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クロスウォーズアドベンチャー

作者:setuna
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第36話:アルティメットアルマジモン

 
前書き
途中でアルマジモンは

「」←から

アルマジモン「」←になります 

 
大輔は1年ぶりに訪れた学校に懐かしげに席に座る。

「おはよう、大輔君」

「ん?おお、タケルか。おはよう」

「あれ?大輔君、声変わりしてない?それに少し大きくなったような…」

「後で教えてやるよ。ちゃんとした理由をな…あ、ヒカリちゃんだぞ」

「おはよう大輔君、タケル君」

「おう、おはようヒカリちゃん…やっぱり髪はそのまんまにしたのか」

「あはは、せっかく伸びたから…」

「あれ?ヒカリちゃん、昨日までは普通に短かったよね?何でいきなり肩にかかるくらい長くなってるの?」

「…詳しいことは後で話すから……ね?」

タケルの質問を何とか回避するが、他のクラスメートはそうはいかない。

次々に質問を受ける羽目になるヒカリだったが…。

「仕方ない…原因を教えてやるよ。これだ」

幾重にも厳重な封印が施された例のアレを出す。

「大輔、何だこりゃあ?」

「うちの姉貴が作った本人曰わくオムライス。全員死にたくなかったら窓を開けろ、耐性がない奴らは…ガスだけで死ぬかもしれねえ」

【死!?】

取り敢えず窓を全開し、封印を解き放つ。

次の瞬間、凄まじい悪臭が漂い、咄嗟に口や鼻を押さえるが、それでもこの悪臭は防げない。

顔面蒼白で涙目になった女子生徒が表情で止めてくれと懇願する。

大輔は手慣れた手付きで再封印を施した。

数分後、臭いがマシになった時、全員がようやく心置きなく新鮮な空気を吸えた。

「大輔君、タケル君が気絶してるんだけど?」

床に大の字で寝転がるタケルに、ヒカリが指差す。

「ああ、こいつ至近距離でガスを喰らったからな。後で保健室に連れて行くか。とまあ、これが俺とヒカリちゃんの変化の原因だな。俺の場合は声変わりと身長、ヒカリちゃんの場合髪と身長だな。」

「……食べたの?」

「えっと、大輔君のお家にお邪魔して…」

「俺も何だかんだで姉貴が作ったもんだからなあ」

【偉いっ!!】

「あれは痛かったぜ、骨がミシミシと伸びて体の内側が骨で突き破られそうになる感覚、何回か花畑が見えた。」

それを想像してか一部のクラスメートには体を擦っている者も見えた。

「一応こんなんでも姉貴が作った物の中じゃ、まだマシなレベルなんだぜ?下手すりゃ化学反応を起こして鍋やゴム手袋が溶けたりするからな」

【そうなの!!?】

「当たり前だろ?だから今回はこんな程度で済んでんじゃねえか」

それを聞いたクラスメート達は大輔の姉に恐怖を抱いた。

「ああ、このことは秘密な。うちの姉貴は気に入らない奴に容赦ねえから、これを食わされたくなかったらな」

全員がコクコクと頷いた。

ヒカリは噂以上の威力に少し涙目になっていた。

事前に聞いていたからすぐに口と鼻を押さえることは出来たが、それでも耐性がないヒカリには結構な威力だった。

余談だが、今日のことをきっかけにジュンは大輔のクラスメートから恐れられるようになるのである。

そして放課後、パソコン室に集まった子供達。

「ねえ、大輔。あんたらの教室から凄い悪臭が出たって凄い噂になってんだけど?」

「姉貴の暗黒物質」

「OK、理解したわ。ていうか、何でそんな物学校に持って来てんのよ!!?」

「辻妻合わせだ。それじゃあ話すかね。昨日の出来事をさ…あれは昨日の復興作業が終わって、俺とヒカリちゃんが一緒に帰った時だ…」

1年間もの冒険の物語を聞かせた大輔とヒカリは賢のことも含めて話した。

やはりというか、伊織達はあまり良い顔はしなかったが。

「まあ、とにかく。向こうで1年間過ごして今ここにいるってことだ。今の俺達はプラス1歳されてるからよろしく」

「じゃああんたとヒカリちゃんは私と同い年?うわあ、何か変な感じ」

「俺もだよ。お前は俺より年上ってのが当たり前だと思ってたからな。正直不思議なもんだ…」

感慨深げに言う大輔。

1年間もの冒険で大輔は確実に変わったと京は思った。

「あんた変わったわね、大人しくなったって言うか…」

「これでも一応軍団…クロスハートのNo.2だったんだよ。感情で突っ込んでばかりじゃ敵と戦う上じゃ駄目なんだって思い知っただけだよ。でも同時に前みたいに気持ちと勢いだけじゃ自分の気持ちを誤魔化せなくなってきた…かもな。成長ってのも考え物だな」

