八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百十八話 運動会の昼食その十二
「自分が偉いと思えます」
「その人はそれだけだったんですね」
「本当に何も努力せず」
そしてというのだ。
「それだけの人で」
「結果誰からも嫌われて」
「その宗派からもですか」
「見放されまして」
「宗教団体で人を見放すことは」
「まずないですね」
「人を救済する組織ですからね」
それが宗教の存在意義だからだ。
「ですから」
「本当にこのことはです」
「まずないですね」
「そうなのですが」
「その人は、ですか」
「あまりにも酷かったので」
努力せず上から目線で批判それもその宗派の組織や教義をまともに学ばないで言うだけではというのだ。
「しかも怠惰で」
「口だけ達者で、ですか」
「そうしたことをあらためないので」
「見放されたんですね」
「そうなりました」
「自業自得にしても」
その話を聞くとだった。
「何か」
「やりきれないお話ですね」
「はい」
心から思ってだ、僕は畑中さんに答えた。
「覚醒剤中毒の人も救う場所なのに」
「廃人になろうとも」
「そうした世界からもですか」
「どうにもならないと判断されまして」
「見放されてですか」
「今は最早」
そうなってというのだ。
「行方知れずです。おそらくですが」
「野垂れ死んでいますか」
「とかく何も出来ず何も努力しないので」
「それで文句ばかりですか」
「上から目線で。これでは」
そうした人だからというのだ。
「誰からも相手にされないです」
「そうなってはですね」
「今や宗派の中で半分いなかったことになっています」
「相当ですね、本当に」
「その人の親戚の人は宗派のことを学ぶこと、活動に熱心ですが」
「その親戚の人にもですか」
「殆どの人が言わないまでにです」
仮にも親戚だが、というのだ。
「いなかったことにされています」
「徹底してますね」
「左様ですね」
「何も努力しない人は救われないですか」
「そうした場合もあります。これで心根がよければ救われますが」
努力せずともだ、所謂憎めない人か。
「しかしです」
「その人みたいな心だと」
「どうにもなりません、もっともこうした人はです」
畑中さんは最後のお握りを食べた、気付けば僕達はかなりあったお弁当をそれぞれ殆ど食べてしまっていた。
「非常に稀で」
「反面教師にもですか」
「なりますが」
それでもというのだ。
「滅多にいない人です」
「そうでしょうね。宗教団体からも見放されるなんて」
「しかもしっかりした宗派です」
「そうしたところからもは」
「まずないです」
「余程酷い人なんですね」
「左様です、生きていて何の努力もしなかったのですから」
正しく学ぶことも人格を学ぶこともだ。
「そうした人は本当に稀です。ですが止様は違います」
「ですね、親父は破天荒でも」
こう言うしかない人間性でもだ。
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