八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百話 森鴎外という人その十三
「誰かに恨まれたり嫉妬されたりとかね」
「そうしたことはか」
「別に自慢しないし遊びだって堂々と言ってるし」
こうしたことをしているからだ。
「ああした人だしね」
「明るくて気さくというが」
「うん、別にね」
恨まれる性格ではない。
「だからね」
「刺されたり等はか」
「そうした話はないんだ、お袋とのこともね」
「逃げたという話ではないのか」
「どうかな、この話も」
僕も最近までそう思っていたけれど最近認識が変わった、何かそのことが違ってきているのがわかった。
「どうもね」
「違うのか」
「そうかも知れないから」
「恨まれたり等はか」
「ないみたいだね」
どういった事情かはっきりわかるまで畑中さん以外にお話したくなかった、こうしたお話ならあの人だからだ。
「お袋からも」
「それはいいことだな」
「お袋がいても遊んでいたけれど」
このことは子供の頃から見てきたからよく知っている。
「ずっと夫婦仲はよかったし」
「お母上はわかっていてか」
「親父と一緒になったからね」
「なら急におられなくなったことはな」
「余計に不思議だったけれど」
それでもだ。
「逃げたんじゃないのならね」
「いいことだな」
「出来ればまた夫婦でね」
親父とお袋がだ。
「暮らして欲しいね」
「そこに義和さんは」
「僕はいいよ、もうお家があるから」
円香さんに笑って返した。
「八条荘がね」
「あのアパートが義和さんの今のお家ですか」
「うん、皆と一緒にいるね」
「まさにですね」
「あそこがね」
「今の義和さんのお家ですね」
「だからね」
そう思っているからだ。
「僕はあそこにいるから」
「お父さんとお母さんはですか」
「二人で暮らして欲しいよ」
このことを心から思った、そう話してだった。
僕は二人と少し話してから分かれて自分のクラスに戻った、この日の午前中のことを教室で振り返ると柿に森鴎外に親父にあと色々とどうにも色々話したことに気付いた。
第二百話 完
2018・8・16
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