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八条学園騒動記

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第五百三話 慣れることその六

「もうね」
「大変なことになっていたね」
「大変どころか」
 まさにというのだ。
「今言った通りよ」
「火炙りだね」
「恐怖の異端審問にかけられてね」
「異端審問ってやたら出て来るね」
「だって当時の欧州の恐怖の的だったから」
 文字通りの存在だったからだというのだ。
「キリスト教徒じゃないとか宗派が違うとかね」
「あと間違ってるって思われたら」
「思われたらね」
 その時点でというのだ。
「アウトだったからよ」
「拷問のフルコースの後火炙りね」
「逃れられた人あんまりいないらしいし」
「えげつないSMだね」
「あたしそっちの趣味はないから」
「僕もだよ」
 このことは二人共同じだった。
「というかあれってハード過ぎたら死ぬよね」
「そうした事故もあったでしょうね」
「そんな道具本当にあるしね」
「実際に異端審問にかけられて運よく逃れられても」
 火炙りにならなくてもというのだ、確かに疑われた時点で死亡率は高かったが助かった例もあるにはあるのだ。
「もう拷問が酷くて」
「そのせいでかな」
「身体障害者になったそうよ」
「あんなえげつない拷問受けたら当然だね」
 ジョルジュもこのことは納得した。
「そうならない筈がないよ」
「やっぱりそうよね」
「それでなんだ」
「そう、一生ボロボロになった身体で生きたそうよ」
「手足が動かなくなって」
「当時は死活問題だったでしょうね」
 福利厚生なぞないに等しい時代だった、こうした考えが出来るのも社会が充実してからのことだった。
「それこそ」
「というか身体が動けなくなって餓死とか」
「あったかも知れないわね」
「とんでもないお話だね」
「助かってもそれじゃあね」
「というかそんな拷問酷いなんて」
 ジョルジュはこの時代の連合の視点から述べた。
「欧州はとんでもないね」
「疑われた時点で終わりだからね」
「言い掛かりとかあっただろうね」
「もう言ったもの勝ちだったから」
 相手を魔女だの異端だのだ。
「後は異端審問官がどう思うかで」
「その審問官も」
「中には自分から言い掛かりつけて無実の人をどんどん魔女だって言った奴もいたから」 
 イギリスにいた自称魔女狩り将軍ホプキンズだ、実に多くの無実の人達を殺し財産を巻き上げたと言われている。
「もうね」
「まさに言った者勝ち」
「そうだったみたいよ」
 文字通りにというのだ。
「これがね」
「ううん、日本とは全然違うね」
「武田信玄さんなんか浮気はしてないってね」
「そっちの相手の人にだね」
「手紙で必死に言ってたりするから」
「本気だね」
「そう、本気でね」
 文字通りそうした恋愛でというのだ。
「やっていたし」
「その本気が日記にもなったんだね」
「信玄さんはお手紙だけれどね」
「そのお手紙も残ってるんだ」
「それで罪だって言われたことないから」
 日本ではだ。 
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