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吸血鬼になったエミヤ

作者:炎の剣製
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021話 修学旅行異変《五》 二箇所の戦闘風景

 
前書き
更新します。 

 



修学旅行三日目、一般人生徒達はのどかが賞品として仮契約カードをもらい皆から羨ましがられている中、休憩所ではアスナの怒声が響いていた。
まぁ、怒りたくもなる。事情を知って入れば即座にでもカモミールに解体ショーを決行しているかもしれないから。

「まったく! ネギ、こんなにカードを作っちゃってどうするつもりなのよ!?」
「えぇー!? やっぱり僕のせいですか!」
「まぁまぁ姐さん」
「そうだよアスナ。儲かったってことでいいじゃん」
「朝倉とエロガモは黙ってなさい!!」
「エロガモ!?」
「確かにね。もし私がこの事態を知っていたらすぐにやめさせていたものを…タマモもどうしてすぐに教えてくれなかったの?」
「すみませんでした~…まさか旅館全体に仮契約の魔方陣がしかれているとは露とも知らず…このタマモ、一生の不覚でした」
「まぁいいとして…カモミール。反省は済んだかしら?」

私は爪を尖らせながらカモミールに詰め寄った。

「は、はいっ! っていうかシホ姉さん、その爪はなんすか!?」
「気にしない。でも一般人を巻き込むのは私は絶対にしたくないからそこのところ徹底してね。朝倉もよ?」
「「はい…」」


(アヤメさん、私もシホさんの意見に同意ですがやはり…)
(そうですね。裏にいたシホ様自身捕まって色々されてしまいましたから余計一般の人たちが魔法に関わるのは避けたいのでしょう)

刹那とタマモがそんな会話をしていた。


しかし懲りていないのかカモミールはアスナに仮契約カードを渡していた。
まぁもうこちら側に近いアスナだから目を瞑るとするけど…。
そこでカモミールの仮契約カードの説明がされていた。
そしてアスナが “来たれ(アデアット)”と唱えると一昨日に現れたハリセンを握っていた。
しかし…、

(うーん…あのハリセン、詳しく解析をかけられない。どうしてだろう?)

少し謎ができたがそこで一時解散となった。
そして私は裕奈達のところに私服に着替えて向かうとどうやら大阪にいくらしい。
やばいな…。あまりに離れすぎているではないか。
さて、どうしよう。

『シホ様、シホ様』
(ん? 琳?)
『はい。今回ですがシホ様に旅行を楽しんでいただきたいのですが、さすがに任務のこともありわたくしがシホ様の代わりを務めさせてもらってよろしいでしょうか?』
(うーん…仕方が、ないか。裕奈達には悪いけど…ちょっと待ってね)

私は少し琳に待ってもらい龍宮を呼んだ。

「どうしたエミヤ?」
「うん。ちょっと相談したいことがあるから外にいこうか」
「わかった。班のみんなには?」
「うん。待ってもらってる」
「ならいいか」

外に移動すると誰も見ていないことを確認して琳を龍宮の前に出現させ、さらに私の姿に化かせた。
それに一瞬龍宮は驚いた顔をしたがすぐに平時に戻った。さすがだ。

「今回ちょっと私、任務で抜けるから琳を代わりに同行させてほしいんだけどサポート頼める?」
「すみません、龍宮さん。全部演じきれるか自身がないのでお願いしてもらっていいでしょうか?」
「わかったよ。でも依頼料ははずんでもらうよ?」
「それじゃまた例のでいい?」

例の、とは銃の点検込みに追加で特性デザート(あんみつスペシャル)をはずむというものである。

「む、いいだろう。エミヤにはいつも助けられているからな」
「ありがと。それじゃお願いね」
「任された。これくらいのお願いなら安い方だからな」

龍宮はそういって笑みを浮かべている。
実際楽しみなのだろうことはすぐにわかる。
その後、私の姿をした琳がみんなと出て行ったのを区切りに私は先に関西呪術協会に行くことにした。
いい加減会いに行かないとという気持ちがあったからだ。
詠春にも心配かけただろうから。




