龍天使の羽撃き
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16
「たいちょー?」
「げんきないの」
「「どうしたの?」」
「ん…ああ…そうだな…」
チームアヴァロンのフォースネスト。
現在ここではパーティーが行われている。
「くそっ……嫌になる…」
俺が与えられた仕事は、監視。
怪しそうな奴を見つけろ、というチャンピオンの命令。
「はぁ…」
遠くでケモノ二匹がじゃれているのを眺める。
「あー…ちらほら居るな…怪しい奴…」
ケツアゴシャアとか。
炭酸男のロールとか。
いや、そういう怪しさじゃねーよ。
自分にツッコミを入れていると、リク君達が来た。
「やぁルーキー。噂は聞いているよ」
リク君の頭をぽふぽふ撫でる。
ちっさい…。
めっちゃ照れてる。
マギーが好きそうな素直系ショタだな。
「ヴォジャノーイさん」
「んー? なんだいリク君」
「心意について、教えてください」
ふむ。そう来たか。
おおかたマギー辺りがまた何か言ったな。
「いいだろう。こっちだ」
キョウヤに頼み、部屋を一つ開けて貰った。
テラスに出る。
「リク君。こんな素敵なテラスに男二人っていうのは寂しいねぇ…。
そうは思わないかい?」
手すりに腰かけ、問う。
「へ? あ、えーと。そうですね?」
「まぁ、それはそれとして。心意についてだったね?」
「はい」
「どこまで知っている?」
先ずはそれからだ。
「えと、ブレイクデカールを倒せるとしか聞いていません」
「誰から聞いた?」
「シャフリさんです」
意外だな。アイツか。
「ふむ…では君には少し世界の成り立ちを教えよう。その椅子に座ってくれ」
リク君を椅子に座らせる。
「今、君は椅子に座っただろう?」
「はい」
「それはリアルの君が着けているデバイスが運動神経への信号を受け取りアバターに反映させたからだ。
これを運動操作系と俺達は呼ぶ」
さて、次は…。
「リク君。そのテーブルを思い切り叩いてくれ」
「わかりました?」
リク君が不思議そうにテーブルにチョップする。
「今、イモータルオブジェクトの表示が出ただろう?」
「はい」
手すりから降りて、テーブルを挟んでリク君の対面に立つ。
「少し離れて」
リク君が立ち、数歩下がる。
「さっき君はこのテーブルを破壊できなかったね?」
「はい。見ていた通りです」
「じゃぁ俺がやってみよう」
手刀を振り上げる。
イメージする。
手がテーブルを貫くのを。
テーブルが壊れるのを。
強く強く意識する。
振り下ろした手は、テーブルを割る事こそ無かったが、ヒビを入れた。
その光るヒビの中には0と1だけがあった。
テーブルの上にシステムエラー表示が現れ、テーブルがポリゴンになって消えた。
「これが心意。サイコミュ等を扱うイメージ操作系を通し、強いイメージをゲームに反映させたんだ」
「す…すごい…」
「このイメージ操作系は運動操作系よりも優先して処理される。
つまり、ブレイクデカールで改窮される前にダメージなどの計算を終わらせる事ができる」
「?」
「簡単に言えば、運営公認のバグ技さ」
リク君の目が変わった。
「どうすれば、習得できますか」
「秘密だ。君にはまだ早い」
「そんな!?」
「心意は強力だ。俺だって今は心意を使える人間が一人でも欲しい。
でも強力すぎる。ゲームバランスが崩れてしまう」
心意は心意でしか防御できない。
心意は心意でしか破れない。
「きっと君は納得できないだろう。対して年の変わらない男に諭されて苛つくだろう。
でもね、心意だけは自分で見つけなきゃいけない。
その後でならいくらでも教えよう。
だから始めの一歩だけは、自分で歩んでくれ」
「…………わかりました」
そうだ、あの話をしておこう。
「GBNの運営は昔心意を封じようとし策を講じたが完全な封印はできなかった。なぜだと思う?」
「システム的な問題ですか?」
「それもあるがね。一番は、心意がガンプラへの愛を原動力にしているからだ」
「愛?」
「そう。世界を書き換えるほど本気になっている証なのさ。心意っていうのは」
それはつまり、この世界で本気になれるほど、ガンプラを愛している証だ。
「だから、ガンプラを愛する君ならそう遠くない内に心意に触れるだろう」
後書き
もう気づいてるでしょうが、原作持ってません。
なのでセリフとか色々カットしてます。
こんな感じで続きますが許してください。
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