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龍天使の羽撃き

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12

 
前書き
エレリア
リアルネーム 百合原朱璃(ゆりはら あかり)
乗機 ASW-G-29-originated アシュトレト
灯俊のリアルでの友人、クラスメイト。
いわゆる男の娘。
一応無所属でARROWSへの勧誘も断り続けている。
町の工場の一人息子。
手先が器用で親に隠れてスプリング刀やら何やらを作っている。
アシュトレトを灯俊と共に作った。

 

 
『あ、もしもしノーイ? 元気してたぁー?』

「なんだよオカマ野郎」

インダストリアル7の高層マンション。

の最上階。

フォースネストで機体データを整理しているとマギーから連絡が来た。

「こっちはこないだのバトルの結果まとめるので忙しいんだが」

『そう!それよ!アンタなんでその話私達にしなかったのよ!?』

「お前らリク君のバトル見に行ってたじゃねぇか」

『そうだけど……でも一言あってもいいじゃないの!』

「文句ならすご…MS少女おじさんに言ってくれ」

『あら、ノブちゃん来てたの?』

「ああ。運営権限で月面を隔離してくれたよ」

『へぇ~…あの子がねぇ…』

「ま、その前に全員MSヒューマンにされたけどな」

『ああ、なるほど』

さて、整理終了。

あとは……まぁ、いいか。

「で、電話してきた理由はベアッガイフェスか?
葵達は行くらしいぞ。俺もフェスの内部監視で行くぞ」

『あら、なんでわかったの?』

「お前がこのタイミングでかけてくるならフェスの話だろ。
フォースバトルについて聞きたいのがメインならもっと早く言ってる筈だしな」

『ま、そういう事よ』

つってもなー……GBNのこの手のイベントって時々『なぜそうなる』みたいなイベントもあるしなぁ…。

外部委託イベントとか特に。

「で、お前も来るのかマギー? メティとサンディが会いたがってたが」

『あんらぁ~! 嬉しいわぁ~! でもざーんねん。私はいけないのよぉ~』












「フェスなの!」

「なの!」

「カトラス、後は頼んだ」

「ん? お前もくりゃいいじゃん」

ベアッガイフェスとはそのなの通りベアッガイを主軸としたイベントだ。

初代はアッガイっぽいがどんどんMSから離れて行ったあの曰く付きのMSだ。

サンライズかバンダイがハロ以外のマスコットを作りたかったとか色々説はあるが、実際人気だからなぁ…。

で、おれはそんな祭りの内部視察…というか内部監視を命じられている。

「別に決められた巡回ルートとかはないんだろう?」

「そりゃぁそうだけども」

「じゃ、決まりだな」

「決まりなの!」

「兄様とまわるの!」

メティとサンディが俺の両隣に来る。

「葵と手ぇ繋げよ」

「葵お姉ちゃんとはいつも繋いでるの!」

「たまには隊長と繋ぐの!」

後ろで葵が爆笑している。

「く…くく…くくくく…」

んのやろう…。

しばらくはしゃぐ双子に付き合っていると、珍しい奴を見かけた。

「メティ、サンディ。ちょっと離れる」

「ん。わかったの!」

「でもすぐ戻ってきて欲しいの!」

「おうよ」

三人から離れ、アトラクションの影に向かう。

「やぁやぁトード君。元気してるかい?」

そこで俺を待っていたのは、小柄で金髪の髪を揺らす幼女…否男の娘だ。

「お前がこんな所に来てるなんて珍しいな。エレリア」

この男の名前はエレリア。

俺のリアルでの友人であり、町の金属加工工場の跡取り息子だ。

「うん。なんで僕がここにいると思う?」

「さぁな。観光か?」

この男、腕はピカイチなのだがいかんせん本人のやる気がない。

GBNにログインしても戦闘はあまりせず、観光してまわっている。

ARROWSへの勧誘も失敗続きだ。

「いいや。僕がここに来たのはブレイクデカール機と戦ってみたくてね」

「はぁ?」

戦う? この無気力の塊が?