◆◇―――――――――◇◆




私が関西呪術協会に着くとなにやら何人もの和服の人が待ち構えていた。
どうやら私目当てではないようだけどね。

「あら…あなた様はどなたでしょうか?」
「はい。まだ来ていないようですがネギという先生の生徒の“シホ・E・シュバインオーグ”といいます。いきなり来て悪いのですけど長…近衛詠春を出してもらってよろしいでしょうか」
「長を、ですか。しかしシホ・E・シュバインオーグ様…ですか。どこかで聞いたことがあるのですが…」
「確か、長が何度か誇らしげに語っていた人物と同じ名前だったと思いますが…」
「あ! 確か長と一緒に神鳴流を卒業した人物と同じ名前ですわ!」

女官の人たちが色々会話をしていて、中にまだ私の事を知っている人がいたことにびっくりしたけど、そこで一人の女官の人が呼びに言ってくれたのかゆっくりとだが詠春がこちらに歩いてきた。
いや、少し足早だ。

「まさか、シホですか!?」
「や。詠春…少し年取ったようだけど元気そうね」
「やはり…ではお父さんが言っていたことは本当だったのですか」
「どこまで聞いているのか分からないけど、ここじゃあれだから本殿の方までいこうか」
「そうですね。だけど…また会う事ができてうれしいですよシホ」
「こちらこそ…あの時はもう会えないと思っていたからね」
「そうですね。さ、案内したい場所もあるからいこうか」

それから詠春に案内されながら本堂まで案内される間にある部屋に連れてかれた。
そこは…、

「この部屋の中…もしかして私の部屋?」

まだ青山家だったころの私の部屋がそのままここに移されている感じだった。
聞くと詠春はここに移した後、開かずの間にしたという。

「そんなことが…ありがと詠春」
「それほどでもないですよ」

少しそこで思い出に浸ってから本堂に向かい着くとそこで詳しい話がなされた。
まぁおもに今の私の現状だが。

「………そうか。エヴァンジェリンと同じ失われた秘法をかけられ真祖化してしまったのですか」
「…ええ。頭痛がするからあまり語りたくないけど色々された、とだけなら言える」
「あなたが連れ去られたとタカミチ君から聞いた後、見つけ出すことができず、すみませんでした」
「いいわよ…。今はこうして再会できたのだから」
「はい…」

そこで一時会話が途切れたが、

「まぁシホがそこまで言うのでしたらもう何も語りません。それよりナギが生きていたのですか…やはりといいますでしょうか」
「そうね。あいつがそう簡単に死ぬなんて思えないし」
「ふふふ、そうですね」

それから少し雑談をした後、

「そういえば、ネギ先生達は遅いわね」
「そうですね。もしかして妨害にあっているのでしょうか?」
「おそらくね。ネギ先生は旅館を出て少ししたらこっちに来るといっていたから心配になってきたわ。少し見てこようか。本来私はここにいない人物だからいくらでも勝手は聞くしね」
「お願いします。私は長ゆえここから出るのは容易ではありませんから」




◆◇―――――――――◇◆




シホが向かった頃、ネギ達は黒髪の少年と相対していた。
最初はともに現れた大蜘蛛をアスナに還され優勢になったと思われたが、

「女に守ってもらって恥ずかしく思わんか? だから西洋魔術師は嫌いやねん」
「前衛のゴキちゃんやられちゃったからって負け惜しみね!」
「お姉ちゃん勘違いしてへん? 俺は術師とちゃうで」

そこからは少年自身が攻めに入り、アスナのハリセンも所詮剣道も習っていいないこともあり当たらず避けられてしまって抜けられてしまった。
そして何度もネギが傷みつけられてしまい、

「ちょこまかと! いい加減当たれや!」

少年の拳はついにネギの障壁を抜き直接ネギの頬に叩きつけられてしまい、カモとちびせつなは状況不利と悟り煙幕を発生させ一時撤退した。
そして開かれる少年についての話し合いと対策。
それでネギには対策があるという。

