八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百十二話 いよいよ開始その七
「雪女やつらら女以外にも日本の冬の妖怪がいるよ」
「そうなの」
「雪男とか雪ん子とか」
「雪男?」
「ヒマラヤの雪男じゃないよ」
僕はこのことは断った。
「あれは類人猿らしいけれど」
「そっちじゃないの」
「何かナマハゲみたいな恰好だったかな」
何かの漫画ではそうだった記憶がある。
「雪女のご主人だったりするんだ」
「夫婦なの」
「それで雪ん子はね」
「二人の間の子供なの」
「そう言われているよ」
この辺り実に面白い話だと思う、妖怪の一家とか。
「それでうちの学園でもね」
「一家で暮らしてるの」
「小学校で雪ん子が遊んでいてね」
「若しいじめたら?」
「雪男が飛んで来るかもね」
つまり親御さんがだ。
「それで殴られるかも知れないよ」
「何か人間みたいね」
「日本の妖怪ってそうなんだよね」
「人間みたいな性格してるのね」
「そうなんだ」
実際そうした妖怪が多いと思う、そのせいか妙にコミカルで憎めなくて愛嬌があったりするものが多い。
「雪女は奇麗系でね」
「美人の人妻さんね」
「いや、結婚していない雪女もいるから」
本当にこの辺りはそれぞれだ。
「だからね」
「そこは違うのね」
「うん、違うよ」
こうダオさんに話した。
「またね」
「そうなのね」
「人妻さんじゃない雪女もいるから」
このことは注意した。
「そこはわかっておいてね」
「わかったわ、雪女っていっても色々ね」
「つらら女もね」
「妖怪もその妖怪それぞれなのね」
「そうだよ、悪い妖怪もいれば」
「いい妖怪もいるのね」
「そうなんだ、それでベトナムに雪はないから」
「雪女みたいな妖怪もいないわよ」
言うまでもなくという返事だった。
「つらら女もね」
「ベトナムの妖怪はジャングルにいるのかな」
「あえて言うならね、首のない人間の姿の妖怪とかね」
「そんな妖怪いるんだ」
「そうなの、あと中国がお隣でしょ」
「華僑の人もいるよね」
そして中華街もある、中華街がない国もそうそうないと思う。
「それで中国の妖怪もなんだ」
「いたりするわよ、幽霊もいるし」
「幽霊も大抵の国にいるね」
「幽霊いない国ってある?」
ダオさんは僕に逆に聞いてきた。
「そもそも」
「そう言われるとね」
「ないわよね」
「昔からあるしね」
日本でも平安時代から怨霊の話がある、京都への遷都も早良親王の怨霊を恐れてのことだったし兎角京都は幽霊の話が多い。
「そうしたお話は」
「そうでしょ、ベトナムにもあるし」
「本当にどの国にもあるね」
「幽霊の話はね」
「そうだよね」
「それでベトナムにもあるけれど」
それでもというのだ。
「雪も氷もないから」
「そうした妖怪は出ないね」
「ええ、昔のベトナム人はね」
それこそというのだ。
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