クロスウォーズアドベンチャー
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第55話:ニューヨーク
インペリアルドラモンXDMに乗って、日本を発った選ばれし子供達は本来ならばそれなりの装備がなければいることすら出来ない大気圏を容易く凄まじいスピードで移動している。
背中の防護壁によって酸素が確保され、空気抵抗を遮断されているためか子供達は全員無事である。
「便利だな、このバリア」
「ある程度重力制御されているからインペリアルドラモンが逆さま飛行しても大丈夫ですよ」
太一がインペリアルドラモンXDMの防護壁に触れながら呟くと賢が説明してくれた。
「光子郎さん、メンバーの振り分けを頼みます。因みに俺はニューヨークに行きます。英会話が出来る俺はニューヨークに言った方がいいし」
「え?大輔君、英会話出来るの?意外」
「まあ、誰にだって取り柄の1つや2つくらいあるって」
「はい、馬鹿兄弟の尻に回し蹴り!!」
「「ぎゃふっ!?」」
「た、タケル!!ヤマトー!!」
再び大輔の回し蹴りが炸裂した。
本当に懲りない兄弟である。
全員はもう慣れたのか太一以外誰も反応すらしてくれなかった。
光子郎がメンバーを考え始める。
「とにかくメンバーを決めちゃいましょうか」
ヒカリと光子郎は香港。
伊織と丈はシドニー。
タケルと太一はパリに。
京と空はモスクワ。
それぞれ降り立ち、分離をしていくごとにインペリアルドラモンXDMは速度を落としていくが気にするほどではない。
アメリカに到着し、アメリカの選ばれし子供であるマイケルと合流するとヤマトと賢はヘリでメキシコに。
大輔はブイモン、ブラックアグモン、なっちゃんと言う些か過剰戦力メンバーでマイケルと共に飛行機でニューヨークに。
「それにしてもマイケルの親父さんがまさかハリウッドスターなんて思わなかったな?」
「ハリウッドスターって?」
「えっと…何て説明すりゃいいのかな?ハリウッドスターってのはハリウッド映画に出てる有名俳優がハリウッドスターって呼ばれて、マイケルの親父さんがそれなんだよ…。簡単に言うとマイケルの親父さんは凄え人ってこと」
疑問符を浮かべまくって尋ねてくるなっちゃんに大輔は何と説明したものかと悩んだが、一応出来る限りの説明をした。
「へえー凄い人!!大輔が言うんだから凄いんだ!!」
キラキラと目を輝かせながらマイケルの父親を見つめるなっちゃん。
その無垢な視線にマイケルもマイケルの父親も微笑んだ。
「ところで大輔、彼女は前に会った時いなかったけど…大輔のガールフレンド?」
「いや、ガールフレンドじゃないぞマイケル?」
「なっちゃんはデジモンなんだ」
ブイモンの説明にマイケルもベタモンも驚く。
「名はシスタモン・ブラン。だが本人は大輔から与えられたナツという名を気に入っている。」
「だから私を呼ぶ時はナツかなっちゃんって呼んでね?」
「ふふ、分かったよナツ」
和やかな空気が飛行機の中に流れるが、目的地に到着したことですぐに頭を切り替えて飛行機から降りた。
ニューヨークのセントラルパークでミミと合流した大輔。
「久しぶりですねミミさん。せっかくのクリスマスがこんなことになって…」
「ええ…こんなことにならなきゃ最高のクリスマスだったけどね…大輔君、随分逞しくなったね?初めて会った時とは全然違うわ…みんなと仲直り出来た?」
「はい、心配かけてすみません。そしてありがとうミミさん。そうだ、新しい仲間を紹介します…なっちゃん、ブラックアグモン」
「うん」
「…………」
「あなた達は?」
初めて見る2体にミミは疑問符を浮かべる。
「こっちがシスタモン・ブランのナツ。俺はなっちゃんって呼んでます…そして隣のブラックアグモンはブラックウォーグレイモンがブラックアグモンに退化したんです」
「へ?この子、デジモン?それにパートナーデジモンじゃない子が…あ、でもレオモンはデジヴァイスの光を浴びて究極体に進化出来るようになってたし、有り得なくはないかも!!とにかくよろしくねなっちゃん!!クロちゃん!!」
「うん!!よろしくね、ミミ!!」
「おい、何だその…“クロちゃん”…と言うのは?」
微妙そうな表情を浮かべるブラックアグモンはミミにその呼び方について尋ねる。
「ブラックアグモンって何か長いから。それにブラックアグモンよりクロちゃんの方が可愛いわよ?」
「せめてブラックと呼んでくれないか…?」
「えー?可愛くなーい」
むすっとなっているミミにブラックアグモンはどうしたものかと頭を悩ませている。
「それにしても大輔君、デジモンとは言えこんな可愛い女の子を傍にいさせるなんてやるじゃない。ヒカリちゃんピンチかもねー」
「いやそんな…あれ?ミミさんに俺とヒカリちゃんのこと話しましたっけ?」
ふと疑問に思い、大輔はミミに尋ねた。
