夢幻水滸伝
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第七十九話 駿府から名古屋へその九
「ですから岐阜城を攻め落とすと」
「そこからだぎゃな」
「美濃の各地に容易に兵を進められます」
「それではぎゃ」
「岐阜城を攻めましょう」
「わかったぎゃ」
坂口は雅の考えをよしとした、そしてだった。
軍勢に戦の用意をさせ名護屋城に集めてだった、自身と雅が率いて岐阜城に兵を進めさせた。名古屋から岐阜まではまさに目と鼻の距離だったが。
城の周りの川が複雑に流れていることにはだ、彼は舟と空船を使って軍勢を進めさせつつ雅に言った。
「わしは起きた世界でも名護屋人でぎゃ」
「それで、ですね」
「この川の複雑さは知っているだがや」
「愛知県は尾張といった頃は水害に悩まさせていましたし」
「それはよく言われているぎゃ」
今もというのだ。
「それは美濃でも同じだがや」
「川が多く水害に悩まされていて」
「だからこっちの世界でもまず治水をしたぎゃ」
尾張を統一する中でというのだ。
「政は」
「左様でしたか」
「そして尾張から攻める時は」
「その川達がですね」
「敵を阻んでいるぎゃ」
「岐阜城の守りになっていますね」
「だから織田信長さんも苦労したぎゃ」
美濃領有までかなり苦戦している、そこで羽柴秀吉が墨俣に一夜城を築いてそこを城攻めの拠点にしたのだ。
「とかくこの川達がぎゃ」
「問題ですね」
「実際今も進むのに苦労してるぎゃ」
「空船を使っても」
「川が入り組んでいてぎゃ」
まことにというのだ。
「難しいぎゃ」
「まことにそうですね。しかしこの世界で私達の敵は斎藤家ではなく」
「城とその周りを治めている小さな領主ぎゃ」
「ここに兵を置いていません」
それでというのだ。
「そこまでの兵がいないということです」
「そうだぎゃな」
「ですから」
それでというのだ。
「何でしたらすぐにです」
「墨俣にだぎゃ」
「城も築けます」
秀吉が築いたその城をというのだ。
「この辺りに勢力を及ぼしていても」
「兵を置くにはぎゃ」
「兵もないのなら」
「わし等はこのままだぎゃ」
「はい、兵を進め」
そしてというのだ。
「その岐阜まで迫りましょう」
「そうしてだぎゃな」
「城も攻め落とします、ですが」
「ですが?どうしたぎゃ」
「岐阜を守るに例え兵がなくても要地であるので」
今自分達がいる場所はというのだ。
「そこに兵を置けないまでに小さな勢力となると」
「岐阜の街を守る位が精々ならがだぎゃな」
「街を囲めば」
その岐阜の街をというのだ。
「それで降るかも知れないですね」
「では今からだぎゃな」
「はい、人を送って」
そしてというのだ。
「身分と安全を保障して」
「そうしてだぎゃな」
「戦わず、もっと言えば囲まずとも」
「岐阜の街も城も手に入れられるだぎゃな」
「そうなるかも知れないですね」
これが雅の見立てだった。
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