「最近噂のチートツール。聞けば心意じゃないと倒せないそうじゃないか。
はてさて…ブレイクデカールでデータを欺瞞したガンプラと、僕と君の愛の結晶どちらが勝つかねぇ」

「その言い方はやめろ」

この男どこが質が悪いかと言えば、自分の容姿を自覚している所だ。

ソレを利用してからかってくる事も多い。

こいつに告白し玉砕し真実を知って絶望した奴は数知れない。

まぁ、変な道に目覚めた奴もいるらしいが。

「おいおい。僕と君の愛の結晶を否定するのかい?」

「ああたしかにそうだな。ガンダム・アシュトレト。愛の女神の名前を冠するガンプラ。俺とお前が自重を捨てて作ったアホすぎる機体」

「まぁね」

ガンダム・アシュトレト。

ガンダム・アスタロトのカスタム機であり、全てのパーツに金属メッキを施しアメリカから取り寄せた軍用塗料で塗装した正真正銘の化物。

「僕は気になるんだよ。果たして僕達のリアルでの努力は何処まで仮想に反映されるのかね」

こいつは何時もこうだ。

「まぁ、いいや。デートの邪魔して悪かったね。さ、戻りなよロリハーレムマスター君」

「待てやコラ」

「おこんなーいで。僕と君の仲だろう?」

「ああ、そうだな。何かあれば協力頼むぜ親友」

「えー。恋人じゃないのー?」

「お前それマジで葵の前で言うなよ?」

「善処しまーす」














案の定っていうか何て言うか。

うん。出たよブレイクデカール機。

報告によると”三機”。

一機はリク君が、二機はエレリアが抑えているらしい。

「カトラス、メティ、サンディ。リク君の方のブレイクデカール機を監視してくれ。俺はエレリアの所に行く」

「…………………オレという彼女がありながら男と浮気か?」

「ふざけてる場合じゃない。行ってくるぞ」

「ああ、まかせとけ」

葵達と別れると、シビルジャッジメンターの権限でカンヘルを召喚する。

フェスの会場はイベント以外でのガンプラの呼び出しは禁止だが、シビルジャッジメンターまでそれでは話にならない。

グリップを握り、バーニアを吹かせる。

普通のユニコーンより重いカンヘルだが、完成度がもたらすスピードは通常時でも音速を叩き出す。

衝撃波を撒き散らしながら急行すると、破壊されたガンプラの中で二機のガンプラとエレリアが戦っていた。

いや、一機は既に倒れている。

「エレリア。援護に来たぞ」

滞空し、敵機にライフルモードGNソードⅤを向ける。

『やぁやぁトード。遅かったじゃないか。もう一機倒しちゃったよ』

その一機はと言えば、腹の真後ろから打刀を刺され、地面に縫い付けてあった。

ブレイクデカール機を破壊できないと考えたエレリアの苦肉の策だろう。

「つーかこのガンプラ何よ? もうガンプラじゃなくね?」

縫い付けられた機体はやけに有機的な形をしていた。

フェイスの感触から元機体はおそらくオルフェンズ系ガンダムフレームタイプ。

だがこれは、黒い毛並みで覆われ、牙の並んだ口が開いている。

『途中からその姿になったんだ!』

「ナイト・セレスティアル・スラッシュ・ドッグズじゃあるめぇし…」

『はっ! でやぁっ! 驚いたろう? 手足切りとばしても再生するんだぜそいっ…っぶねっ!?』

「ダイバーは?」

『さぁ? 呼び掛けても帰ってこない。機体残して蒸発したとか?』

アグリッサじゃねぇんだから…。

一方エレリアと戦っているのは普通のMSだ。

いやまぁ、普通のMSの定義ってなんだって話だけどな。

「で? そのAGE3ノーマルはどうなのよエレリア」

『攻めはまぁまぁかな。でも異様に硬い』

エレリアが残ったもう一本の刀…斬機大刀で斬るが、ダメージの入る様子はない。

