夢幻水滸伝
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第八十二話 佐渡の金その十一
「飲んでいるな」
「寮では毎日とはいかないだがや」
「そうだな、まあ飲みながらもだ」
そうしつつもと言うのだった。
「やるべきことはしていく」
「それは絶対だがや」
「うむ、明日の朝はな」
「二日酔いなら風呂に入ってだがや」
「一日をはじめるぞ、政もな」
「わかっているだがや」
坂口は酒を飲みつつ室生に確かな声で答えた、そうして次の日の朝に風呂に入ってからまた一日の政を行うが。
近畿の話を聞いてだ、彼は眉を曇らせた。
「神星がまた一人か」
「出て来たらしいな」
室生が中里の話をしたのだった。
「どうやら」
「神星が三人だがや」
「この世界の勢力でもな」
「そんな勢力はないだがや」
「神星は一人でも恐ろしい力を持っているが」
その神星の者がというのだ。
「三人もいる」
「それだけで相当だがや」
「それでどうする」
室生は坂口に決断を問うた。
「一体」
「近畿と戦うか降るか」
「そうだ、御前はどちらを選ぶ」
「それはもう決まっているだがや」
笑ってだ、室生は坂口に答えた。
「戦わずして降るのはだぎゃ」
「御前の選択肢にないか」
「そうだがや、神星でも戦ってだがや」
「そうして降すか」
「三人でもそうしてやるだがや」
「わかった、では戦っていくぞ」
「そうしてやるだがや」
坂口は共に朝食を食べる室生に笑って話した、そしてだった。
中里も得た近畿と戦う道を選んで戦うのだった、中里がかつて一つの勢力の棟梁だった時代のことである。
第八十二話 完
2018・9・15
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