クロスウォーズアドベンチャー
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最終話:別れ
見た目によらず高い知識と魔力を保有していたためにデジクロス機能を解析出来たなっちゃん。
彼女によって様々な問題が解決し、太一のデジヴァイスのみスクラップの危機を迎えた(自業自得だが)が、何とかクロス・コード持ちのデジヴァイスにデジクロス機能を搭載することが出来たのである。
「ほーい、タケルのお兄ちゃんの改良型デジヴァイス出来たよ。…ほい、ついでにヒカリのお兄ちゃん」
ヤマトには手渡しだが、失礼発言をした太一のデジヴァイスのみ投げつけるという差別行動をするなっちゃん。
「うわっと!?危ねえな、手渡しくらいしてくれてもいいだろ!!精密機械なんだから丁寧に扱え!!」
「以前僕のパソコンを叩いて直そうとしたり、パソコンを乱暴に扱ってパソコンをフリーズさせてウォーグレイモン達を窮地に陥れたあなたが良くそんなこと言えますね」
絶対零度の瞳で太一を見つめる光子郎に、太一は大量の冷や汗を流しながら明後日の方角を見遣る。
「太一さん、パソコンは昔のテレビじゃないんだから叩いても直りませんよ」
「光子郎さん、ごめんなさい。機械オンチなお兄ちゃんで…」
一応パソコン部に所属している(ほぼ幽霊部員だが)大輔が呆れたように太一を見遣り、ヒカリが太一の所業に頭を下げた。
「まあ、太一の機械オンチは今に始まったことじゃないから置いといてだ。これでデジクロスとかいうのが出来るようになるのか?」
「うん、多分使えるんじゃない?私じゃ使えないから分かんないし、被害受けるの私じゃないから問題無し」
「いやいや責任持ってよなっちゃん!!お兄ちゃんにデジクロスを頼んだ時にもしパタモンが変なデジモンになったら立ち直れないよ僕!!」
「大丈夫、私はパタモンが合体事故を起こしてヌメモンやスカモンになっても気にしない!!だから安心してね」
「気にしてよ!!」
「君達!!」
タケルとなっちゃんが騒ぎまくるのを放置し、突如この場に現れたアルフォースブイドラモンに全員の視線が向けられた。
「ホメオスタシスから警告が来た。過去と未来の繋がりが弱まってきているらしい。」
「このままここにいたら過去に帰れなくなるか…」
「ということは…またお別れなのね」
大輔の呟きにネネが寂しそうに呟いた。
「ネネさん…」
「大輔君、ヒカリさん、賢君も…またあなた達に会えて良かったわ」
「ネネさん、私もまたネネさんに会えて良かったです。」
手を握りあうヒカリとネネ。
「ヒカリちゃん、大輔君も賢君も元気でね?無茶しちゃ駄目よ?」
目に涙を滲ませながらアカリが大輔達に言う。
今度こそ正真正銘の最後となるのだから大輔達は素直に頷いた。
「大輔、お前らなら何があっても大丈夫だ。お前らにも頼もしい仲間がいるんだからな」
「例え、どのような苦難が待ち受けていようと…お前達が“前”だと信じている道を進み続けろ。俺達もまた己の信じる“前”を進む。例え過去と未来の壁があろうと…生きる次元が違おうとも…俺達と共に戦ってきた時間は心に刻まれているということを忘れるな…。もしかしたらまた次元が繋がる時があるかもしれんしな。だから別れの言葉は言わん。また会おう我が戦友達…」
「タイキさん…キリハさん…はい!!俺達も頑張ります。タイキさん達も頑張って下さい」
「ははは、まだ大輔みたいに明確な目標は見つからないけど俺も絶対に夢を見つけてそれを実現させる。今度は前みたいに諦めたりしないで…!!」
「約束ですよ…!!」
「ああ!!」
大輔とタイキは握手を交わし、ヒカリは泣いているコトネの頭を撫でる。
「また会えたのにもうお別れなんて…」
「コトネちゃん…ごめんなさい。でも何時かきっとまた会えるわ。どれだけの時間がかかるかは分からないけれど…」
