八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百十四話 運動会が近付きその十二
「それでもね」
「DV夫でしたのね」
「父親としてね」
「そうした人でしたの」
「完璧な人はいないからね」
このことがもう人間の真理だと思う。
「だからね」
「夏目漱石もそうで」
「太宰治もね」
「愛人の人がいて」
「しかも最後はね」
「その愛人の方と、でしたね」
「心中しているから」
それまでの人生で二度そうしようとしていた。
「それでね」
「世を去りましたね」
「そうなったからね」
「何といいますかもてても」
「まあね、美形でお金持ちの家でね」
それで作家として有名でだ、太宰はデビューした時から名を知られていたとあるから相当だったと思う。
「何でもある様でも」
「自殺したりとか」
「あるからね」
「わたくし自殺は」
ジョーンさんはこの行いについて暗い顔で言った。
「どうしても」
「駄目なんだ」
「キリスト教では禁じられているので」
「ああ、そうだったね」
「自殺は大罪です」
「地獄に落ちる様なね」
「日本では違う様ですが」
僕にこのことも言ってきた。
「自害もあり」
「切腹だね」
「キリスト教国ではないせいか」
「まあ自殺は日本でもよくないけれど」
今の日本ではそう考えられているふしが強い。
「それでもね」
「キリスト教よりはですね」
「あまり抵抗がないから」
それでだ。
「切腹とかあって」
「それはむしろ名誉ですね」
「武士のものだからね」
処刑されるよりは遥かにいいとされている。
「だからね」
「それで、ですわね」
「うん、まだね」
「いいですのね」
「そうだよ、それでね」
僕はさらに話した。
「太宰も。それで芥川も」
「自殺については」
「二人共抵抗なかったみたいだね」
太宰は二回の心中未遂を含めて三回か四回自殺未遂を起こしているし芥川は辞書で自分の息子さん達に自殺を勧めさえしている。
「どうも」
「そうですのね」
「まあそれはね」
「日本人の考えですわね」
「そう言えるね」
「そうして自殺して」
「後はね」
その後はだ。
「生まれ変わる、かな」
「輪廻転生ですわね」
「うん、仏教の考えで」
「人間は何度も生まれ変わりますわね」
「解脱しない限りね」
それこそ永遠にだ。
「人になったり他の生きもになったり」
「六つの世界を行き来して」
「地獄に落ちることもあるよ」
罪を犯した場合はだ。
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