八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百一話 家庭その十四
「まだオオナマケモノがいるってね」
「そんな話もありますか」
「二十メートル以上のアナコンダとか」
アナコンダはそこまで大きくならないと言われているけれどだ。
「まだ発見されていない生物は多いみたいだし」
「恐竜も」
「いてもね」
本当にアマゾンならだ。
「おかしくないだろうね」
「そうなのですね」
「否定することはたやすい」
留美さんは一言で言った。
「森鴎外がそうだった様にな」
「あの人が海軍の治療を否定したみたいに」
「それは楽だ、しかしな」
「本当かと思ってね」
「調べることはだ」
それはというのだ。
「難しい」
「そしてそこからね」
「新たな発見がある、否定すればそれで終わりだが」
「本当かと思って調べていけば」
「そこから大きなものがわかったりする」
「そうした未確認動物にしてもね」
「私はネッシーは大きな鰻か海蛇と思っているが」
留美さんはそうだった。
「いるとはだ」
「思っているんだね」
「瘤の形が写真の度に違う」
留美さんが言うのはこのことだった。
「鰻や海蛇の身体がくねってだ」
「瘤みたいに見えたっていうんだ」
「そうではないのか」
これが留美さんの見立てだった。
「水面の下に身体があるが」
「その身体はだね」
「鰻か海蛇だろう」
大型のそれだというのだ。
「未知のな」
「未確認動物にもいるしね」
昔からシー=サーペントと呼ばれてきて船乗りの人達の間では有名らしい。十九世紀中ごろにイギリス海軍のディーダラス号が喜望峰で観た生きものもそれだと言われている。
「実際に」
「それだろう、何らかの形でネス湖に出入りしているな」
「それがネッシーなんだ」
「私もネッシーはいると思う」
留美さんは自分の考えをさらに言った。
「しかし恐竜とはな」
「思っていなくて」
「そうした生きものだと思う」
大型の鰻か海蛇かというのだ。
「実際に骨でもないとわからないがな」
「うん、いるにしても」
いると思う人間としてだ、僕も言った。
「ネッシーは何なのか」
「そこは謎だ」
留美さんは僕に言った、そんなことを話しているうちに夕食になったけれどその時の夕食に鰻丼が出た。けれどこの鰻はネッシーではなかった。
第二百一話 完
2018・8・24
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