「僕…父さんを探すために戦い方を勉強しました。それは探す合間に戦う力が必要になると思ったからです」

ネギは語る。
エヴァンジェリンとの戦いは勝てたのは奇跡のような偶然だったと。
そして自らを未熟といい、だが、強くならなければ父さんを探せないといって、

「だから僕はここであいつに勝たなきゃ!」

ネギは強気の表情でそう言い切った。
だがどうする?というカモの言葉にネギは「勝算がある」と言って少年が来るのを待った。






Side ネギ・スプリングフィールド




よし! 体勢は万全、後は相手が襲いかかってくるのを待つだけだ。瞬間は一度、来た!

「風精召喚!剣を執る戦友!!迎え撃て!!」
「はは! やっと本気か!? だげどな、こんなもん、へでも…ッ!?」
「『魔法の射手・(サギタ・マギカ・)連弾・(セリエス・)雷の17矢(フルグラーリス)』!!」
「うおっ!」

よし、うまく乗せることができた。相手も乗ってくれたようでこれで今一番の魔法を撃てる!

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル……闇夜切り裂く一条の光、我が手に宿りて、敵を喰らえ」

―――受けてみて!

「『白き雷(フルグラティオー・アルビカンス)』!!」
「うがああああぁぁぁあ!!?」

白き雷の直撃を受けた少年はそのまま後ろに吹き飛ばされていった。
でも、それだけでやれるとは正直思っていない!
その証拠に土煙の中からすごいスピードで迫られて鉛を受けたような拳をもらっちゃった! いけない!?
アスナさんとカモくんも黒い狗のような影にとらわれて身動きができないでいる。
それから何度も拳や蹴りを受けてとても痛いけど今はまだ我慢できる範囲だ。
そして少年がとどめの一撃を決めようとした。
ここが、チャンス!

「契約執行0.5秒間、ネギ・スプリングフィールド…!」

即座に少年の拳を受け止め逆に殴り返して空中に上がっているところを下に回り再度詠唱をし、掌を少年の背中に当てて白き雷を放った。
少年は痺れて動けないようで顔だけこちらに向いている。
だから僕は大声で叫んだ。「これが僕の力だ!」と。
そこからすぐに形成を建て直して脱出する算段をしようとしたらまだ動けたようで立ち上がったと思ったら少年の体が変化した!?
カモ君がいうには獣化っていうけど、人間じゃないの!?
でも、今は関係ないので再度自分に契約執行を施し挑もうとしたらそこにのどかさんが現れて次々と少年の攻撃先を読んでくれている。
あのアーティファクトの力なのかな?でもそろそろ僕も魔力が危ない。そこでふいに意識が揺らいでそこをついてか少年が特大の拳をあびせようとしてきた。やられる!?


―――まだまだ甘いですよネギ先生。


その時、ここにはいないはずの人の声が聞こえた。
だから恐る恐る目を開くとその少年の拳は僕の生徒であるシホさんの手によって止められていた。

「シホさん!?」
「シホ、どうして!?」
「私も身代わりを用意してこちらに救援に来たんですよ」
「なんや姉ちゃん? いきなり現れて俺とネギの勝負の邪魔をせんでくれん?」
「まぁそう言わずに…ネギ先生はもう限界に近いから私が代わりに相手になってあげるわ」
「女は引っ込んどき!」
「話を聞きなさいって…」


―――いっているでしょう?


「がっ!?」

シホさんは少年の拳を掴んだまま手に魔力と違う力…これが気なのかな? それを集めて少年を柱まで吹き飛ばした。
すごい! あの細腕のどこにあんな力があるんだろう!
と、そこにカモ君になにか聞いたのか、のどかさんは少年に向かって、

「小太郎くん! ここからでるにはどうしたらいいんですかー?」
「な、なんやて!? アホか姉ちゃん! 俺がそんなこと教えると思うか?」

僕も普通そう思うけどのどかさんはアーティファクトでそれがわかるらしく、すぐにここからの脱出法を言い当ててしまった。
それに小太郎という名前の少年は焦ったのかかかってくるが、