溜め息を吐きながら言う大輔。

確かにとタケルは思う、成長するのと同時に今まで見えてこなかった物が見えるようになると言うのはタケルにも覚えがある。

「でね、大輔君はキリハさんやタイキさんから色々学んでたし、私達のジェネラルになってもらおうと思ってるの」

「ジェネラルって何ですか?」

「簡単に言えばリーダー。1年間もの間、クロスハートにみんなに指示を出したりしてたから適任だと思う…痛っ!?」

「ヒカリちゃん、あまり俺にそういうの任せないでくれよ…リーダーより突撃隊長の方がまだマシだ…」

ヒカリの額にデコピンを喰らわせ、深い溜め息を吐いた大輔。

「(何か仲良くなってる…もしかして2人は…)」

「とにかく、京。久しぶりのアレ頼む」

「久しぶり?ああ、成る程。それじゃあ!!今回は何時もより気合い入れて行くわよ!!デジタルゲート・オープン!!選ばれし子供達、出動!!」

謎のポーズを取りながら久しぶりの掛け声と共にデジタルワールドに。

「……久しぶりのこっちのデジタルワールドだな。」

「うん、やっぱり落ち着くね」

「向こうのデジタルワールドってそんなに違うんですか?」

「まあな、色々違うから最初は戸惑うことばっかだった…。」

「でも何とかそれを切り抜けてこれたよね、大輔君。指示をお願い!!」

「だから俺は……はあ…もういいや」

「諦めちまったよ」

早々に諦めた大輔をブイモンが呆れたように見上げる。

「やかましい…。京、D-ターミナルで調べてくれ。」

「分かったわ」

D-ターミナルを取り出し、調べ始める京。

大輔は京からD-ターミナルを借りていくつかの地帯を見つめる。

山岳地帯ではゴツモンが木を倒し、岩を整えたりしている。

「タケルはゴツモン達がいる山岳地帯、そして都市は…」

都市地帯もかなり破壊されている。

休憩中なのか映像ではガジモン達にレッドベジーモンがカレーを配給していた。

「俺は都市に行くだぎゃー!!」

「配給のカレーが食いたいとか抜かしたら問答無用で叩きのめすからな」

「…………」

黙り込むアルマジモン。

D-ターミナルに映る配給のカレーに目が釘付けである。

「図星か、罰としてアルマジモンはこの中で一番厳しい湖地帯作業だ!!」

「ええー!?」

「何か文句あるのか?」

「ないだぎゃ」

「よろしい」

ダークナイトモンすら震え上がらせた鬼の気迫でアルマジモンを黙らせた大輔。

「鬼だぎゃ…悪魔だぎゃ…」

「え?お前1人で全部の地帯を受け持ってくれるのか?それはいい心掛けだ、デジタルワールドのみんなも喜んでくれるぜ」

「わー!!湖地帯の作業頑張るだぎゃー!!」

「田園地帯か…こういうのは俺がした方が…」

「待って、私も行きたい」

「…ん。じゃあ、ヒカリちゃんに頼んでいいか?」

「ありがとう」

「俺は都市だ。ブイモンのパワーを活かせそうだしな。京は悪いけど海岸地帯を頼む。」

「分かったわ、普通の人選ねえ」

「カレー~…」

しかしアルマジモンは諦められないのか、名残惜しそうに都市の方向を見つめている。

「諦めて下さいアルマジモン。あれはみんなのご飯ですよ」

「仕方ないな。俺のおやつを分けてやるよ」

「?」

ブイモンが差し出したのは6枚のバタークッキーで、それを見たテイルモンは思わず目を見開いたのである。

「そ、それはまさか伝説のズノークッキー!?」

「ズノークッキー…とは何ですかテイルモン?」

目を見開くテイルモンにホークモンが尋ねる。

「ズノー(頭脳)クッキーって言うのはDHA、その他諸々の脳の働きを助ける物質を多く含んでいるクッキー。つまり食べれば頭がすっきりして頭がよくなるクッキーよ」

「何か不味そう。でも頭がすっきりするのは魅力よね」

「俺とヒカリちゃんも食ったけど普通のバタークッキーだったぞ味は」

「お前らも食うか?丁度よく全員分ある」

「え?いいの?じゃあ頂きます。」

ブイモンが更に小袋からクッキーを取り出して全員に配る。

全員がズノークッキーを口に運んだ。

「………あ、本当に味は普通のクッキーだわ」

「でも不思議と頭がすっきりするような…」

「今なら何でも分かる気がします…」

初めて食べる京達だが、味も普通のバタークッキーのために好評であった。

「んぐっ!?」

「アルマジモン!?」

急に倒れたアルマジモンに駆け寄る伊織。

「何だ!?まさか喉に詰まらせたのか!?」

「ええええ!?水!!水!!」

慌てる大輔に、どこかに水がないかと辺りを見回す京だったが、アルマジモンはゆっくり立ち上がる。

アルマジモン「何も問題はありません。僕の体には何の異常もありませんよ。皆さん、ご心配をお掛けしました」

「そ、そうですか…それは良かった…………え…?」

【!!!!?】

言葉遣いが急激に変わったアルマジモンに全員が驚愕で目を見開いた。

「あ、あんたどうしたわけ?」

テイルモンが冷や汗を流しながらも尋ねるが、変わり果てたアルマジモンは疑問符を浮かべるだけ。

アルマジモン「何か僕に問題でもありましたか?僕自身は何も感じませんが、僕が気付いていない異変がある可能性も否定は出来ませんね。異常があれば教えて頂きたいのですが…」

