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クロスウォーズアドベンチャー

作者:setuna
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第33話:絶望を希望に変えるために 後編

ズィードミレニアモンがタイキ達によって強制解体されていくのを見届けたアルフォースブイドラモン達。

「ズィードミレニアモンが分解していく…!!」

「やったんだ!タイキ様達が勝ったんだ!!」

バンチョーレオモンとパンダモンが解体されていくズィードミレニアモンを見つめながら叫ぶ。

「(バグラモンが無意識に願っていた希望…それがシェイドモンの幼生に託されていることを見越してここまで大胆な作戦を成し遂げてしまった…!!)」

「感嘆せざるを得ないな…あの少年達には」

ロイヤルナイツの面々ですらズィードミレニアモン解体を成功させたタイキ達に感嘆せざるを得なかった。

「あっ…!?」

突如スパーダモンが叫び、師匠のアルフォースブイドラモンが振り向く。

「どうしたの?」

「お師匠様、あれっ!あれは!!?」

スパーダモンが指差した先にはアルティメットカオスモン、メギドラモン数体、アルゴモン数体が地上のデジモンに襲いかかっていた。

それを見ていたデュナスモンとマグナモンに助けられ、共に脱出していたタイキ達も驚愕する。

「なな何でちか、あのでっかいのは~っ!!?」

「あれは伝説の魔獣、アルティメットカオスモン、メギドラモン、アルゴモンじゃないか!?」

マグナモンが傷付いた大輔達に癒しの光で傷の手当てをしながら目を見開く。

「ズィードミレニアモンから分離して出て来たのか!?」

暴れているアルティメットカオスモン達を見たリリモン達、大魔殿侵入組はアルティメットカオスモン達が、大魔殿に水晶の中に封じ込められていたデジモンであることに気付いた。

「ね…ねえ!あれって…!!」

「うん!大魔殿の中で水晶づけになってた奴らだよね…!?」

「…なっ…何と言うことだ…!!」

膝をついたバグラモンにブイモン達が振り返る。

「どうしたバグラモン!?」

「あれは私が大魔殿に封印し続けてきた…怒りや憎しみ…人の心の暗黒面を反映して変質してきたデジモン達だ…!!人の絶望の心…未来への虚無感を喰らい、肥大し続ける奴らを封じ込めておくのも限界だった…!今に滅びよりも不幸なことが起こる…!あらゆる命が生きたまま永遠に呪いの炎で焼かれ続けることになるのだ…!!その前に…せめてその前に全ての魂に安息を与えることが出来ればと私は…!!君達は…とんでもないことを仕出かしたのだぞ…!!」

バグラモンの言葉を聞いてシャウトモンとブイモンは互いに笑みを浮かべた。

大輔達も同様だ。

「へっ!!なあんだ、簡単じゃねえか!後はあいつらをぶっ飛ばしゃハッピーエンドってことだろ!?上等だぜ、やってやらぁ!!」

「1体1体のパワーは凄まじいけど俺達みんなの力を合わせればあいつらに勝てるはずだ!!」

シャウトモンとブイモンの言葉をバグラモンは否定する。

「…それが不可能だから言っているのだ…!!君達は人の心の勇気や喜びを反映して生まれてきたデジモンだろう…夢と希望に満ちていた過去の時代ならば可能性はあっただろう。だが…最早人の心にはあの絶望を克服するポテンシャルは無い…!!私の旅は…!長く長く続いたこの巡り合いの戦いは…!!…そのことを確かめるためにあったのだから…」

バグラモンの元にシャウトモンがツカツカと歩み寄り、バグラモンの耳元で全力全開で叫んだ。

「勝手に終わらせんなこらぁっ!!俺達ぁ、まだ生きてる!!巡り合いの戦いとやらの決着は今からつけてやるんだ!!バグラモン!!てめえだって自分じゃ気付かなくても希望を捨て切れて無かったじゃねえか!!見ろよ!!」