「私に任せてください」

シホさんがいつの間に出したのか手に何本ものナイフを持っていてそれをすべて投擲し、小太郎君の周りに設置し、

「神鳴流…稲交尾籠(いなつるびのかたま)!」
「ぐっ…!!?」

なにかの結界術で閉じ込めてしまった。

「これで当分出てくることはないでしょう。さ、今のうちに脱出しましょう」
「あ、あの…小太郎君、ごめんね」

そして脱出した後、ちびせつなさんが再度結界を張りなおして小太郎君を結界の中に閉じ込めてしまった。
それから近くにあった川で手当てを受けながらどうしてのどかさんがここにいるのかと質問すると、

「そ、それは…ネギ先生とアスナさんがどこかいくのを見てどこいくのかな~と思っちゃって…」
「なるほど。それで鳥居に迷い込んで運良くネギ先生達と合流できたわけね。まぁばれてしまったものはしかたがない。とりあえず一緒に連れて行ったほうが危険が少ないからいいでしょう」
「そうっすね。しかし、のどかの姉ちゃんのアーティファクトも使い方によっては結構使えるぜ! いやー、これはいいパートナーにめぐり合えたもんだな!」
「こら! エロガモ、勝手に話を進めない! それよりシホ。あんたもいつからこっちに来ていたの?」
「んー? 内緒。でもさっき駆けつけた時に来たと思ってもらっていいわ」
「先ほどの捕縛術は見事でした」
「ありがと、刹那。それよりもう少しで関西呪術協会だからネギ先生が回復次第いくとしましょうか」
「そうですね」

でもその後刹那さんがなにかの妨害にあったのか式は機能を停止してしまってどうするかと言う問題になってしまった。




◆◇―――――――――◇◆




刹那は通信ができないほど焦っていて現在このかの手をつなぎながら京都を走っているところだった。

「お嬢様、大丈夫ですか!」
「はぁはぁ…平気やけど…どうしたんせっちゃん?」
「い、いえ少し…(言える訳がない。今現在敵に狙われていることなんて…)」

そして後ろから追ってきている早乙女ハルナと綾瀬夕映がなにかに気づいたのか、

「あれ? ここってシネマ村じゃん。桜咲さんここに来たかったの?」
「えっ…(そうか。よしここなら)すいません! 早乙女さん、綾瀬さん、私このか…さんと二人きりになりたいのでここで別れましょう!」
「え!?」
「お嬢様、失礼!」

刹那はこのかを抱えて跳躍をかましシネマ村へと入っていった。
残された二人は色々と二人の仲はどうなっているのか考えていたり。



…少し場所は離れ、ちびせつなのお札をつかって自身もちびねぎとなってネギ(カモも背中に乗っている)は向かっている途中、

「驚きました。シホさんも式神を使えたんですね」
「だよな」

ネギは同じくちびしほとなったシホに話しかけた。

「ええ。これでも神鳴流を学んだだけありますから。昔は重宝しました」
「昔、ですか?」
「いえ、気にしないでください。それより急ぎましょう」
「はい!」
「おうよ!」

そして二人と一匹がシネマ村に到着するとなにやら三班のいいんちょ達と刹那達は着物やらを着て仮装をし一緒にシネマ村の道を歩いているところだった。

(なにがあった?)

シホはその思いに駆られていた。
とりあえず合流しなければとネギ達と一緒に刹那に近寄った。

(刹那さん、刹那さん!)
(え? あ、ネギ先生! それにカモさんにシホさん! どうやってここに…)
(刹那の気を追ってきたのよ)
(それよりなにがあったんだ姉さん?)
(そ、それが…)

と、そこに「ふふふ」という声とともに月詠があらわれた。

(あいつは確かこの前に倒した奴ね。刹那、私は少し離れた場所で実体化しているから後を頼むわ)
(わかりました)

「ぎょーさん連れてきてくれはっておおきにー、刹那センパイ。でももう一人の方がいないんは寂しいですねー」
「ふん、貴様などシホさんの手を煩わせることもなく倒してやる。そしてこのかお穣様は必ずお守りする!」

