夢幻水滸伝
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第八十四話 江戸城入りその十三
「政もしないといけないしな」
「新たに手に入れたこの三国の」
「そうしないといけないからな」
それでというのだ。
「だからな」
「はい、では」
「江戸城に戻ろうな」
こう話してだ、幸田は遠藤と共に上総の掌握を北からしていった。既に安房から日毬が攻め入っていていて上総の豪族や国人達は雪崩を打つといった感じで幸田の勢力に入っていった。そうしてだった。
幸田は上総も完全に掌握するとすぐに下総を上総の境に守りの兵を置いたうえで主力と自分達を江戸城に戻した、そのうえで。
幸田は江戸城の本丸で主な星の者達に言った。
「さて、これでまた三国手に入ったな」
「留守の間特に何もなかったよ」
麻友がこのことを報告した。
「別にね」
「ああ、おかしなことはだな」
「なくてね、上野とか下野の方もね」
「動きがなかったんだな」
「警戒はしていたけれどね」
麻友にしてもそうしていたのだ。
「けれど何もなくてね」
「政に専念していたんだな」
「お陰で武蔵と相模、伊豆はね」
「かなり治まったか」
「自信あるよ、だからよく見てね」
「それじゃあな」
「それでまた三国手に入って」
麻友は下総と上総、それに安房の話もした。
「そっちもだよね」
「政をしねえとな」
「そうだよね」
「それとだよ」
幸田はあらためて言った。
「その上野と下野にしてもだしな」
「常陸もだな」
安房と上総の南を攻めていた日毬も述べた。
「あの国もだな」
「ああ、つまり北関東だな」
「そこには星の者も二人いる」
「だから余計に難儀だな、今のところ南関東の浮島も手に入れていってるけれどな」
それでもとだ、幸田は日毬に応えて述べた。
「北関東も問題なんだよ」
「一体どうしていくかだが」
「今のところどっちの星の奴も一国だけだな」
武者小路も有島もというのだ。
「治めてる国は」
「そうだな、どちらもようやくだ」
「それぞれの国掌握したところか」
「まだこれからだ」
「それに対してこっちは六国でな」
「東国最大の街江戸に多くの田畑を持っていてだ」
「他にも街多いしな」
江戸以外にもとだ、幸田はまた述べた。
「国力は相当だよな」
「東国ではもう第一でこの日本でもな」
「近畿に次ぐよな」
「うむ、それだけの勢力になった」
「じゃあどうするか」
そのことをだ、幸田は言った。
「上野、常陸とどう向かうか」
「それだな、今の我々なら両方一度に相手も出来るが」
「おいおい、それはな」
幸田は日毬の今の言葉に笑って返した。
「駄目だろ」
「敵は個々にだな」
「そうだよ、個々にな」
まさにというのだ。
「倒していくべきだろ」
「その通りだ、だからだ」
この度はというのだ。
「各個撃破でいくべきだ」
「そうだな、じゃあな」
「どうする、一体」
「とりあえず二人が手を結ばない様にすべきかと」
遠藤がここで言ってきた。
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