「クロスオープン!!」

シャウトモンが指差したのはルミナモンとのデジクロスを解除しようとしているネネの姿…。

ヒカリとコトネ達がネネの服等(恐らくヒカリかアカリの物)を持ってネネを隠す。

「ルミナモン!!」

次の瞬間には服を着たネネと彼女と分離したルミナモンがいた。

「うわあ、シェイドモンの面影が全く無いね」

「げげっ!こいつが元シェイドモンかよ!」

「可愛くなりすぎだろ!!」

ワームモン、スターモン、ドルルモンがルミナモンを見ての感想を一言。

「…この子もあなたの苦悩をずっと気遣っていました…けれど…最後は希望を信じてくれたわ…!」

「馬鹿な…!?どうやってシェイドモンの心を救ったと言うのだ…」

「歌えよバグラモン!!暗い所で理屈ばっかこねくり回しても本当の気持ちは伝わらねえ!!叫んで!ぶつかり合って!!俺達は分かり合うんだ!!」

「よっしゃあ!!正真正銘の最終決戦だ!行くぜえ!!」

ブイモンの叫びが合図となり、最後の戦いに向かう。

「行くぜ!!」

大輔達がD-3XとXローダーを構え、それぞれのパートナーを進化させる。

一足先に人間界に帰還したアカリとゼンジロウもタイキ達の勝利を願う。

メギドラモンの業火で吹き飛ばされるリリモン達。

とどめを刺そうとするメギドラモンにバンチョーレオモンの蹴りとアグニモンの拳が炸裂し、そして怯んだ隙にベルゼブモンがとどめを刺す。

「ばっ…馬鹿な!無理だ!!人の心に…我々デジモンに…!これ以上のポテンシャルなど…あるはずが…!!」

次の瞬間、バグラモンの目に信じられない物が映る。

大輔達と共に戦うデジモン達が次々と姿を変えていったのだ。

「デジモン達が、進化を取り戻している…!?」

「昔のようになってきたなテイルモン。この世界の大輔とヒカリ達が子供の頃に冒険したデジタルワールドのように」

「ええ、テイルモン超進化、エンジェウーモン!!」

かつてのデジタルワールドを知る数少ない存在であるマグナモンとテイルモンが進化したエンジェウーモンも共に突撃する。

「(そうさ…どんなに白けた面した奴の心の中にも…どんなに苦しくて悲しい心の中にだって…夢ってのは絶対消えずに燻り続けてるんだ…!!いつかでっかく…燃え上がるチャンスを信じて…!!)」

