八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百十四話 運動会が近付きその十
「多分日本で言うと田舎っぺ大将」
「古い漫画出しますね」
「田舎者とか言われるし」
オーストラリアの人達自身もというのだ。
「言葉もそう」
「田舎者ですか」
「それの言葉だって」
「だからですね」
「そう、私達は田舎者」
オーストラリア人はそうだというのだ。
「特に私は」
「エリザさんは、ですか」
「そう、アボロジニーの血を引いていて」
「ハーフでしたね」
「そうだし」
昔はアボリジニーの人達もかなり迫害されていたらしい、タスマニア島では原住民の人がいなくなっている。
「住んでいた場所も」
「田舎でしたか」
「そのオーストラリアの中でも。それで言葉も」
「田舎の方言だったんですか」
「日本で言うと津軽弁かも」
「そうした訛りですか」
「だから田舎っぺ大将」
この作品の主人公の出身地は東北だった、尚最初はきりっとした結構二枚目の顔であった。服装は着物と袴で同じでも。
「そう言ったの、けれど」
「けれどっていいますと」
「アボリジニーは褌じゃないから」
あの主人公と違ってというのだ。
「音楽聞いていつも脱がないし」
「あの主人公はそうした癖があるんで」
ひょっとしたら病気じゃないかとも思っていた時期があった、毎回あの音楽を聴くと褌一枚になって踊ったからだ。
「特別です」
「そうなの」
「はい、あの主人公だけの」
「そうだったの」
「あんな人間そうそう実在しませんから」
正直実在したら怖いと思う。
「相方の大阪人も」
「あのちょっとズルいけれど憎めない」
「何だかんだでいつも主人公にやられてますけれど」
特にその褌一枚で踊る時にだ。
「ああした大阪人もいませんよ」
「そうよね、やっぱり」
「あの漫画は漫画ですから」
しかもギャグ漫画だ、ものごとを大袈裟に描く。
「ポピュラーじゃないです」
「そういうことね」
「東北の人もああした人いないですから」
「うちの学園でもそうね」
「はい、ただオーストラリアは」
「私のいたところは言うなら津軽」
「言葉がですか」
「かなりの訛り、オーストラリアの田舎に」
田舎と言われているこの国だ。
「そこにアボリジニーの方言も入って」
「それで、ですか」
「凄い訛りだから」
「津軽弁みたいに」
「こっちで聞いてびっくりした」
その津軽弁をというのだ。
「日本語に思えなかった」
「あそこと昔の鹿児島の言葉は特別ですから」
僕はエリザさんにこのことを断った。
「本当に」
「そうなのね」
「相当な訛りです」
日本の方言の中でもだ。
「津軽のそれは」
「そうなのね」
「太宰治も使っていました」
日本人の間ではあまりにも有名なこの小説家の出身はもうそれこそ一般常識の域に達していると思う。
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