八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百十八話 運動会の昼食その十四
「状況を打破しようとです」
「すればいいですね」
「そうすればまことにです」
「大きな成長を得られますね」
「そうなのです、苦しい辛いと思うならば」
まさにというのだ。
「その状況を抜け出る様努力すべきです、ただ」
「ただといいますと」
「明らかにどうしようもない危機やそうしたものからは」
畑中さんは僕にあらためて話してくれた、ここであらためたのは口調だった。今は二人共デザートを食べている。苺が美味しい。
「逃げてもいいのです」
「いじめとかですね」
「孟子に書いています」
中国の古典だ、儒学についての書で性善説で知られている。
「若し王が人を理由なく殺す様なら」
「その国を去るべきですね」
「そうした無道な君主ならです」
人を訳なく殺す様な輩ならというのだ。
「自分にも危害が及びます」
「その王に立ち向かうことが出来ないのなら」
「もうです」
「逃げるべきですか」
「難を逃れることは賢です」
そちらになるというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「逃げることもです」
それもというのだ。
「いいのです」
「そうなんですね」
「はい、いじめや虐待についても」
「逃げるのも手ですか」
「それで命を落としては何にもなりません」
だからだというのだ。
「それは苦しい時、辛い時ですが」
「頑張る時でもですか」
「ない場合が非常に多いので」
「逃げてもいいですか」
「それは難を逃れるもので」
「賢明な手段ですか」
「訳もなく暴力、それも以前お話させて頂いた」
畑中さんは苺を食べつつ僕に話してくれた。
「剣道部の部活な過剰な暴力を振るう教師ですが」
「畑中さんが成敗された」
「こうした輩に子供が立ち向かえるか」
「無理ですよね」
「はい、人は圧倒的な暴力を受けますと」
どうなるかもだ、畑中さんは僕に話した。
「無抵抗になります」
「恐怖で、ですね」
「何も出来なくなります」
「それってまんまヤクザの手法ですね」
「日本の教育ではそれがまかり通っています」
そうしたヤクザ屋さんのやり方がだ。
「そしてその教師もです」
「生徒にとんでもない暴力を振るってですか」
「やりたい放題をしていましたが」
「あの、確か」
僕は畑中さんに教えてもらったことを畑中さんご自身に話した。
「部員の人を床の上で背負い投げにしたんですよね」
「受け身を知らないというのに」
「それ傷害罪というか」
「下手をすれば死んでいますね」
「畳の上でも」
例えそこで投げてもだ。
「受け身を知らない相手には」
「絶対にしてはならないです」
「そんなことする人間だったら」
「逃げないとです」
「命に関わりますね」
「はい」
だからだというのだ。
「無道には逃げるべきです」
「DVとかもですね」
「家族暴力を振るうなぞ」
畑中さんは嫌悪を込めて言った。
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