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吸血鬼になったエミヤ

作者:炎の剣製
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008話 ドッジボール騒動

 
前書き
更新します。 

 


ある日の昼下がり、学園の中庭では明石裕奈、和泉亜子、大河内アキラ、佐々木まき絵の運動部の四人がソフトバレーをしながら遊んでいた。

「ねぇねぇ、ネギ君やシホさん達が来てから少し経ったけど、みんなどう思ってる…?」
「ん…………いいんじゃないかな?」
「そうだね~、ネギ君は教育実習生として頑張ってるしね? それにエミヤンもかなりきついはずなのにリハビリも頑張っているしアヤメさんも、まぁなんというかエミヤンに対して度が過ぎているほど尽くしているけど、あれじゃしかたがないよね…それによく鳴滝姉妹とじゃれているからほのぼのしているし」
「それにシホさんの料理の腕は凄いしウチ料理を学びたいわ」
「あ、たしかにネギ君の歓迎会で出された料理はうまかったもんね。後で聞いた話なんだけどあんなに豪勢だったのに、カロリー計算もしっかりしてあったらしいね。朝倉の撮影したものを見せてもらったけどいまだにどこに手を加えたかわからないしね」
「うそ! あれで!?」
「そうみたい……」
「興味あるね……あ、それより話は戻ってネギ先生は子供やし、うちら来年受験だけど大丈夫かな?」
「そこはほら、ここは大学までエスカレーター式だから大丈夫じゃない?」
「でもやっぱり10歳だし高畑先生とは違って相談しにくいよね」
「逆に相談に乗ってあげちゃおうか?」
「経験豊富なお姉サマとしてー? あ!?」


そこでまき絵は変なほうにボールを飛ばしてしまい、拾いにいったらそこには何名かの制服が違う生徒が立っていた。


「あ、あなたたちは!?」




◆◇―――――――――◇◆




一方、シホは職員室の別室で意外というか魔法の関係者の一人である葛葉刀子となにやらお話をしていた。

「やはり、長殿と同期で、しかもかなりお若くして神鳴流を卒業したという剣士というのはエミヤさん、あなただったのですね…」
「まぁ、はい。結局二流で卒業してすぐに詠春達と魔法世界にいってしまいましたからそんなに神鳴流での戦歴はないですよ? それに魔を退治するのが神鳴流なのに使い手が魔に落ちてしまったからもう堂々と名乗れませんしね」
「なにをいうのです。魔法世界でのあなたの活躍は存分に聞いております。私にとっては長殿の活躍と同時に女性であるエミヤさんの神鳴流を使う活躍話は小さいながらに私の憧れでしたのです。
それに自ら魔に落ちてそうなった訳では…えぐ、ふぐっ…エミヤさん、お労しいです」
「あぁ~…刀子先生泣かないでください。私は気にしていませんから」
「それはありえません! ある言伝から聞きましたが先日の大浴場での事件は耳に入れております。ですから無理せずに苦しかったらすぐにいってください!」
「は、はい…」
「それと足がある程度完治しましたら一度手合いをお願いします。私もまだまだ未熟者ですから…」
「そんなこと…刀子先生のほうが神鳴流としての戦歴は長いのですから私なんか…」
「いえいえ、ですが…」

問答が繰り返されようとしていたとき、隣の職員室からなにやら騒ぎが起きていて、ついでネギが職員室を出て行ったらしく二人はその騒ぎで一度クールダウンした。

「………」
「………」
「とにかくなにやら騒がしくなったのでそろそろ出ますね。次は体育ですし、…見学ですけど。それと相談に乗ってくれてありがとうございます」
「いいえ、いつでも乗ってください。先輩の頼みなら…「先輩は恥ずかしいからよしてね?」…はい。それでは相談の件、長にしかと伝えておきます」
「ありがとうございます」

笑顔を浮かべながらシホは葉加瀬特注、全自動車椅子のレバーを操作し動かして部屋から出て行った。
その際、刀子もシホの笑顔に見惚れたのは言うまでもない。
しばらくして部屋の中から、「あんな素晴らしいお方がどうして…ッ!!」という刀子の泣き嘆き悲しむ言葉が響いていたそうで瀬流彦や伊集院が慌てて慰めに行ったそうな。




教室に到着したシホは先ほどの騒ぎはなんだったのか聞くと、どうやらまた高等部の生徒と場所の取り合いになったというらしい。

「なんとまぁ…大人気ないね」
「そうだよねー!」
「ほんとむかつくよね! 少し歳が上だからっていい気に乗って!」
「「はうっ!?」」

シホとタマモは外見年齢と中身の年齢がかなり違うので耐性がないために胸を一緒に押さえていた。
エヴァはもう年齢とかという概念は一切気にしていないので気にしていないが。
そんな二人の様子に不思議がっていた一同だが屋上にあがった時にそれは違う感情に書き換えられた。
屋上のコートには高等部の制服を着た数名が占拠していたからだ。
…なぜかネギまでいて捕まっている。アスナに指摘されて弱弱しい声を上げているのはもはや定番だろう。

「なにあれ…?」
「さぁ、なんでしょうか…?」
「ああ、二人は知らなかったよね。あいつらが今さっきまで噂していた高等部の連中だよ」
「あー…噂の上から目線の馬鹿な年増女達ですか。噂で聞いていましたが授業妨害まで普通にするなんて度が知れていますね~」
「うわぁ…アヤメさん、相変わらずの毒舌だね」
「ま、あんまり間違っていないのは確かだけど」

