに襲われるとな」
「一発ね」
ナンは確信を以て言い切った。
「それこそ」
「そうだ、だからシャチがいるところにはいない」
「いたら大変ね」
「星によっては淡水生もいる」
「ああ、川とか湖にいるの」
「そうしたダイカイギュウもいてな」
「ステラーカイギュウもなのね」
今はのどかに水槽の底にある昆布を食べている彼等を観ながらだ、ナンは応えた。
「川とか湖にいる種類がいるの」
「この場合は淡水生のシャチが天敵だ」
「ここでもシャチなのね」
「寒いと鰐や鮫はいない」
どちらも変温動物だからだ、寒冷な気候ではどうしても鳥類や哺乳類以外は生きていきにくい。ただし水中では違う。決して氷点下にはならないからだ。
「しかしな」
「シャチはしっかりいて」
「それでだ」
「やっぱりシャチがいるといないのね」
「もっといるといられない」
シャチがいる場所にはというのだ。
「どうしてもな」
「食べられるからね」
「そういう理由だ」
「それはすぐにわかるわね。けれど淡水生のシャチって」
「星によってはいる」
「そうなのね」
「連合には色々な星があるからな」
銀河系のかなりを領有している、その中には色々な生態系の星があるのだ。それでそうした星も存在しているのだ。
「淡水生のステラーカイギュウやシャチがいる星もある」
「そこだとカイギュウも飲み水に困らないわね」
「そうだな、あとまた星によってだが」
とにかく星によって生態系が違うということだ。
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