夢幻水滸伝
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第八十六話 蝦夷地からその四
「我等は戦いは必要なら行うが」
「無益な戦はしないわよね」
「そうだ、狩猟もするが」
それでもというのだ。
「無益な血は好まない」
「そうよね、だったらね」
「話でか」
「ことを進めていきたいのよ」
「いい考えだ」
長老の一人は確かな声で述べた。
「それはな」
「それじゃあ」
「ここで若し大軍を用意して覇道を目指すと言っていたなら」
長老達はここで千歳に忠告する様に告げた。
「その時は我等は従っていなかった」
「すぐにこの場を去っていた」
「そして二度と貴殿の前に出なかった」
「無益な戦を行うというのなら」
「そうしていたが」
「話、和で進めるならな」
「文句はない」
千歳に口々に告げた。
「貴殿は星の者に相応しい」
「この世界を救うな」
「無益な血を好まず和を第一にする」
「それならばな」
「そうなのね。じゃあまずは札幌だけれど」
この街だとだ、千歳は長老達に笑顔で応えつつ述べた。
「この街を治めていきたいけれど」
「そこは任せて下さい」
長老達の口調が変わった、千歳に対して敬意を払うものになっていた。そしてその口調で彼女に言うのだった。
「ここは我等が治めている街です」
「その我等が貴女に従うのです」
「それならば何の問題もありません」
「この街は貴女の街です」
「そうなりました」
「そうなのね、じゃあここの周り、特に小樽ね」
この街だというのだ。
「人をやって」
「そうしてですね」
「そのうえで、ですね」
「札幌の周りを勢力圏に収め」
「そうしてですね」
「そこを地盤にしてね」
そのうえでというのだ。
「勢力圏を拡大していきましょう」
「わかりました、ではです」
「我等が周りの街や村に人をやっていきます」
「そろれの街や村につてがありますので」
「親しい者達を送り説得して」
「そのうえで」
「わかったわ、そこは任せるわね」
千歳は長老達の言葉に笑顔で答えた。
「充分にね」
「はい、それでは」
「そこはお任せ下さい」
「勿論小樽もです」
「そこにも人をやりますので」
「お願いするわね、この辺りは漁業も盛んだけれど」
千歳は産業の話もした。
「農業と合わせてね」
「そちらもですね」
「力を入れる」
「そうしていきますね」
「そうしていきましょう、あとこの世界を救う星の者が来た」
この蝦夷にとだ、千歳はさらに述べた。
「このことをね」
「ふんだんにですね」
「宣伝をして」
「そのうえで」
「こちらに入る様に伝えていきますね」
「そうしていくわ」
こう言ってだ、実際にだった。
千歳は多くの街や村に人をやった、特に小樽に。彼等も星の者達が来たと聞いてそれで頷いてだった。
そのうえでだ、こう言ったのだった。
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