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オズのファイター大尉

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第二幕その九

「このお蕎麦は関西のお蕎麦みたいですね」
「日本の関西なのね」
「はい、日本では関東と関西でまた違いまして」
「特にお料理がなのね」
「関東のそばつゆはおろし大根のお汁にお醤油を入れたもので」
 そうしたものだというのです。
「辛いんです」
「そうなのね」
「このそばつゆよりも」
「辛いなら」
 それならと言うドロシーでした。
「そばつゆに付けても少しね」
「関東、東京じゃそうみたいです」
「そうなのね」
「それで噛まずに喉越しを味わうとか」
「あら、噛まないの」
 ドロシーはお蕎麦は噛んでいます、それはトトも神宝達五人もです。
「お蕎麦を」
「温かいお汁のお蕎麦は噛むみたいですが」
「ざるそばは噛まないの」
「そうみたいです」
「消化によくなさそうね」
「あっちじゃざるそばが主流らしいですが」
 温かいお蕎麦よりもというのです。
「それで、です」
「辛いおつゆで噛まずに飲み込む」
「それも一気に」
「ううん、私はね」
 ドロシーとしてはでした。
「その食べ方はね」
「出来ないですか」
「食べものは。麺類でもね」
「噛まれますよね」
「噛まない食べものはないわ」
 ドロシーの場合はそうなのです。
「日本のお蕎麦でも色々なのね」
「そうみたいですね」
「オズの国では日本は日本だけれど」
「日系人の人達がいても」
「それぞれのルーツまであまり考えてなかったわ」
「日本って言っても広いですしね」
「そう言われると」
 さらに言うドロシーでした。
「皆そうね。オズの国も大きく分けて五つの国があって」
「その五つの国の中に色々な国があって」
「色々な人達がいてね」
「白人の人も黒人の人もいて」
「ヒスパニックの人達、アジア系の人達がいて」
 それでというのです。
「例えば日系人にしても」
「オズの国では日系人だけですね」
「けれど日本って言っても色々ね」
「そうなんですよね」
「私は私が最初に食べたお蕎麦を出して」
 そうしてというのです。
「今もこうして食べてるけれど」
「関東のお蕎麦はですね」
「食べたことがないわ」
「そうなんですね」
「けれどオズの国には大阪もあるし」
 かつて行ったこの街のことも思いだしての言葉です。
「そしてね」
「東京もですね」
「あるから」
「東京のお蕎麦もですね」
「味わえるわ、そして食べれば」
 その時にというのです。
「私はどう思うかしら」
「同じざるそばを食べても」
 それでもと言ったトトでした。
「違うって思うだろうね」
「そうよね、やっぱり」
「同じソーセージを食べても違うって思ったりもするし」
「ええ、中のお肉や腸の違いでね」
「同じ調理法でも違うからね」
 だからというのです。
「おそばもそうなんだろうね」
「ええ。じゃあ今度ざるそばを食べる時があったら」
 ドロシーはトトに真剣なお顔で答えました。 
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