「あ、太一さんにメール送った時に“ヒカリが大輔と…大輔とおおおおお”って凄く長い愚痴聞かされちゃったの」
「何かすんません」
それを聞いて凄い罪悪感を感じた大輔は即座に謝罪して、ブイモンは辺りを見回す。
「んー、あ…いた。お前がゲンナイさんの仲間か」
ゲンナイの仲間らしき者を発見したブイモンが駆け寄る。
「そう、私はベンジャミン。よろしくブイモン。」
「同じ顔だな~。もう少し顔のバリエーション増やした方がいいんじゃない?」
「ははは、確かにその通りなんだが、今はその時間がなくてね」
「つまり時間があればやるのか」
ベンジャミンも苦笑しながら言う。
同じ顔だから色々苦労することもあるようだ。
マイケルの父は佳恵お手製のおにぎりを食べ終わって横になり、ベタモン達が残ったおにぎりを食べている中、ミミのD-ターミナルが鳴り響く。
「サムって子から、ロッフェラーセンターでジュレイモンが暴れてるって!」
「え!?じゃあ、止めに行かないと…………ロッフェラーセンターってどの辺?」
ニューヨークの地理はよく分からない大輔はミミとマイケルに尋ねた。
「僕達が案内するよ、大輔達はついて来てくれ」
「よし、私も力を貸そう。東京でゲンナイがやったように、チンロンモンのパワーを授けよう」
「それって、もしかして私、超進化出来るの!?」
パルモンが嬉しそうにベンジャミンに尋ねた。
ベンジャミンはパルモンに頷き、大輔が出したD-3Xに手を翳すと、チンロンモンの力を注がれたD-3Xは眩く発光して、デジモン達をその温かな光で包み込んだ。
「行くぞ、デジメンタルアップ!!」
「ブイモンアーマー進化、地上最大の希望!サジタリモン!!」
「ブラックアグモン進化、ブラックウォーグレイモン!!」
「シスタモン・ブラン進化、シスタモン・ノワール!!」
「パルモン進化、トゲモン!!トゲモン超進化、リリモン!!」
「ベタモン進化、シードラモン!!」
全員が進化してロッフェラーセンターに向かうと、そこで子供達の目に飛び込んできたのはビルによじ登るジュレイモンの姿だった。
リリモンがすぐさまジュレイモンに向かう。
「花の首飾り!!」
リリモンが花の首飾りを出して、ジュレイモンの体を締め付けるが、それはあっさりと引き千切られてしまう。
「どうして!?」
「悪性のウイルスに冒された訳じゃないからよ!」
「そう、興奮して暴れてる!」
「なら…トリケラモン達と同じように気絶させるしかないな…ブラックウォーグレイモン。ジュレイモンをビルから叩き落としてくれ」
大輔がブラックウォーグレイモンに指示を出す。
「リリモンとシードラモン、なっちゃん、サジタリモンはジュレイモンが落下した後、すぐに一斉攻撃。そうすればジュレイモンも気絶するさ」
「りょーかい」
「分かった、大輔」
なっちゃんとサジタリモンが頷いてそれぞれの武器を構え、大輔は近くのサムと言う選ばれし子供とパートナーデジモンのフレアリザモンに英語で同じ説明をした。
「大輔って英会話出来たのね」
「日本に来る前はアメリカで暮らしてたらしいよ。日常会話なんて軽く出来るらしい」
「へえ~、大輔って帰国子女だったんだ!!」
後輩の意外の新事実に目を見開くミミであった。
「じゃあ、ブラックウォーグレイモン。ジュレイモンを叩き落として一斉攻撃。あ、ブラックウォーグレイモンは入るなよ?究極体の攻撃は確実にオーバーキルだから」
「…分かった」
大輔の指示にミミも思わず頷いた。
究極体の攻撃力を身を持って知っている彼女は大輔の言葉に同意した。
「それじゃあ…Mission Start!!!」
「あら、良い発音」
「うおおおおおお!!」
ブラックウォーグレイモンは勢い良く飛翔し、背後に回るとゴリラのドラミングのように胸を叩いていたジュレイモンを蹴飛ばした。
それはもう豪快に。
「全員攻撃体勢!!」
「「「了解!!」」」
大輔が英語で指示を飛ばしてミミ達は頷いた。
英語が理解出来ないサジタリモンとリリモン、なっちゃんは疑問符を浮かべていたが、辺りを見回して場の雰囲気で攻撃準備。
ジュレイモンが真下のスケートリンクに落下した瞬間。
「フレイムレーザー!!」
「アイスアロー!!」
「フラウカノン!!」
「ミッキーバレット!!」
「ジャッジメントアロー!!」
「ぐわあああああ!!?」
5体の必殺技がジュレイモンに炸裂し、ジュレイモンは吹き飛んで気絶してしまった。
「全く、手間取らせやがって」
気絶したジュレイモンを見つめた大輔の呟きがロッフェラーセンターに響き渡る。
その後、駆けつけてきてくれた他の選ばれし子供達と協力し、大輔のD-3Xでデジタルゲートを開いて大輔達はデジモン達をデジタルワールドに送り返したのであった。
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