「いい加減心意使えよ…」

『僕のは時間がかかるのさ』

「じゃぁ代われ」

『はー。これだから攻撃心意技持ってない奴は…』

ウルセェ。

エレリアが大きく飛び退く。

追うAGE3。

その上からビームマグナムを乱射する。

1マガジン使い切った。

「N-TD発動」

カンヘルが膨張する。

「アームドアーマーDE、イジェクション」

背部の二枚のアームドアーマーを分離する。

エレリアが離脱した方角をアームドアーマーで封鎖。

「さ、遊ぼうか」

AGE3がサーベルを抜いた。

こちらもビームマグナムを捨て、GNソードⅤの二刀流に切り替える。

レバーを握る。

スイッチには手をかけない。

全身のGNバーニアを稼働させ、AGE3に突っ込む。

上からの位置エネルギーを加算した一撃を防がれ鍔迫り合いになった。

『貴様、シビルジャッジメンターか』

「だとしたら?」

『貴様を倒せば、俺の名前もあがっちまうなぁ! そうだろおい!』

面倒くせぇ…。

そう思っていると、AGE3のサーベルラックに熱源。

「バカが。それをできるのはお前だけじゃない」

ビームトンファーを展開すると、あっさりとAGE3の腕が切れた。

そのままX字に切ると、機体は爆発…する事なく復活した。

「なにこれアメーバ?」

試しにアームドアーマーDEのハイメガキャノンを撃ってみたが、直ぐに穴が塞がった。

「だるっ!」

『だろう? 面倒だから縫い付けた方がいいよ』

「ああ、そうしようか」

AGE3に組み付く。

『貴様何をする!』

「こうするんだよ」

通常のユニコーンより大きい手で、AGE3のコックピットユニットを掴む。

『ま、まさか!?』

「遅ぇよバァーカ」

ガキン! とコックピットユニット…コアファイターが分離した。

「本来の仕様だとブレイクデカールも発動しねぇみたいだな」

コアファイターを仮称ナイト・セレスティアル・スラッシュ・ドッグズの上に叩きつけ、その上からGNソードⅤを突き刺す。

『ジャストタイミングだ。ヒトシ』

「ああ。ぶちかませ。アカリ」

互いのリアルネームで呼び会い、離脱。

朱璃…エレリアの駆るアシュトレトは、機体の五割増しほどの大きさの刀を構えていた。

『穿て!鋼よ!【姫機快壊】!』

振り下ろされた刀の軌道にそうように、光の斬撃が飛ぶ。

地を割る一撃が獣とコアファイターを両断。

復活させる事なく爆散させた。

「派手だな」

『黙れピカピカ野郎』






エレリアを連れて戻ると、リク君達の方は解決していた。

「エレリアー。あの子の事情聴取手伝ってくんね?」

「はぁ?」

「だって俺みたいなのじゃぁ怖がられて終わりじゃん」

「しょうがぁねぇなぁ!」

やっぱり頼りになるよ。お前は。 
 

 
後書き
ガンダム・アシュトレト
型番 ASW-G-29-originated
武装
実弾狙撃銃(メッキ&鉄芯)
ナイフ(メッキ)
打刀(鋳造)
斬機大刀(鍛造)
カラーリング 黒強めの灰色
トードとエレリアが自重を捨てて組んだ物。
ベースはHGアスタロト・オリジン。
フレームと外装全てに金属メッキが施されその上に軍用塗料(アメリカから取り寄せた)で塗装した物。
ブレイクデカール機を除いてGBN最硬。

斬機大刀
朱璃が鍛えたプラモデルサイズの大太刀(大太刀だから鍛造できた)。
純金属製(もはやプラモじゃねぇというツッコミは無しで)。


心意≪姫機快壊(ききかいかい)≫
大太刀’斬機大刀’を振り下ろし、斬撃を放つ。 
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