戦国異伝供書
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第三十二話 青から赤と黒へその十四
「どうかと思う、ここはな」
「当家と武田家のお話をですね」
「すべきではないか」
こう言うのだった。
「この度はな」
「確かに。両家なとかく関わってきましたし」
「川中島では特にな」
「そうした間柄なので」
それ故にと言うのだった。
「ここはですな」
「二つの家で話をしようぞ」
「確かに」
少し考えてからだ、謙信は信玄に答えた。
「そう言われますと」
「その様がよいな」
「それでは」
「おお、今度は二つの家の話か」
そう聞いてだ、元親も思わず声をあげた。
「これは面白そうじゃ」
「一度じっくりとお聞きしたいと思っていました」
浅井長政も言ってきた。
「それがしも」
「全くじゃな」
「はい、いい機会ですな」
「ではじゃ」
それではとだ信玄も二人に応えてだった。
謙信と共に話に入った、だがここで。
謙信は笑ってだ、こんなことも言った。
「今宵が楽しみですな」
「それはどうしてじゃ」
「今のからする話を思い出して」
そしてというのだ。
「楽しく飲めそうなので」
「縁側でか」
「梅を肴にして」
いつもそうしている様にというのだ。
「出来ますので」
「だからじゃな」
「はい、今からです」
まさにとだ、笑顔で言う謙信だった。
「実に楽しみです」
「それを言うとわしもじゃ。お主程ではないが」
「酒はですな」
「好きじゃ」
そうだというのだ。
「それはな」
「左様ですね」
「だからじゃ」
「今宵は」
「今からする話を思い出してじゃ」
それもまた肴にしてというのだ。
「飲んでな」
「楽しめますな」
「そう思うだけで楽しみじゃ、ではじゃ」
「これよりですね」
「我等で話そう」
「ううむ、思いますると」
ここで幸村も呻る様に述べた。
「当家も上杉家も色々ありました」
「全くじゃ」
山縣が応えた。
「幾度も死線を越えたり政をしたりな」
「まことにでしたな」
「嵐の様であったわ」
「全く以て」
「そのことを話すとなるとな」
山縣にしてもだった。
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