クロスウォーズアドベンチャー
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第66話:未来
ベリアルヴァンデモンを倒してから数日後…。
どうやらタイキ達の時代と大輔達の時代は時間の流れは違うらしく、久しぶりに未来のデジタルワールドを満喫していた。
「「~♪~♪」」
シャウトモンとブイモンは仲良く歌を歌い、大輔達は笑顔で見つめていた。
「それにしても大輔君はあの時とあまり変わってないのね」
「あ、ネネさん。そっちは丸々1年経ってるそうですしね。」
「でも少し安心したわ。大輔君は大輔君のままでいて。強くて優しいあなたのままで」
大輔の腕に自身の腕を絡ませるネネ。
「あ、あの…ネネさん…恥ずかしいんですけど…」
「少しだけいいでしょ?あなたに久しぶりに会えたんだもの、あなたのファンとしてね♪」
「あ…あはは…」
「うひゃあ、大輔のファンなんて珍しい人もいるもんね~。ねえ、ヒカリちゃんーーーーー!!!!?」
ヒカリの同意を求めて隣にいるヒカリを見遣ると、名前と正反対の凄まじい暗黒オーラを纏いながら目の前でイチャイチャ(ヒカリ視点)している大輔とネネを鋭い目つきで見つめているヒカリの姿があった。
「あら?ヒカリさんどうしたの?名前とは正反対のオーラとメギドラモンとミレニアモンとアルゴモンを足して3割ったような恐ろしい異形の影が見えるんだけど?」
ネネが疑問符を浮かべながらヒカリに尋ねる。
「いえいえ、私がそんな恐ろしい物を出すわけないじゃないですか」
「いや、ヒカリちゃん。私の目から見ても…」
「京さん、何か言いました?」
「すみません、何も言ってません」
暗黒オーラを纏いながら満面の笑顔で京に振り返るヒカリ。
京は恐怖のあまりに即座に土下座した。
「ネネさん、今すぐ大輔君から離れて下さい。」
「ふふふ、大丈夫よヒカリさん。心配性ねえ、大輔君を取ったりしないわ。私にも私の1番がいるもの」
「へ?」
「ね?キリハ君?」
「まあな、だから安心しろ八神ヒカリ。ネネは君の大切な大輔を奪ったりはせん」
ニヤリと笑いながら言うキリハにヒカリは赤面しながら俯いた。
「ヒカリちゃん大丈夫よ。大輔君が浮気なんて出来るような子じゃないことくらい分かるでしょ?もし浮気をしたらシバいて浮気出来ないようにすればいいんだから」
「アカリさん、本人の目の前で言うことですかそれ?」
大輔は苦笑しながらアカリにそう言うとアカリも笑みを浮かべた。
「言う話よ。私はヒカリちゃんの味方なんだから」
「うわあ…」
「まあ、大輔が浮気なんて想像出来ないけどね」
「浮気なんかしねえよ。太一さんに殺されるし、今よりチビの頃から好きだったんだぜ?」
「それって何時ぐらいから?」
「んー、まだアメリカから引っ越して日本語に慣れてなかった時だな。昔は日本語と英語がごちゃ混ぜにして話してたから京とか伊織には何を言ってるのか分からないって良く言われたりして泣かれたり、日本のことがさっぱり分からない時、何時もヒカリちゃんに助けてもらったんだ。あれからだなきっと…」
「そうだったんだ…ん?“泣かれた”?」
賢が納得したのと同時に大輔がサラリと言った言葉に疑問符を浮かべた賢。
それに気付いた京は大輔の暴露を阻止しようと口を塞ぐ。
「あっははははは!賢君、別にそんなの気にしなくて…げふう!?」
腹部に大輔の肘が炸裂。
膝をついた京を無視しながら暴露を開始。
「いやな、京の奴は…」
「止めてえええ!私の黒歴史ぃいいいい!!」
「当時さっぱり英語が分からなくてよ。多分俺の言葉を宇宙人の言葉か何かと勘違いしたのか、“お姉ちゃん、この子怖いぃぃいいいい!!”って泣き叫びながら百恵さん達に泣きついて…」
「いやああああああ!!」
賢に暴露された京は頭から煙が噴き出す程に赤面しながら叫んだ。
「ぷ…ぷぷぷ…」
口元を押さえて必死に笑いを堪えるタケル。
「大輔さんは小さい頃はアメリカで暮らしてたんですか?」
「ああ、そうだよコトネちゃん。」
「何ぃ!?大輔、お前帰国子女って奴だったのか!?」
「太一さん、あなた大輔君との付き合いが長いのに何で知らないんですか?」
太一が大輔の意外な事実に目を見開き、光子郎が未来のデジタルワールドを観察しながらツッコミを入れた。
「丁度良い大輔!!実は春の小テストでの英語が…」
「3つも年下の後輩に縋るな!!」
「みっともないから止めなさい太一!!自分で何とかしなさい!!」
「うおおおい!!テストで良い点取らなきゃサッカーが…」
ぎゃあぎゃあ騒ぎながら太一はヤマトと空に連行されていった。
「興味のあること以外は駄目なのはこっちもあっちも同じか」
「並行世界とは言え同一人物だからな。基本的な部分は似ているのは当然だろ」
アルフォースブイドラモンとマグナモンも笑みを浮かべながら呟く。
「とにかく、ヒカリちゃん。俺は浮気なんか絶対にしない誓ってしない。だからその怒りのオーラをしまってくれ」
