八条学園騒動記
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第四百九十八話 朝風呂でその三
「それを使えばどうかしら」
「使っていいの」
「あんたが使いたいならね」
つまりプリシラ次第というのだ。
「いいわよ」
「そうなの」
「そう、それでどうするのかしら」
「正直なところ」
ここでプリシラは自分の酔い具合を自覚した、明らかに許容量をオーバーしている酒量であった。それで足元もだ。
一旦立ってみたらふらりとしたので言った。
「もう少し歩いてもね」
「危なそうね」
「だからもう」
「こっちでよね」
「泊まりなさいよ」
是非にという言葉だった。
「もうね」
「それじゃあ」
「何なら一緒のベッドで寝る?」
ジュディはプリシラにこうも言った。
「そうする?」
「同じベッドでなの」
「そう、一緒にね」
「それをしたら」
どうかとだ、プリシラはジュディに真顔で返した、真顔といってもその表情は全く変わらない無表情なものだ。
「もうね」
「レズだっていうのね」
「そう、同性愛よ」
それになるというのだ。
「いいのかしら」
「いや、私そんな趣味ないから」
「私もよ。だから言うのよ」
「一緒に寝てもそういうことしないから」
別にとだ、ジュディもそこは断った。
「絶対に」
「そうなのね」
「男の子ならともかく」
ジュディの好みとしてはだ。
「そうした経験もないけれど」
「そうなの」
「それでもよ」
「男の子ならなのね」
「来たるべき時になったら」
その時にというのだ。
「そうするけれど」
「それでもなのね」
「今はね」
プリシラ相手にはというのだ。
「しないから」
「だったらいいわ」
「ええ、そこは安心してね」
「けれど酔ったら」
その勢いでとだ、また言うプリシラだった。
「万が一は」
「それもないから。というか私本当にね」
「そちらの趣味はないのね」
「一切ね」
強く言い切った言葉だった。
「だからね」
「気にしなくていいのね」
「ええ」
その通りだとだ、ジュディはまた言い切った。
「だから安心して」
「同じベッドで寝ても」
「そうしてね。あと相当に飲んでるから」
ジュディはあらためてそちらの話をした。
「歯を磨いたら」
「寝る前のね」
「これ忘れたら虫歯になるから」
それ故にというのだ。
「磨いたら」
「そこまではしたら」
「寝たらいいわ、じゃあ後片付けして」
「その後は歯磨きね」
「シャワー浴びるのも」
ジュディは自覚している自分の酔い方とプリシラの今さっきのふらりとした歩き方から考えて言った。
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