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夢幻水滸伝

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第八十四話 江戸城入りその十四

「武者小路と有島が」
「手を結ばれるとな」
「それだけ厄介な勢力になります」
「幾らこっちが優勢でもな」
「そうです、上野に常陸そして」
「間にある下野まで手に入れたらな」
「大変な状況になるので」
 それでというのだ。
「ここはです」
「連中が手を結ばない様にするか」
「そうすれば各個撃破もです」
 幸田が今考えている戦略もというのだ。
「容易かと」
「それじゃああれだな」
 幸田は遠藤の言葉を聞いてすぐに言った。
「下野を攻めるか」
「上野と常陸の間にある国をか」
「そしてな」
「両方を遮断するか」
「そうすれば完全にな」
 上野と常陸、そして武者小路と有島はというのだ。
「各個撃破出来るからな」
「まずはか」
「ああ、下野を攻めような」
 幸田は日毬にも述べた。
「そうしような」
「いきなり直接攻めるよりか」
「そうだ、間の国を攻め取るとな」
「連絡を遮断出来てな」
「各個撃破もしやすいからな」
「だからだな」
「ああ、まずは下野だ」
 この国だとだ、幸田はまた言った。
「だからいいな」
「わかった、では下野攻めだ」
 この国を攻めるとだ、日毬も言った。
「あの国を攻め取るぞ」
「そうしような、じゃああの国はな」
「誰が攻めるかだな」
「それだな、一体誰が攻めるかな」
「自分が行きます」
 遠藤が右手を挙げて名乗りを挙げた。
「お三方は今はです」
「政か」
「それをして下さい」
 領有している国々のそれをというのだ。
「今は」
「じゃあそうさせてもらうな」
 幸田も遠藤に任せることにした、そのうえで彼に兵を預けそのうえで下野に向かわせることにした。
 そして出陣の時にだ、沿道にくれぐれもという口調で話した。
「略奪とかはするんじゃねえぞ」
「人としてあるまじきことは」
「御前はそんな奴じゃないってわかってるけれどな」
「兵達にもですね」
「その為に飯をいつもたらふく食わせて俸禄もあげてるんだ」
 だからだというのだ。
「いいな」
「兵達全てに対して」
「軍規軍律は徹底させろ」
「わかりました、それでは」
「ああ、若し武者小路や有島が来たな」
 下野にというのだ。
「その時はな」
「どうされますか」
「好機ってやつだ」
 幸田はその場合についてだ、遠藤に笑って答えた。
「こっちのな」
「彼等が下野に来た隙にですか」
「上野や常陸に兵を送ってな」
「そうしてですね」
「その二国を手に入れるんだよ」
 そうするというのだ。
「どっちかでもな」
「そうするだけですか」
「敵が攻めたらその本拠地を狙う」
「攻める分手薄になるからですね」
「援軍を送るよりこっちの方が労苦がかからなくてな」
 幸田は遠藤に笑って話した。 
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