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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百十三話 明るい宗教その十三

「どうしてもね」
「それは何処でもあるわね」
「どの国でもそうだよね」
「ええ、それで話戻すけれどタイとはね」
「仲は悪くないんだね」
「間に二国あるから」
 ラオスとカンボジアがだ。
「そのこともあるしお互いね」
「言わないから」
「平和よ、ただ何かあれば」
「その時は」
「結構いがみ合うわよ」
「というかベトナム戦争から仲悪かったね」
 タイがアメリカの方にいたからだ、中越戦争の後カンボジアに侵攻したベトナムはタイどころかASEAN諸国と彼等と親密な日本、アメリカ、中国、オーストラリアとソ連と手を結んだうえで対立していた。
「あの頃は」
「そうだったのよね、これが」
「何か色々あった国だね」
「そうね、戦争に次ぐ戦争で」
「そう思うと今は平和なんだね」
「ずっとね、それで他の国ともね」
 タイを筆頭としてだ。
「仲良くなってね」
「ダオさんも八条岳江に来てるし」
「平和になったわ」
「それは何よりだね」
「ええ、じゃあね」
 それならとだ、ダオさんは僕に言った。
「そろそろお昼が終わるから」
「授業に戻ろうか」
「そうしましょう、しかし結局ね」
 ダオさんは上を見上げてこうも言った。
「晴れないわね」
「そうだね、今もね」
「天高く馬肥える秋よね」
「変わりやすいのも秋だから」
 女心と、というけれどダオさんに気を使ってそこは言わなかった。
「だからね」
「それでなのね」
「こうしてね」
「悪いこともあるのね」
「晴ればかりじゃないよ」
 雨の時もある、人生自体がそうだ。
「そういうことだよ」
「そうなのね、じゃあ」
「うん、もう授業だからね」
 僕達は校舎の屋上を後にした、そうして午後の授業に向かった。天気は午後の授業の時も悪いままだった。


第二百十三話   完


                    2018・11・23 
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