高らかに言い切った刹那であったが、周りのいいんちょ達や観衆は感動しているのかどうにも勘違い者が続出している。
そして勘違いはエスカレートしいいんちょ達も戦闘に参加すると言い出した始末で。

「ツクヨミといったか? この人たちは…」
「心得ておりますー。ほかの皆さんには私の可愛いペットがお相手いたしますねぇ~?ひゃっきやこぉー♪」

呪符を撒き散らしたと同時に現れるたくさんのかわいいとも怖いともつかない妖怪の群れ。
それにいいんちょ達は防戦していた。
そしてネギは刹那にニンジャ姿の等身大にしてもらいこのかを連れてお城の方まで逃げていった。
すべてが済み刹那は月詠と殺陣を始めた。



一方シホは少し離れた高台の上に陣取り弓を投影しいざという時に見守っていた。

「今のところ刹那は大丈夫…。でもネギ先生のほうは…「アレ見て! アレ! あそこでも劇が…」あそこ? ッ!? お城の上に追い詰められている!」

シホが見た先ではお城の上でネギとこのかは符術師の女と謎の白髪の少年、それに幻想種の鬼と対峙していた。

「聞ーとるかお嬢様の護衛・桜咲刹那! この鬼の矢が二人をピタリと狙っとるのが見えるやろ! お嬢様の身を案じるなら手は出さんとき!!」
「まずいわね…アイツをどうにかしないと。投影、重装(トレース・フラクタル)―――I am the bone of my sword.(我が骨子  は 捻じれ  狂う)!」

符術師の女が叫び散らしている間にシホは宝具を投影して構える。
だがそこでともにいた白髪の少年がいち早く気づいたのか、

「(気づかれた!? だけど遅い!)偽・螺旋剣(カラド・ボルク)!」

シホの弓から放たれた魔剣は瞬く間に亜音速で空間を貫き幻想種へと向かっていった。
結果はすでにわかっている。
否、防ごうとしてもそれごと見事に粉砕するだろう。
だが、そこでミスが生じた。シホが放つ直前に城の屋上には運悪く突風が吹き荒れネギ達は多少だが動いてしまったのだ。
それで忠実に命令に従っていた幻想種はカラドボルクに貫かれる前に矢を放ってしまっていた。
――シホは残心がまだあったためすぐには動けない。
――ネギは実体でないため魔法すらも使えない。
万事休すかと思われた次の瞬間、

このかの前に、盾となり貫かれた、刹那が、いた。
シホは恐らく刹那の名を叫んだのだろう。刹那はそのまま落下していった。しかもそれを追ってこのかも飛び降りてしまった。
そこでシホは助けられないのか!? と苦虫を噛んだが、このかが刹那を抱きかかえた瞬間すさまじい光が溢れた。
シホは一瞬だが目を瞑ってしまったが、次に目を開けたときには二人は水面の上に浮かび上がっていて刹那の貫かれた傷も塞がっていった。

「あれが木乃香の隠された能力か。とてつもないわね…でも無事でよかったわ。でも…」

先ほど気づかれた事にシホは驚きを隠せないでいた。
距離があったし魔力も直前まで隠していた。だからあの一瞬だけで気づいたわけだ。
只者ではないと思い、そしてどこかであの白髪の少年を見た覚えがあるとも感じながら、ちびねぎと合流し逃げる準備をしている刹那達とともにシホは本体の元へと帰っていった。




◆◇―――――――――◇◆




「くぁー…また逃げられた。コラ、新入り。本当に追わんでええんか?」
「ええ。後でどうにでもできますから(しかし先ほどのすさまじい攻撃はいったいなんだ? 前にも記録でだけどこれを見たことがあるかもしれない。そういえば彼らの中に確か名前は“シホ・E・シュバインオーグ”といった少女がいたね。名前の空似でもなければ…一番の障害になりうるかもしれないね。これは千草さんにはそれとなく話しておくとしよう)」

白髪の少年はそう結論付けて次の思考を開始した。


 
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