八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百十話 食堂からその五
「そうなるのね」
「ええ、そうしましょう」
是非にとだ、イタワッチさんは千歳さんにも言った。
「ここはね」
「それじゃあ」
「義和は真ん中で」
すぐにこのことが決められてだった、僕はイタワッチさんに半ば強制的にベンチの真ん中に座らさせられた。
それで後は自然にイタワッチさんが僕の右、千歳さんが左に座った。そのうえで三人で飲み食いをはじめたけれど。
イタワッチさんは黒糖蒸しパンを一口食べてすぐに行った。
「確かにね」
「美味しいでしょ」
「ええ」
僕の方に顔を向けて千歳さんに応えた、千歳さんが僕の方に向いたのだ。
「このパンも」
「黒パンってあまりいいイメージないみたいだけれど」
「欧州じゃそうみたいね」
「固いとか酸っぱいとか」
「そう言われてるけれど」
「日本じゃ黒パンはね」
この色のパンはだ。
「こうした感じで」
「美味しいのね」
「そうなの」
千歳さんも最初は黒糖蒸しパンを食べている、そのうえでの言葉だ。
「黒砂糖を使っていてね」
「白砂糖でなくて」
「この味なの」
「そうなのね」
「ちなみに私黒パンはこれよ」
千歳さんがイメージするそのパンはというのだ。
「黒糖パンなの」
「そうなのね」
「欧州の黒パンは」
つまり元々の黒パンはだ。
「食べたことないし」
「あれ酸っぱいっていうけれど」
「本当に酸っぱいかどうかは」
「知らないのね」
「食べたことがないから」
「このパンは酸っぱくないわね」
イタワッチさんは黒糖蒸しパンを食べ続けつつ言った。
「全然」
「むしろ甘いわよね」
「ええ」
「というか日本のパン自体がね」
「甘いわね」
「イタワッチもそう思うのね」
「インドネシアにもパンあるけれど」
それでもというのだ。
「こんなにね」
「甘くないのね」
「ええ。これお菓子よ」
「実際菓子パンってなってるけれど」
「本当にお菓子よ」
他の国の感覚ではそうだというのだ。
「これはね」
「やっぱりそうなるのね」
「食パンとかはともかくとして」
流石にこれは菓子パンにはならない、けれど欧州の人からしてみればやっぱり甘いと言われると聞いたことがある。
「それでもね」
「こうしたパンはお菓子なのね」
「他の国だとね」
「まああんパンになると」
千歳さんも今は三人共食べてないけれど菓子パンの代表選手を挙げた。
「お饅頭よね」
「ほぼそれでしょ」
「そうよね」
千歳さんはイタワッチさんのその言葉を否定しなかった。
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