アスナたちが前方で言い争っている中、後方で普通に会話をしていたシホ達だがタマモの言葉が聞こえたのか突っかかってきた。

「ちょっと、そこのあなた。目上に対しての態度がなっていないんじゃなくて?」
「でしたらまず貴方達の行動を客観的に見つめなおす必要がありますね? なんですか、授業妨害甚だしい行為。先ほどアスナさんも言っていましたように先輩方の校舎は隣でしょうに…。
…はぁ、授業の場所も間違えるなんてもうボケが始まっているんですか…?」

タマモの煽る発言に高等部の連中は額に青筋を作り、先ほどまで言いくるめられていた2-Aの面々は「いいぞ、もっとやれ」と応援を始めていた。
シホは「いいのかなぁ…」とエヴァに相談していたが関わりたくないらしく「私に振るな」といってそっぽを向けられていた。
だが高等部の連中はタマモの怒る発言№1を言ってしまった。
しかも連動式発火装置つきで。

「でしたらそこの赤髪の子はなんなの? 車椅子なんて使っていて授業出る気ゼロではないですか?」
「………なぜそこでシホ様の事に触れるんでしょうかねぇ…? 年上だからと、いい気に乗って足に障害があるシホ様を侮辱するなどまさに愚の骨頂…いっぺん、死んでみますか?」
『……………』

タマモを筆頭に2-Aの半数以上はまさに「ゴゴゴゴッ!」と効果音が鳴るのではないかというくらいに表情に怒りを浮かべていた。
タマモは怒りを通り越してもはや冷笑を浮かべているから尚の事怖い。
それに高等部の連中は後ずさりながらも反撃を繰り返して、いよいよ喧嘩が勃発するのではないかという空気でネギが必死にみんなを止めて、スポーツで勝負して勝敗を決めることになった。




私はコート脇で見学組みと一緒に見学することになったがタマモは先ほどの怒りがまだ抜けていないのか嬉々としてコートに入っていった。

「ふぅ…でもネギ先生が止めてくれてよかった。あのままじゃタマモ、高確率で呪いでも本気で掛けるかもしれなかったから」
「お前限定であいつは沸点が異常なまでに低いからな。まぁそういう展開になったら私としては面白いが」
「別に面白くないでしょうに…」

そうこう会話をしている間に2-Aの生徒は次々とアウトされていく。
やっぱりあぁも密集していると狙いが着けられやすいし移動の混雑も発生してしまうからなぁ。委員長に伝えておけばよかったな。
これは、ネギ先生はおさらばか?
と、見ていると一人の高等部のリーダーらしき生徒が太陽を背にしてアスナを狙っている。
それにアスナは当然目を塞ぐが、

「タマモがあそこにいるんだから太陽の光如きで防げるわけでもないわね」

案の定、アスナに当たる予定だったボールは軽くタマモにキャッチされた。

「あ、ありがと、アヤメさん」
「いいですよぉ…。それよりここから反撃と致しましょうか」




―――ここで少し昔の話をしよう。
タマモは召喚された当時、体術はキャスターのクラスもあり接近戦は得意ではなかった。
そして英霊は一度死んだらそこで成長は止まってしまいサーヴァントになってももう成長は望めない。
なら、どうしたか?
成長はしないが経験を積めばいい。幸い生前で幸か不幸かどうかは分からないが、かなりの経験を積んでいるし呪術で身体強化も施せば十分やっていける。
そして赤き翼で途中退場したもののシホとともに世界相手に相手をしてきたのだ。
強くならざるを得ないのは必然だった。
それで接近主体のガトウなどに体術を仕込まれたものだ。
最後に現在吸血鬼化して魔力が大幅に水増ししたシホから送られてくる魔力はかなりのものであり、聖杯のバックアップがない以上現界分も消費されるが、それを差し引いて見ても、三騎士には遅れをとるもののライダーやアサシンのクラスには引けを取らない実力をものにしたのだった。


話は戻りボールを受け取ったタマモは身体強化を施しているわけでもないにせよリーダー格をしとめることに成功した。
そこからはもうその場限定でアスナとタマモのタッグを中心にネギも皆を勇気付けて前向きにさせ、全員が反撃を開始し時間は終了し圧倒的な点数で2-Aの勝利となった。
勝利ということでネギ先生が胴上げされている中、ロスタイムとかほざいてボールを当てようとしているリーダーの子にさすがにシホは怒り、

「龍宮、ボール」
「わかった」

即座に龍宮からボールを受け取ったシホは上半身の力だけで吸血鬼の力もこめてボールを放ち、リーダーの子が放ったボールを一緒にふっ飛ばし金網にめり込ませた。

「なっ…!」

唖然としている先輩のところにシホは車椅子を押して向かい、

「先輩方、あなた達は一度言った約束もろくに守れないほど頭は悪くはないでしょ? それでしたらこんな悪あがきで卑怯なことをせずに、素直に負けを認めて引き下がるのが目上の者としての示しではないですか? そうでしょう?」
『は、はひ…』

冷笑と綺麗な笑顔の二重の笑みで高等部の連中は全員青い顔をしてその場から立ち去った。
そこにエヴァが後ろから声をかけてきて、

「ふっ、なかなか威厳が出ていたではないか。それを常時保てればこれからやっていけるだろうよ?」
「ふぅ…そうかな? ま、これでもううるさい事はないでしょうね。こちらとしても静かなほうが落ち着くし」
「まったくだな」

こうして高等部とのドッヂボール騒動はシホの行動にも気づかないで騒いでいるネギ達をシホ達は傍目にしながら幕を下ろしたのであった。


 
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