八条学園騒動記
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第五百五話 水族館と動物園その二
「海はね」
「縁がなかったか」
「だから水族館もね」
この場所もというのだ。
「縁がなかったのよ、もっと言えば都会ともね」
「縁がなかったか」
「ええ、淡水の水族館とも」
この学園の水族館はこちらも充実している。
「無縁だったわ」
「だからか」
「特に寒い海の生きものは」
「見たくてか」
「うきうきしてるわ」
そうだというのだ。
「私もね」
「それはいいことだな、俺は逆にな」
「ええ、あんたの場合はね」
「海に囲まれて育っていた」
だからだというのだ。
「草原には縁がなかった」
「そうよね、というかあんたのお家って」
「水族館をやってるからな」
「そうよね」
「八条グループの下でな」
「水族館のチェーン店で」
「代々働いている」
店長として、というのだ。
「俺も大学を卒業したら実家に戻ってな」
「水族館で働くのね」
「それで家を継ぐ」
家業、それをというのだ。
「そうしていく」
「つまり店長さんになるのね」
「そうなっている、だからな」
「今から八条学園の水族館に行って」
「勉強もしている、それにな」
「元々よね」
「海や川の生きもの達が大好きだ」
そうだというのだ。
「恐竜もな」
「海の恐竜ね」
「正確に言うと水棲の大型爬虫類らしいがな」
何でも恐竜ではないらしい、ティラノサウルス等は恐竜だがプレシオサウルス等は違うというのだ。
「そちらも好きだ」
「そうなのね」
「ただ、うちの水族館にはな」
「恐竜はいないのに」
「大き過ぎる」
それでというのだ。
「あれは普通の水族館では飼えない」
「うちの学園は別よね」
「大きいからな」
「だから海の恐竜も飼育してるわね」
「動物園でもな、しかしな」
「あんなの特別な例よね」
「十数メートルは幾ら何でもな」
大き過ぎるというのだ。
「しかも凶暴だしな」
「人間も普通に襲うし」
「しかも一口だ」
「ぺろりで」
「だから恐竜はな」
「そうそう飼育出来ないわね」
「牧場もあるが」
この時代の連合には恐竜の牧場もあるのだ、ブロントサウルスやトリケラトプス等を育てて革や卵、肉を利用している。
「実用化まで大変な苦労があった」
「踏まれたら終わりだしね」
「体当たりでジープも吹き飛ばす」
「恐ろしい存在よね」
「だからだ、牧場もな」
それを経営することもなのだ。
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