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夢幻水滸伝

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第八十六話 蝦夷地からその五

「いや、思った以上にね」
「勢力拡大がですか」
「出来ていると」
「そう言われますか」
「かなりね、これはね」
 まさにと言うのだった。
「思った以上よ、これは助かったわ」
「星の方が来られたとなると」
「それならです」
「多くの者は従います」
「そういうことです」
「そうなのね、じゃあ札幌の周りは順調に勢力に収めたし」
 それでとだ、さらに言う千歳だった。
「今度は南の方に行って」
「そしてですね」
「次は函館ですか」
「あちらをですか」
「そう、あそこを手に入れて漁業をさらに充実させて」
 そしてというのだ。
「貿易もね」
「そちらにもですか」
「力を入れられますか」
「札幌はロシアの東とも交易をしているけれど」
 そして蝦夷の中心地でもある、交易でも賑わっているのだ。
「函館はね」
「日本の中を相手に」
「そうしてですね」
「交易を行い」
「そして利を得ていきますか」
「そうしましょう」
 まさにと言うのだ。
「函館ではね」
「そうですか、ではです」
「函館の街の長老達にもですね」
「人を送り」
「そのうえで」
「ええ、話で終われば」
 ことがというのだ。
「それでね」
「いいですね」
「ではですね」
「函館にも人を送り」
「そしてそのうえで」
「我等の勢力圏にもしますか」
 長老達も応えた。
「よいお考えです」
「ではこれよりです」
「函館にも人を送ります」
「そのうえであちらも勢力に収めましょう」
「アイヌは一つじゃないけれど仲良くしていく」
 千歳の言葉だ。
「そう思うしね」
「はい、それではです」
「函館にも人を送りましょう」
「そして十勝等にも」
「そうしていきましょう」
「そういうことでね。ただ」
 千歳はどうかという顔になりながらこうも言った。
「いざって時はね」
「戦もですね」
「避けられないですね」
「何かあれば」
「その時は」
「戦いますね」
「そうするから」
 仕方ないという声での言葉だった。
「そのこともね」
「承知しています」
「そのこともです」
「どうしても従わないのならですね」
「仕方ないですね」
「戦も」
「そう、だから戦うわ」
 千歳は仕方ないと述べながらも覚悟を決めている顔で言った。
「その時は」
「棟梁ご自身がですか」
「そうされますか」
「ええ、私は天候や気候を使えるから」
 だからだというのだ。 
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