「いや…異変っていうか…異常っていうか…あまりにも…」

アルマジモン「どうやら問題はないようですねテイルモン。さあ、伊織。時間は有限です。早くデジタルワールドの復興のために湖地帯を目指しましょう」

「あ、待って下さいアルマジモン!!」

アルマジモンは伊織と共に華麗に去った。

【………………】

「………コホン、どうやらズノークッキーの力でアルマジモンの頭がすっきりしたようだな」

「すっきりどころか人格にまで影響が出てたよ!!」

「あんなのアルマジモンじゃなーい!!」

ブイモンが咳払いしながら言ったが、あまりの変わりようにタケルと京が叫んだ。

「て言うかズノークッキーを数枚食っただけであの変わりよう…どんだけ脳みそ使ってなかったんだあいつは…」
大輔が去っていくアルマジモンを見つめながら呟く。

こうして様々な衝撃を残しつつ、一同はそれぞれの場所に。

都市に来た大輔は即座にブイモンをエクスブイモンに進化させて、巨大な瓦礫を撤去しながら大輔はカレー作りを手伝うことに。

エクスブイモンが参加したことで瓦礫の撤去作業はかなり進み、休憩の時間となって飲み物を受け取った。

「悪いけど後、8本くれないか?他のとこで作業してる奴らがいるんだ。」

飲み物を受け取り、他の地帯で作業している仲間に持って行く。

「えっと…まずはヒカリちゃん…ん?反応がもう1つ…タケル?おい!!」

「エクスブイモンと大輔君…あ、エクスブイモンはブイモンが進化したのよ」

「あ、そうなの?どうしたの大輔君?」

「こっちは一段落したから飲み物の差し入れだ。何で山岳地帯に行かせたお前らが此処にいるんだ?まさかサボリか?」

ギロリと睨む大輔にタケルは慌てて首を横に振る。

「違うよ!!僕達はただどうしてデジタルワールドに来られるのかなって話を…」

「まだ全ての敵を倒せていないからだろ?」

「え?」

「向こうのマグナモンが言ったんだ。現実世界とデジタルワールドが繋がるのは大抵デジタルワールドが危機に瀕して時空が不安定になった時のみだって、現実世界とデジタルワールドがまだ繋がってるってことはまだまだデジタルワールドを危機に瀕する存在がいるってことだろ(賢が言っていた女も原因の1つだろうな)…」

「大輔君、そんな冷静な考え方が出来…アギッ!?」

失礼なことをほざこうとしたタケルの尻に大輔の渾身の回し蹴りが炸裂した。

「ふざけんなタケル。蹴るぞ」

「~っ!!~っ!!」

元々サッカーをしていた上に1年間もの冒険の間で鍛え上げられた足の威力は半端ではなく、タケルを悶絶させるだけの威力があった。

「大輔君…」

「ああ…いつか、京と伊織も覚悟を決めなきゃいけない時が来る…デジモンを倒すって覚悟をな。運良く今回は3年前や向こうの冒険より恵まれてる。京達は復興作業、戦いは俺達に任せてもらうって手もあるな。」

「でもそれ、何の解決にも…」

「いいんだよ、戦いたい奴だけ戦えば。あいつら優しすぎるから」

「そ…そうだね、僕…僕も同意見だ、よ…。」

「全然決まってねえぞタケル」

尻を押さえながらブルブル震えながら言うタケル。

大輔の言う通り全然決まってない。

「今だけはゆっくりと過ごしたいもんだな」

デジタルワールド特有の空を見上げながら呟く大輔。

「そうだね」

大輔と共に空を見上げるヒカリ。

後に伊織とアルマジモンがトータモンの恥ずかしい場面を見てしまい、激怒させて追い掛けられる羽目になるのだ。

しかし偶然大輔達の元に来て、トータモンの口に例のオムライスを放り込み、あまりの不味さに気絶させて難を逃れた。

今日の復興作業を終え、家でゆっくりしていた大輔だが…。

「ねえ、大輔。あんたのクラスメート達に私、化け物を見るような目で見られてんだけど何で?」

「さあ?日頃の行いが悪いからじゃねえの?」

因みに封印具をエクスブイモンに消し飛ばしてもらった。

暗黒物質もトータモンが処理して(食わせたとも言う)くれたし、最近のデジモンは優しい。 
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