「僕達はまた会えた。何時かまた会える可能性もゼロじゃない。何時かまた会える日を信じて、前に進むよ」
「…私も皆さんにまた会えるその日まで、頑張ります」
「みんな、俺も負けないように頑張るからな!!」
「あれ?ゼンジロウさん、何時からいたんですか?」
「さっきからいたぞ!!」
賢が不思議そうにゼンジロウを見遣るとゼンジロウがツッコんだ。
「とにかく、ありがとうございました!!また!!また何時か!!」
【また何時か!!】
大輔達とタイキ達は笑顔で別れる。
それぞれの世界に帰り、それぞれの道を進むために。
そして数時間後の始まりの町ではすっかり忘れ去られていたマミーモンとアルケニモンがいた。
【ピィイイイイ!!】
始まりの町にて響き渡る幼年期デジモン達の鳴き声。
「むう!!いかん、食事の時間だ!!おい、貴様ら。食料は集めてきたか!!」
「ああ、魚とか色々見つけてきたぞ!!」
「うるさいわねえ!!何で私がこんなこと…ヒィイイ!?」
文句を言おうとしたアルケニモンの頬に弾丸が掠る。
シスタモン・ノワールのなっちゃんが満面の笑顔でアルケニモンに銃を向けていた。
「アルケニモーン。誰のおかげで衣食住にありつけるのか忘れたわけじゃないよねえ?」
「ヒィイイイイ!?シ、シ、シスタモン!?」
アルケニモンとマミーモンが何で始まりの町にいるのかと言うと、全員がすっかり忘れ去って帰ろうとした時に偶然発見し、このまま見捨てるのもあれなので罪滅ぼしのためにブラックアグモンとなっちゃんの監視付きで始まりの町で働く羽目に。
何故アルケニモンがなっちゃんを恐れているのかと言うと、最初はやる気を出さずにサボっていたのをなっちゃんが注意した時、大輔の悪口を言ったのが原因でフルボッコにされ、数日間顔面に大量の殺虫剤を吹きかけられ、更に数日間、殺虫剤混入の食事を無理矢理食わせられると言う拷問レベルの制裁を受け、すっかりアルケニモンはなっちゃんの存在がトラウマになったのである。
「ねえ、本来なら始末されても文句言えないあんたを生かしてもらってるのは誰のおかげ?」
「だ、大輔さんです」
「だよねえ?じゃあ、文句言わず働いてね?もしサボったりしたら今度は両腕両脚に弾丸撃ち込むから」
「は、はい…」
顔を真っ青にしてペコペコとなっちゃんに頭を下げて作業を再開した。
「(怖ええ…)」
一部始終を黙って見ていた(賢明な判断)マミーモンは冷や汗を大量に流しながら穫ってきた魚を置いた。
【プゥウウウウ!!】
早く食べたいとばかりに叫ぶ幼年期デジモン達。
「待たんか、喉を詰まらせないように骨を取り、食べやすいようにしてやる」
ブラックアグモンが几帳面にも骨を取り、喉を詰まらせないように小さく切ると幼年期デジモン達に与えてやる。
「ふむ、今日のおやつは…これにするか…」
どこからともなくフリル付きのエプロンを取り出して装備し、フライパンとホットケーキの材料を取り出した。
「今日はホットケーキを作るとしよう。デジリンゴもあることだしな」
手慣れた手つきでりんご入りホットケーキを焼き始めるブラックアグモン。
「お前、ダークタワーデジモンなのに今じゃ保父みたいになってんなあ」
「そう言う貴様は主夫だろうが、さっさと今日の夕食の材料調達に行ってこい。俺はベビー達におやつを作らなければならん。」
「へいへい、アルケニモーン。夕食の材料を探しに行こう」
「はあ!?さっきチビ達の食料を穫ってきたのにもう探しに行くのかい!?少しは休ませ…」
「ミッキーバレッ…」
「探します!!探しますから!!」
なっちゃんに銃口を向けられたアルケニモンは冷や汗を流しながら、食料調達に向かうのであった。
後書き
逆襲ですが、原作と変わりません。
オメガモン敗北→PM降臨→アーマゲモンブスリの流れです
ご愛読ありがとうございました
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