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夢幻水滸伝

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第八十六話 蝦夷地からその二

「勢力拡大していくわ」
「そうしていくんだな」
「まずは」
「この世界を救う為に」
「あと蝦夷地も」
「そうするわ、それでこの世界の札幌はどうなってるのよ」
 千歳は今度はこのことを問うた。
「一体」
「ああ、長老さん達が集まってな」
「話し合って治めてるぜ」
「一番偉い人って特に決まってないぜ」
「これといってな」
「わかったわ、じゃあね」
 そう聞いてだ、千歳は頷いてだった。
 すぐに長老達の集会場所に行った、すると今は誰もいなかったがそこを守る衛兵が千歳の話を聞いてだった。
 それならと頷いてだ、こう彼女に答えた。
「それでは」
「そういうことで長老さん達に集まってもらって」
「そちらの話を聞くということで」
「お願いするわね」
「それでは」
「何かね」
 アイヌの男の民族衣装を着て剣と弓矢で武装している衛兵に述べた、竜人族で小人である千歳の八倍はある背の高さだ。
「私この世界邪小人だから」
「コロボックルな」
「そうそう、蝦夷ではそう言うのよね」
「ああ、コロボックルだからだよな」
「起きた時も小さいけれど」
 それでもというのだ。
「ここじゃ余計に小さいから」
「困ることがあるかい?」
「歩く幅が狭いから」
 小柄だから当然のことだ、コンパスが小さいとそれだけ歩幅も大きくなる。
「歩く量も多くなって」
「それが大変か」
「ええ、そこをどうするか」
 考える顔になって言うのだった。
「術で飛んだりした方がいいかしら」
「実際コロボックルだと術を使う奴が多いな」
「小さくて格闘とか出来ないしね」
「フェアリーもそうだしな」
 この種族もというのだ、千歳もここに来る途中でその種族も見ている。
「小さい種族はどうしてもな」
「身体の関係で格闘とかに向かないから」
「術を使って戦場に立つことが多いな」
「やっぱりそうなのね」
「だから移動でもな」
 千歳が言ったそれでもというのだ。
「飛翔の術や移動の術でな」
「移動するのね」
「ああ、それでな」
 それでというのだ。
「あんたもそうするといいさ」
「それじゃあね」
「ああ、それと長老さん達はな」
「呼んでくれるのね」
「ここに集めてくれるな」
 まさにここにというのだ。
「いいな」
「わかったわ、それじゃあ待たせてもらうわね」
「何処で待つんだい?」
「ここで待っていいかしら」
 長老達が集まって話をするこの建物、言うならば議会でというのだ。
「そうしても。実はここに来たばかりでお家もないし」
「まだ宿無しか」
「ええ、それでね」
「じゃあここには寝泊りする場所も食いものや飲みものもあるしな」
 それでというのだ。
「ここで待つといいさ」
「それじゃあね」
「ああ、長老さん達をすぐに呼ぶからな」
「待たせてもらうわね」
 こうして千歳は建物、中世の日本ではなくアイヌの様式であるその建物の中に入って長老達が来るのを待った。するとすぐに人間だけでなくエルフやドワーフ、サイクロプスやゴーレムといった様々な種族の年老いたアイヌの服を着た者達が来た。 
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