八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百話 森鴎外という人その五
「森鴎外が脚気の治療法を見付けたってね」
「海軍の功績を横取りしたんですね」
「記録を担当していたことを悪用してね」
「それはやっぱり」
「森鴎外がしたとだね」
「有り得ますよね」
僕は先生に眉を顰めさせて問うた。
「やっぱり」
「うん、その可能性はね」
「ありますよね」
「このことを教科書に書くとね」
「森鴎外への評価一変しますね」
「チートとか言って凄いて目をきらきらさせて憧れる様な」
本当に先生に嫌悪を感じた、それも心からのそれを。
「何も知らないでそうなる娘はね」
「いなくなりますか」
「そうなって欲しいよ」
是非にという言葉だった。
「僕はね」
「あの、先生森鴎外は」
「学生時代は好きだったよ」
悔やむ様な返事だった、僕の今回の問いに対するそれは。
「けれどね」
「今はですか」
「その脚気のことを知って」
「他のこともですか」
「大学時代に知ってね」
それでというのだ。
「今はこう思っているよ」
「そうですか」
「脚気についてもね」
この病気自体についてもというのだ。
「あまり知らなかったし」
「そうだったんですか」
「今はもう殆どないよね」
「そうですよね」
「栄養学がしっかりしているしね」
「死ぬ人もいないですし」
「パンを食べるかしたら」
もうそれでだ。
「ならないしね」
「麦飯でなくてもですね」
「鶏のレバーとかね」
「ああ、レバーですね」
実は僕が好きなものの一つだ。
「あれいいですよね」
「うん、だからね」
「白い御飯だけじゃなくて」
「麦のものも食べて」
「おかずもですね」
「ちゃんと食べたらね」
それでというのだ。
「脚気にならないし他の病気にもね」
「なりにくいですね」
「栄養バランスを考えて」
「そうして食べるべきですね」
「今はそれがわかっているしね」
だからだというのだ。
「栄養バランスを考えてしっかり食べると」
「脚気にもならなくて」
「他の病気にもですね」
「ならないからね」
「癌や糖尿病にもですね」
「うん、そういえば糖尿病は」
この病気のこともだ、僕は先生にお話してくれた。
「明治帝がなられてね」
「それが原因で崩御されていますね」
「だから皇室は凄く注意しているんだ」
糖尿病にだ。
「あの方はまず甘いものがお好きで」
「蒸しカステラに羊羹にアイスクリームでしたね」
「アンパンのお話は有名だしね」
明治帝にアンパンを献上して美味しいと言って頂いてから木村屋という会社がはじまった程だ。まさに帝の一言あってだ。
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