「むう…分かった。信じるよ大輔君。」
大輔の言葉に頷き、オーラが消え、ヒカリの表情は和らぐ。
「それに…苦労して手に入れたヒカリちゃんを無くすようなことなんかしないよ。あーんだけ苦労したんだからさ」
「う…返す言葉もないです」
前の態度があれだったので受け入れられなくても仕方ないくらいだった。
下手すれば初デート時点で却下されてもおかしくはなかったのである。
「だよなあ、はっきり言ってヒカリが大輔をデートに誘った時、一瞬で断られてヒカリがフラレる未来もあったわけだしなあ。今までが今までだから」
「うぐっ」
「(っ!ヒカリの頭にロゼッタストーンが…)」
テイルモンの目にはヒカリの頭にロゼッタストーンが勢いよく落下したのが見えた。
「他人様の姉弟関係に口出しするわ。まあ、これはヤマトもだけど」
「うぐっ!」
次はブイモンの言葉の矢がヒカリのハートを射抜き。
「大輔が誘っても流して京とかの方に行くし」
「あ…うう…」
ブイモンのジト目の言葉にヒカリは肩を落とし。
「正直、あーんな酷い扱いされてたのによくヒカリは大輔に受け入れて貰えたなって、俺はヒカリ一筋の大輔に感動すら覚えたよ」
「う…うう!!」
更にロゼッタストーンがもう1つ落下。
「正直俺は今までの態度があれだったからヒカリは手酷くフラレて、大輔が別の彼女を作る未来さえ予想してたけどな」
「はい、ごめんなさい。私の態度が悪かったです。本当にごめんなさい」
ブイモンの言葉に心がへし折れたヒカリはペコペコと頭を下げて謝罪した。
「まあ、もしもの話はこれくらいにして、光子郎さんは何してるんです?」
「デジクロスの研究ですよ。デジモン同士を合体させ、1体のデジモンにすることで単体では引き出せないような力を引き出す現象…昔、僕達は似たような現象を見たことがあるんです。」
「…オメガモンか」
「はい、ディアボロモンとの戦いで瀕死の状態になったウォーグレイモンとメタルガルルモンは沢山の人々のメールの力で合体し、オメガモンとなりました。あのような奇跡の進化を実用レベルにまで持って行く未来の技術は是非欲しい!!」
「そんなこと言われてもなあ。デジクロスの技術を作ったバグラモンはいないし、Xローダーを解析したウィザーモンは未だに行方不明。俺達はXローダーをただ使っていただけだしなあ」
「そうですか…」
バグラモンもウィザーモンもいない今、誰も光子郎にデジクロスの技術を与えられる存在はいないということになる。
それを聞いた光子郎は肩を落とした。
「ふーん、これを調べればいいの?」
なっちゃんがXローダーとD-3Xを指差しながら尋ねる。
「分かるのかなっちゃん?」
「今のままじゃ分かんない。だから貸して」
「そりゃそうだ…じゃあ俺のD-3Xを貸すよ。」
「うん…分解するの面倒臭いから魔法で透視するね…」
なっちゃんは魔法陣を展開し、D-3Xの内部を見る。
「ふわあ、複雑…でも、これくらいなら何とか出来そう。複製も出来そうだよこれ」
「複製?一から作るってことかい?デジヴァイスを一から作るって出来るのかい?」
「当たり前、確かにデジヴァイスもD-3もD-3XもXローダーも滅茶苦茶凄い技術の塊で魔法的な知識も必要だけど、デジヴァイスとかはあくまでも単なる機械。優れてるのは人の心に呼応して通常種を上回るパワーアップをする進化システムと一部の人間だけが持つクロスコードを利用するシステム。この2つだね。はっきり言ってヒカリのお兄ちゃん達がクロス・コードを持っていていたら、デジクロス機能をデジヴァイスに付け足すよりも全部分解して一から組み立てた方が良いかも」
「何でだよ?」
「少し考えれば分かるだろう?貴様らのデジヴァイスとやらはデジクロス機能に対応していない。いきなりそんな物を付け足してもまともに機能するわけがないだろう」
「あ…」
「こんな簡単なことも分からんとは嘆かわしいな」
「興味のあること以外の太一は基本的にこんなだ」
今気付いた太一にキリハは呆れたように呟き、ヤマトは慣れたように言う。
「うるせえやい!!」
「クロスコードなんてどうやって分かるようにするんだ?」
「うーん、大輔達が私達をデジクロスさせる時に感じる力がクロスコードなら、それを参考にすれば…今から身体検査しよっか?」
なっちゃんによる太一達の身体検査が始まり、クロス・コードの適正があるのは太一とヤマトのみであった。
「じゃあ、デジヴァイス貸して。バラバラに分解するから」
「ちゃんと元通りにしろよ?」
「ああー、私を疑ってるね?じゃあ、ヒカリのお兄ちゃんだけデジヴァイスをスクラップにしてやるから」
「それだけは止めてくれ!!」
スクラップは勘弁とばかりに太一が叫んだ。
全員が太一の姿に爆笑したのである。
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