他のデジモン達に次々と起こる進化に、バグラモンはその理由に気付いた。

「そっ…そうか…!!彼らが繋げたのだ!!(今はまだ秘められた人の心の可能性と…私達デジモンを…!!)」

「よし、パイルドラモン。景気良く行くぜ!!」

「おう!!パイルドラモンHM進化、インペリアルドラモンHDM!!メガデス!!」

進化したインペリアルドラモンHDMの放った暗黒物質はメギドラモンを一撃で粉砕した。

「エンジェウーモン!!」

「ええ、マグナモン!!」

「ミラクルグリッター!!」

「ホーリーアロー!!」

マグナモンの光とエンジェウーモンの矢が一筋の閃光となってアルゴモンを貫いた。

「僕達も続くぞ!!」

アルフォースブイドラモン達、ロイヤルナイツもインペリアルドラモンHDM達に加勢する。

「おお…おおお…!!愚かな私の起こした戦乱も空しくはなかった…!!未来を求めた長い旅路が…少年達の可能性を解き放ったのだ…!!」

度重なる進化と言う奇跡にバグラモンの心に希望が満ちていく。

インペリアルドラモンHDMは一直線に魔獣最強のアルティメットカオスモンに向かっていく。

「マグナモン!!」

「エンジェウーモン!!」

「「了解!!」」

大輔とヒカリの意図に気付いた2体は頷いた。

「「「インペリアルドラモンHDM!!マグナモン!!エンジェウーモン!!パラレルクロス!!!」」」

「インペリアルドラモンHDM、モードチェンジ!インペリアルドラモンHFM!!」

インペリアルドラモンHDMとマグナモンとエンジェウーモンをデジクロスさせ、再びインペリアルドラモンHFMにモードチェンジさせた。

それを見たタイキ達もXローダーを構えた。

「「「「オメガシャウトモン!!ジークグレイモン!!アトラーバリスタモン!!イエーガードルルモン!!ラプタースパロウモン!!エヴォリューションクロス!!!」」」」

「シャウトモンEX6!!」

オメガシャウトモン達をデジクロスさせ、再びシャウトモンEX6に。

「ん?」

「大輔?あ…あれは…」

大輔達の視界に映るのはダークナイトモンのデジクロス前の姿のスカルナイトモンとデッドリーアックスモンであった。

「行くぞ」

「え?いいの?」

そんなスカルナイトモン達を見て、どうでも良さそうに言う大輔にヒカリと賢は目を見開く。

あんなに怒っていたと言うのに。

「いいんだよ、もう充分過ぎるくらいぶっ飛ばしたから、あれにはもう殴る価値もねえ」

無関心と言った感じでインペリアルドラモンHFMを追い掛ける大輔達。

「グッ…!ム…どっ…どこだここは!?何があったと言うのだ…!?(ガルフモンを取り込んでからの記憶が定かではない…!!ぶ…無様な!力に狂わされ、自我を失っていたというのか!!?そ…そうだ私はっ…三元士達を取り込み…大魔殿で兄上を追い詰めて…?)」

スカルナイトモンに何者かの影が掛かり、スカルナイトモンは咄嗟に上を見上げた。

「!?うわああああああ!?」

アルゴモンがスカルナイトモンを見下ろしていた。

ダークナイトモンの力を失った今のスカルナイトモンでは一溜まりもないだろう。

「(な…何だったのだ。私と生とは…!?世界を呪い…狂気に飲まれ…迎える死がこ…こんな…こんな…!!?)」

アルゴモンがスカルナイトモンを仕留めようと光線を放つ。

「ヒッ…いっ…嫌だっ…!!」

次の瞬間、バグラモンが光線とスカルナイトモンの間に入り、イグドラシルの霊木の腕で光線を受け止めた。

「!?兄上っ…!!?」

「君とは…ただ少し語り足りなかっただけなのかもしれないな……そうすればもっと正直に君の可能性を信じることが…フフ…だが、私のような朴念仁にも悪の親玉が務まったのだ。案外君も聖騎士くらいやれるんじゃないかね?」

徐々に霊木の腕に入っていく亀裂。

しかし、バグラモンは気にせず笑みを浮かべながら言葉を紡いだ。

データを分けた世界でたった1人の弟に肉親としての言葉を与えるために。

「頑張りなさい、私の弟よ。本当の栄光を手に入れるのだ…!」

「な…何故…!?この憎しみにまみれた生に、何故愛という報いがあるのです!!?」

凍てついていたスカルナイトモンの心に暖かい何かが灯る。

しかしそれが何なのかに気付くにはスカルナイトモンには時間と経験があまりにも足りなさ過ぎた。

笑みを浮かべたバグラモンは限界以上の力を振り絞り、アルゴモンと相討ちとなるのであった。

「何故だ兄上、何故だーーーっ!!!」

最後の巡り合いの戦場にスカルナイトモンの絶叫が響き渡る。

黄金の超闘士・シャウトモンEX6と純白の皇帝聖竜・インペリアルドラモンHFM。

連合軍を代表する2体が残った最後の魔獣、アルティメットカオスモンに突撃する。

「「「「「「「オールデジモンズ…!!」」」」」」」

シャウトモンEX6とインペリアルドラモンHFMに全てのデジモンが融合していく。

「「「「ファイナルクロス!!!」」」」

「「「エンシェントクロス!!!」」」

「シャウトモンX7SM(スペリオルモード)!!!!」

「インペリアルドラモンHFM、モードチェンジ!インペリアルドラモンPM(パラディンモード)!!!!」

X7の全身が超巨大かつ金色になり、背中と頭部からは大きな天使の翼が生え、胸部のV字だけが燃えるような赤色となった姿に。

インペリアルドラモンHFMも大勢のデジモンと融合したことでインペリアルドラモンと言うデジモンの持つ潜在パワーを極限まで引き出した純白の古代聖騎士へと姿を変えた。

インペリアルドラモンPMはロングソードが数々のデジモンのパワーを得たことで変化したオメガブレードを、シャウトモンX7SMはスタンドマイクに全エネルギーを収束させて生み出した大剣を握り締めた。

「決めるぜ!!ファイナルクロス…」

「この一撃に全てを懸ける!!オメガ…」

2体の究極のデジモンの全身全霊の一撃が振り下ろされる。

「「ブレエエエエイドオオオオッ!!!!!!」」

その2体から繰り出された聖剣と大剣の一撃による凄まじい破壊力はアルティメットカオスモンを容易く粉砕し、光の柱を天に昇らせた。

こうして、長く長く続いた巡り合いの戦いは終わったのである。 
 

 
後書き
次回でクロスウォーズ終了 
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