八条学園騒動記
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第四百九十八話 朝風呂でその六
「お酒抜いていきましょう」
「そうするのね」
「ええ、どうかしら」
「いいわね。じゃあ」
「お風呂入りましょう」
「入ったらまずは服を脱いで」
「身体洗って」
湯舟に入る前に身体を洗って奇麗にするのだ。
「そうしてね」
「お酒抜くのね」
「そうしましょう。お酒抜いて」
そしてというのだ。
「復活しましょう」
「多分ね」
プリシラは歩きつつ自分の前をゾンビの様に歩くジュディに言った。
「お風呂に入ったら」
「もうね」
「一気に変わると思うから」
「お風呂入るとね」
つまり湯舟にだ。
「それで変わるのよね」
「どんな二日酔いも」
幾ら酷いそれでもだ。
「抜けて」
「それでね」
「すっきりするから」
だからだというのだ。
「ここはね」
「お風呂に入って」
「ただね」
「ただ?」
「この状態でお風呂屋さんに向かうとしたら」
どうかとだ、プリシラは歩くのも辛い中で話した。
「無理よね」
「絶対にね」
ジュディもこう答えた。
「だからうちのお風呂にしようってね」
「なったのね」
「私お風呂屋さんって今朝言わなかったでしょ」
「言う気力なかったのね」
「全然ね」
それこそというのだ。
「だからね」
「今はなのね」
「ええ、お風呂に入って」
「二日酔いを解消するのね」
「だって今歩くのさえ」
お風呂場まであと少しだ、そんな僅かな距離でもだ。
「辛いから」
「だからよね」
「お風呂屋さんに行こうって言わなかったのよ」
「言うまでの気力がなかったのね」
「そうよ、今歩いていることさえも」
最早というのだ。
「辛いから」
「私もそうよ」
「表情は変わらないけれどね」
「雰囲気でわかるでしょ」
「ゾンビみたいよ」
ジュディはプリシラの方を振り向いて言った。
「今の私もそうよね」
「ええ、ちょっとメイクしたらね」
「ゾンビよね」
「そうなってるわ」
そうした顔そして雰囲気だというのだ。
「土葬にされてお墓から出たみたいな」
「土葬ね」
「連合ではあまりないけれど」
連合では宗教に関わらず火葬が主だ、この辺り宗教観も違ってきているのだ。土葬が主流であった宗教でもだ。
「まさにね」
「土から出たゾンビね」
「そんな感じよ、私にしても」
「その状態でね」
「お風呂屋さんまでは」
「このお部屋から七百メートル位だけれど」
「今はその七百メートルが辛いわね」
プリシラもそうだった。
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