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夢幻水滸伝

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第八十三話 江戸っ子その九

「おいらとしてはな」
「治水とかならず者についてだね」
「他にも色々やり方があるだろ。相模や伊豆も攻めてな」
「二国共完全に手に入れようとしているらしいね」
「上にある浮島とかもな」
 そうした場所もというのだ。
「だったらな」
「戦はいいし」
「政はな」
「今一つだね」
「そんな感じがするな」
 江戸城にいて武蔵を治めている星の者のそれはというのだ。
「どうもな」
「それじゃあもっと話を聞いていくかい」
「そうだな、とりあえず政は戦程じゃないってわかったしな」
「そうしたことも含めてね」
「もっと話聞いていこうな、あとここの鰻だけれどな」
 幸田はその鰻の話もした。
「見事な味だよな」
「そうだね、江戸の味だよ」
 麻友もその鰻を食べつつ笑顔で言った。
「焼き方がね」
「そうだよな、元々脂の乗っていい鰻だけれどな」
「背中から捌いてね」
「一旦蒸したな」
「江戸の焼き方しててね」
「タレもそうでな」
「鰻はこれがいいんだよね」
 江戸の焼き方、タレも含めたそれだとだ。麻友は幸田に笑顔で話した。
「本当に」
「全くだよ、学校の寮でも鰻出たりするけれどな」
「たまにね」
 高価なのでごく稀にしか出ないが出されたその鰻を食べることは八条学園の寮でもあるのだ。それも鰻丼をだ。
「出たりするけれどね」
「西の方の焼き方なんだよな」
「腹から捌いてね」
「それでタレもな」
「関西のでね」
「醤油が特に違うからな」
 東と西ではというのだ。
「そこがどうもね」
「違うからね」
「美味いことは美味くてもな」
「やっぱり鰻はこっちだね」
「それ言ったら蕎麦も寿司も天婦羅もだけれどな」
「全部そうなるね」
「どれもな、やっぱりこっちだよ」
 幸田はきっぱりと言い切った。
「江戸の味が一番だってな」
「あたし達は思うよね」
「風呂だってな」
 幸田は食べものではないがこちらの話もした。
「江戸の入り方だよ」
「熱い風呂にさっと入るんだね」
「これがすっきりするんだよ、寮はサウナや水風呂もあるけれどな」
「どうもお湯がね」
「ぬるいんだよ」
「こっちはやっぱりそうだよえん」
「それがいけねえ」
 江戸っ子そのままの口調での言葉だった。
「おいらにとっちゃな」
「あたしもだよ、やっぱり江戸っ子には東京だね」
「本当にな、まあ江戸っ子って言っても色々だけれどな」
 自分でチャキチャキの江戸っ子と言っていても江戸っ子らしくさっぱりしているとは限らない、腐った納豆の様な粘着な者もいる。
「おいらはな」
「それが好みだね、まあ吉君はね」
 麻友は幸田自身に対して述べた。 
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