クロスウォーズアドベンチャー
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第60話:情報収集と突撃ご飯
大輔達は情報収集などをブイモン達に任せて、ゆっくり休むことにした。
ヒカリを自宅に招待(その時、太一が猛反対したがなっちゃんに槍の穂先を向けられて沈黙した)し、ヒカリと共に自分のベッドに腰掛けた。
「…ふう」
「ごめんね大輔君。無理させちゃって」
「いや、俺も楽しかったし。正直ブイモン達が提案してくれて助かったかもしれない。思っていた以上に疲れてたようだ俺達」
京と伊織に至っては張り詰めていた糸が切れたのか、自室でぐったりと寝ているとジュンから聞いた。
「大輔君は大丈夫?」
「ん?」
「向こうでの戦いが終わってからも休んだのなんて少ししかないじゃない。」
「うーん、まあ…疲れてるっちゃあ疲れてるけど、じっとしてるのは何か落ち着かないと言うか…ほら、俺ずっと最前線組だったじゃん。動き回ってばかりが当たり前だったからなあ」
確かに大輔はタイキやキリハと同じく常に最前線で戦っていたし、今回も自分達のリーダーとして動いている。
「体壊さないでね?」
「うん、体壊して迷惑をかけるわけにはいかないしな。ブイモン達が作ってくれた休み時間を有効に使うとするかな。ヒカリちゃん、飯は炒飯でいいか?」
「うん、そうだ。一緒に作ろうよ。」
「…それもいいかも。一緒に作って一緒に食べよう」
大輔とヒカリはジュンが早まった真似をしないうちにキッチンに向かい、昼食作りに励むのであった。
一方、情報収集に当たっているブイモン達は…。
「超ウルトラメガシンカDX盛り豚骨ラーメン。10分で食べ切れれば賞金20万の奴を」
「お、お待ち~…」
ブイモン達はラーメンを食べていた。
暗黒の種を植え付けられた子供達の様子を粗方見たため、昼食タイム。
「頂きま~す!!」
ブイモン、アルマジモン、ブラックアグモンはラーメンを啜り始める。
ブラックアグモンはブイモンとアルマジモンと比べて上品だが、食べる速度が凄い。
テイルモンとパタモンとなっちゃんは少し離れた場所で食べていた。
因みにホークモンはペット禁止のために店の前で鎖で繋げられている。
「…………コケコッコーーーーッ!!!!(泣き)」
美味しそうなラーメンを前にしてホークモンは見ることも食べることも出来ずに天に向かって滝のような涙を流しながら叫んだ。
「「「御馳走様(だぎゃあ)」」」
ブイモン、アルマジモン、ブラックアグモンは超ウルトラメガシンカDX盛り豚骨ラーメンをペロリと平らげた。
見物客は拍手喝采、店長は真っ白な灰となった。
「化け物ね…」
「えっと賞金20万円が3人分だから…」
「店の損額は60万円だね…」
「……ご愁傷様」
真っ白な灰となっている店長を哀れむように見つめるテイルモンであった。
「……ラーメンを食べただけで60万円も貰えるとは…泣いていたが俺達は勝者だ。敗者から貰える物は貰っておこう。」
「あんた鬼ね」
テイルモンが札束を見つめているブラックアグモンに言うと溜め息を吐いた。
「私は何も口にしていないんですけどね」
「仕方ないだぎゃあ、ニワトリだし」
「せめて今の姿を変えようと言う優しさは無いんですかあなた方には」
【うん】
「似合っているのだからいいだろう」
「コケエエエエエエーーーーッ!!!!!」
変えようとする気ゼロの仲間にホークモンは怒りの咆哮を上げた。
因みにホークモンにはコンビニの寿司を与えた。
「でも、本当に暗黒の種は胸糞悪い物だな。人を見下したり怒鳴り散らしたり、自分より下の奴はいなくなれ~な痛い性格になるんだからな。」
実際ブイモンは1人の女の子が野良猫を蹴飛ばしたのを見て、思ったのは怒りを通り越して哀れみである。
高い学力や能力を得た代わりに人として大事な物を沢山失った哀れな存在だ。
その時、偶然発見したのは野良猫を蹴り飛ばした川田のり子だ。
「よう、猫蹴り女」
「あんたは…最近私の周りをウロウロしてたチビね」
「お前にチビなんて言われたくないね。少し話さないか?」
「何で私があんたみたいな凡人チビなんかと話さないといけないのよ?」
「凡人ね、凡人以下の犯罪者一歩手前の奴に言われたくないね」
のり子の嘲笑を皮肉の笑みで返すブイモン。
のり子はその笑みに苛立つが“犯罪者”と呼ばれたことに疑問を抱く。
「犯罪者ですって?」
「お前、猫を蹴ったろ?」
「それが何よ?」
「もしそれを俺が警察に言ってたらどうなってた?野良とは言え動物を蹴り飛ばしたんだ。えっと、何て言うんだっけ?」
「動物虐待。立派な動物愛護法違反ね」
「そうそれ、お前は動物虐待したことで警察のお世話になるかもしれなかったんだぜ?」
「っ…今はあの猫なんかいないわ!!」
「どうかな?猫の毛は細かいからまだ靴にくっついてたりするんじゃねえの?まあ、いいけど…どれだけ頭が良くてもやって悪いことさえ分かんないような大馬鹿を天才って言うなら凡人の方が遥かに偉大だね。お前さ、何のために及川に暗黒の種を植え付けて貰ったんだ?」
「何であんたなんかに…」
歯軋りしながらブイモンを睨むのり子。
「答えろ」
目つきを鋭くし、殺気を放ってのり子の口を強引に塞ぐ。
「まさか一度や二度の失敗か何かで簡単に諦めて天才になりたいから及川の誘いになんて乗ったなんて言うならさ…お前…よくそれで人を凡人とかって見下せるな?」
殺気の密度が増し、のり子は顔色が真っ青になる。
「勝手に諦めて、勝手に絶望して、偶然天才になれる道具をくれる奴がいたからそれに手を出して、道具の力で手に入れた力で威張り散らすしか能がない根性なしが人を見下せるなんて凄いなあ。お前なんかよりずっと辛くて苦しい思いをしても前を向いている奴もいるのにな?お前さ…大した努力もしない癖に借り物の力を見せつけて威張り散らすとか…人を舐めるのもいい加減にしろよ…根性なしの大馬鹿野郎」
尻餅をついて怯えている彼女を見て、殺気を消してブイモンは踵を返す。
「帰ろうぜ?相手にするだけ馬鹿らしいや」
「そうね、そうしましょ」
ブイモンとテイルモンはそのままこの場を去る。
パタモン達は慌てて追いかけ、ブラックアグモンとなっちゃんはのり子を見遣る。
「っ…な、何よ…?」
「「いや…哀れな子(存在)だと思っただけ(だ)」」
「な…っ?」
目を見開くのり子に構わずこの場を後にするブラックアグモンとなっちゃんであった。
そして、ブイモンは肩が凝ったらしくテイルモンに肩を解して貰っていた。
「ああ~、慣れないことなんかするもんじゃないな」
「しかしあんたちょっと言い過ぎよ?誰だって大輔みたいに前向きでいられるわけじゃないし」
「ああ、でもショック療法にはなるかな~って」
「記憶喪失とかじゃないんだから…」
ブイモンの言葉に呆れ果てるテイルモンであった。
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