夢幻水滸伝
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第八十四話 江戸城入りその五
「そっちでもあまり先陣切って戦うことはな」
「よくないか」
「御前さんの戦の仕方は聞いてるぜ」
「刀がある」
三本の神具であるそれがとだ、日毬は幸田に答えた。
「それを存分に使ってだ」
「戦ってきてるけれどな」
「それよりも軍勢でか」
「そうした方がいいかもな」
こう言うのだった。
「やっぱりな」
「軍勢での戦か」
「兵法を使ってのな」
「そうか、ではな」
「ああ、そうした戦の仕方もやってくれよ」
これまでの戦だけでなくというのだ。
「いいな」
「そうさせてもらう」
「それじゃあな、まずは三国を完全に手に入れるな、後浮島もな」
三国の上にある島々もというのだ。
「占領していこうな」
「そちらもしているが」
「引き続いてな」
「そうさせてもらう、あと普通の島もだな」
「ああ、伊豆諸島とか八丈島とかな」
そうした島々もというのだ。
「占領していこうな」
「そうしていくか」
「さて、そこまでは決めてるんだけれどな」
ここでだ、幸田は右手を顎に当てて考える顔になって述べた。
「問題はな」
「それからか」
「おう、日本を統一するにしてもな」
それでもというのだ。
「そこから一体どうするか」
「それならだ、下総と上総を手に入れてだ」
すぐにだ、日毬は幸田に述べた。
「江戸湾を完全に掌握してだ」
「あの二国もか」
「手に入れてはどうだ、そしてもう一つ道がある」
「もう一つ?」
「私が前から考えていたが」
「何でい、それは」
「実は下総に面白い者がいてだ」
幸田に顔を向けて話した。
「遠藤涼平というのだが」
「星の奴だな」
「そうだ、察したか」
「そいつをおいら達の仲間に迎え入れるんだな」
「そうするといい、これまでは相模と伊豆を攻めることに忙しかったが」
それでというのだ。
「人手が回らなかったが」
「それじゃあだな」
「うむ、私か貴殿が赴いてだ」
その遠藤のところにというのだ。
「そしてだ」
「こちらに迎え入れるんだな」
「そうだ、下総と上総を手に入れると共にな」
「そうなれば四人だな」
星の者がとだ、幸田は日毬の言葉を聞いて述べた。
「おいら達はより大きな戦力になるな」
「遠藤はリザードマンの格闘家だ」
「ああ、リザードマンでか」
「だから格闘と戦での仕事が主だが」
それでもというのだ。
「それでもだ」
「政も出来ない訳じゃないか」
「そうだ、だからだ」
それ故にというのだ。
「我々に引き入れるべきだ」
「わかったぜ、じゃあ江戸城の留守は麻友っちに預けてな」
そしてとだ、幸田は即座に決断を下して日毬に述べた。
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