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夢幻水滸伝

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第八十五話 侠気の者達その一

               第八十五話  侠気の者達
 下野も手に入れた幸田はこの国の政も進めていった、だが彼はこの状況でも慢心しないでそのうえでだった。
 江戸城に日毬達を集めてそのうえで言った。
「さて、次はな」
「上野と常陸だね」
「その二国だよ」
 麻友に即座に答えた、今いる江戸の四人の星達全員が集まっている。
「そして二人の星達だよ」
「そうだね、どうしていくかね」
「もう各個撃破は出来るからな」
 幸田はこのことも言った。
「下野を手に入れて上野と常陸が手を組めない様にしたからな」
「楔打ったね」
「いい楔をな、連中も下野に来なかったしな」
「何でもあれみたいだよ」
 麻友は幸田に笑って話した。
「二人共今もそれぞれの国を治めるので手が一杯でね」
「それでか」
「下野にも来られなかったんだよ」
「ああ、今もそうなんだな」
「それで今やっと動ける様になったみたいだけれど」
「時既に遅しだな」
「そうみたいだね」
 麻友は幸田にこうも話した。
「それじゃあこっちはね」
「ああ、後はな」
「どっちを先に攻めるかって話になるね」
「そうだな、じゃあな」
「こちらとしてはどちらを先に攻めてもいい」
 日毬も幸田に言った。
「今はな」
「そうだよな、じゃあな」
「どちらを先に攻める」
「おいらこうした時は賽子で決めるけれどな」
 それを振ってというのだ。
「あまりよくないよな」
「考えて決めた方がいい」 
 日毬は即座にこう返した。
「カエサルもそうしたがな」
「あの時のカエサルはあれだよな」
「考えて考えてだ」
「どうしても結論が出なかったな」
 ガリアに出征中にローマが政敵である元老院派が名将でありカエサルが手を結んでいたオクタヴィアヌスを抱き込み彼をローマの敵として裁判に軍を置いてうえで出頭する様に言ったのだ、そのままいけばよくて失脚悪くて命を落とす状況になりカエサルはどうすればいいのかを逡巡していたのである。
「それで、だったな」
「賽子を振ったが」
「あれはどうしようもない時にか」
「するものでだ」
 それでというのだ。
「滅多にするな」
「そうだよな、やっぱり」
「だからだ」
「普段はするな、か」
「その方がいい」
「考えて考えてか」
「そして人の言葉を聞いてだ」
 自分で考えるだけでなく、というのだ。
「そうして結論を出すことだ」
「そうしないと棟梁じゃねえか」
「棟梁としてだけでなく人間としてもな」
「そうか、じゃあ今もか」
「よく考えることだ」
 日毬は幸田にあらためて話した。
「いいな」
「ああ、じゃあここはな」
「どうする」
「そうだな、少し考えさせてくれ」
 こう言ってだ、幸田は実際に少し考えた。そうしてそのうえで仲間達に対してこう言ったのだった。
「まずは攻めずにいくか」
「いつも通りにだな」
「ああ、攻める用意はするけれどな」
 それだけでなくというのだ。
「それぞれの国に人をやってな」
「そうしてだな」
「降る様に言うか」
「これまで貴殿が豪族や国人達にしてきた様に」
「話で済むならいいさ」
 それが最善だというのだ。 
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