八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百五話 紅茶とコーヒーその四
「最低よね」
「あんたが首刎ねられろ」
「そんなレベルよね」
「そのアン=ブーリンさんの幽霊も出て」
それも刎ねられた首を持っているらしい。
「王様の幽霊も出るのよね」
「その処刑した」
「ロンドン塔はそうで」
「他の場所もで」
「それでこの学園にもね」
「メイドさんの幽霊がいて」
「本格的なのよ」
そこもイギリス的だというのだ。
「これがね」
「そこまでイギリス的なのね」
「いるだけだから怖くないらしいけれど」
祟ることはないというのだ。
「いることはいるらしいから」
「お会いしても怖がらない」
「そうしておいてね」
そこは注意だというのだ。
「くれぐれも」
「わかったわ」
「そのメイドさんの幽霊ってね」
僕もお話を聞いていて話した。
「メイド部の初代部長さんなんだよね」
「イギリス人のね」
「その時十八歳で」
何でもに終戦直後に創部されたらしい、長い歴史がある部活だ。
「二十一世紀はじめにお亡くなりになったんだよね」
「長生きされたのね」
「何でもね、二〇〇三年にお亡くなりになったけれど」
このことは確かだ、高校を卒業してからもずっと日本で暮らしていて日本人のご主人と幸せな家庭を築かれたらしい。
「阪神が日本シリーズ負けたのを見て今度こそはと言われて」
「お亡くなりになったの」
「そうだったの」
「病床でテレビで観ていて」
この話は聞いただけで真相はわからない、しかしサッカーやラグビーの国の人まで魅了するのは流石は阪神だ。
「最後負けたのを御覧になって」
「そう言ってなの」
「お亡くなりになったの」
「そうみたいだよ。そしてね」
お亡くなりになってだ。
「この学園に出て来ているそうなんだ」
「ううん、凄いわね」
「そこでも阪神が関わるのが凄いわね」
「今年も強いけれどね」
「そろそろマジックカウントダウンだし」
「けれどずっとね」
僕は二人のその阪神の歴史も話した。
「低迷していて」
「暗黒時代ね」
「そうだったのね」
「そうだったんだ、それが長くて」
もう十年以上続いていた、十五年はあっただろうか。
「その人もずっと苦い思いをしていて」
「最後に日本シリーズを観られたけれど」
「最後の最後で負けて」
「それで残念に思って」
「その言葉を残してなのね」
「今は幽霊になってね」
そのうえでだ。
「学園にいるらしいんだ」
「中々凄いお話よね」
「そうよね」
テレサさんもモンセラさんも僕の話を聞いて言った。
「メイドさんの幽霊がいてね」
「しかも初代部長で本場イギリスの人」
「しかも日本で天寿を全うして学園に戻る」
「凄いわね」
「そうだね、しかも阪神ファンだからね」
そのうえでだ。
「日本シリーズの結末観てお亡くなりになってだから」
「ドラマね」
「物凄いお話ね」
「何でもご本人が会った人にお話したそうだから」
ご自身のそのお話をだ。
「凄いよね」
「ご本人がお話するって」
「それも凄いわね」
「というかフレンドリーな対応よね」
「それも随分と」
「まあ幽霊って言ってもそれぞれだしね」
仏教のお坊さんが言うには人間と幽霊の違いは肉体があるかどうかだけらしい、肉体から出た人つまり魂が幽霊だというのだ。
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