| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十五話 侠気の者達その二

「いつも戦してたらきりがないぜ」
「百戦百勝は最善ではない」
 日毬は幸田の言葉にこう返した。
「むしろかなり悪い」
「下の下以下かも知れないか」
「そこから敗北するならな」
 その場合ならというのだ。
「下の下以下になるだろう」
「やっぱりそうか」
「だからだ、貴殿のその考えはな」
「正しいってんだな」
「そうだ、では人をやるか」
「ああ、まずはな」
「ただ。戦の用意もですね」
 それもとだ、今度は遠藤が言ってきた。
「していきますね」
「今言った通りにな」
「左様ですか」
「話が第一にしてもな」
「戦の用意もですね」
「していくぜ」
 こう言うのだった。
「そっちも」
「わかりました、それでは」
「そっちの用意も今からするか」
 人を送る用意もしてというのだ、そしてだった。
 実際にその二つの用意に入ったが入ったその時にだった、江戸城に上野と常陸との境からそれぞれ物見にあたっていた者達が来た。そうして幸田達に報を届けた。
「上野で地震が起こりました」
「常陸では津波です」
「こちらの国境も余波を受けています」
「下総の海にも津波が来ました」
「それはまずいな、すぐに救助の兵を送るぜ」
 幸田は使者達の言葉を聞いてすぐに言った。
「あと上野と常陸には兵は送れないがな」
「どうされますか」
「あちらについては」
「食いものやら布団やらを送ってやれ」
 幸田は使者達に告げた。
「いいな、すぐにだ」
「すぐにですか」
「食いもの等をですか」
「そうだよ、送ってな」
 そしてというのだ。
「あっちに必要なものは何でも言えって言ってくれ」
「あの、双方共敵ですが」
「それでもですか」
「こんな時はお互い様だろ」
 幸田は自分の言葉に驚く使者達の問いに眉一つ動かさず答えた。
「そうだろ」
「だからですか」
「今すぐにですか」
「食いもの、欲し飯だけじゃなくて色々保存の利くものにな」
 それにと言うのだった。
「布団も銭も。服だっているな」
「あちらに必要なものを」
「全てですか」
「送りな、そしてな」
 さらに言うのだった。
「一人でも多くの人を助けるんだよ」
「そうですか、では」
「今すぐにですね」
「ああ、おめえ等はあっちに行ってな」
 上野と常陸にそれぞれというのだ。
「伝えな、おいら達は兵を移動の術で向かわせるだけ向かわせてな」
「国境にですね」
「そうしてですね」
「勿論おいら達も行ってな」
 そうしてというのだ。
「民達を救うぜ」
「わかりました、それでは」
「すぐに伝えに行きます」
 使者達はすぐに答えてだ、そしてだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