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夢幻水滸伝

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第八十五話 侠気の者達その九

「こっちの世界だとな」
「政のことがだね」
「ああ、どんどんわかってな」
 そうしてというのだ。
「何をすればいいかってな」
「わかってだね」
「それでだよ」
「内政を勧められるんだね」
「そうなんだよ」
 実際にというのだ。
「今みたいにな」
「そうなんだね、やっぱりそれはね」
「星の奴で神具も持ってる」
「そのせいだね、星の人ってのは」
「こっちの世界じゃ凄い力持ってるな」
「そうだね、世界を救うって言われてるけど」
 麻友は幸田に考える顔で述べた。
「そのせいかね」
「ああ、凄い力があるんだろうな」
「神様みたいなね」
「そしてその神様みたいな力のせいか」
「吉君も政のことがわかるんだね」
「それは麻友っちもだろ」
「うん、何となくにしても」
 それでもとだ、麻友も幸田に答えた。
「わかるよ」
「もっと言えば何となくでもないだろ」
「そうだね、結構はっきりとね」
「何処で何をどうすればいいってな」
「政がわかるよ」
「じゃあこの関東をな」
「よく治めていこうね」
「そうだな、そうしてな」
 そのうえでというのだ。
「豊かになった国の力で」
「まずは日本統一だね」
「そうしていくぜ、さて話が一段落したし」
 それでとだ、幸田は麻友に笑って話した、すると白い歯が口から出てそれできらっと見事に光った。
「何か食うか」
「今日は何を食べるんだい?」
「おう、お忍びで城を出てな」
 今二人が住んでいる江戸城をというのだ。
「それで街で寿司を食うか」
「お寿司かい」
「やっぱりあれだろ、江戸って言ったらな」
「お蕎麦に天婦羅に鰻にね」
「寿司だからな」
 それ故にというのだ。
「寿司を食ってな」
「そうしてだね」
「楽しもうぜ」
「いいね、そういえばこっちの江戸の街では屋台のお寿司屋さんもあるね」
「ああ、結構な」
「元々お寿司屋さんは屋台だったね」
「そうらしいな、馴れ寿司っていうのの代わりで出てな」 
 幸田は麻友に答えて寿司のその話をした。
「そうしてな」
「それでだよね」
「ああ、寿司はな」
「江戸の街に定着して」
「日本全体に定着してな」
「今に至るんだよね」
 ここで二人が話している寿司は握り寿司若しくは巻き寿司だ、かつては馴れ寿司という時間をかけて作る寿司が主流だったのだ。
「そうだよね」
「まああれだな」
 幸田は麻友に腕を組んで言った。
「ファーストフードだな」
「あたし達の今の言葉で言うとね」
「寿司はそうだったんだよ」
「そうだね、手軽に食べられる」
「まあ今でも食い放題とか回転寿司とかあるけれどな」
 そうした店もというのだ。
「お高い店が多いが」
「最初はそうだね」
「屋台の前で立ってな」
「握られて出されたのを食べる」
「そんな風だったんだよ」
「それでそのお寿司をね」
「ああ、食いに行こうぜ」
 幸田は麻友に笑ったまま話した。 
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